川天使空間

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『朝霧の立つ川』高橋秀雄著(岩崎書店)

2009年11月04日 05時22分22秒 | 創作・本の紹介
ひでじぃさまの新刊。
季節風大会でサインをしていただいてまだ書店に出ない本を購入。
なのに、読み終えないうちに、ひでじぃさまからの寄贈本が。
ありがとうございます! ひでじぃさま。
一冊は手元に、もう一冊は外来の本棚に置かせていただきます。

三人の弟のいる「ねえちゃん」ミチエが主人公。
両親は土方仕事に明け暮れる貧しい一家。
近くを鬼怒川が流れ、川から立ちのぼる朝霧は風景を包む。
家の前には、土方仕事の合間に一ヶ月もかけて田植えするので段々に育つ小さな田んぼがある。
寒い秋の朝、土方に出かける前に両親は稲刈りし、その間、ミチエはかまどでご飯を炊く。また失敗してはならないと、慎重にかまどの火を見て、ちゃぶ台を出して朝ご飯の支度をし、一郎、次男、満男の三人の弟をたたき起こす……。

「ねえちゃん」
「福俵さまが通るころ」
「分数とかぼちゃ」
の三部からなるお話。

「ねえちゃん」は、胸が痛いほど貧しい生活が描かれているのに、ひでじぃさまのお話らしくなんともさわやか。ひとつひとつの情景が、ミチエの立ち居振る舞いが、まるで詩のように読めてしまうので、読むのにずいぶんと時間がかかってしまった。だって、美味しいんだもの。

「福俵さまが通るころ」は、一度同人誌で読ませてもらったことがあるはずなのに、文章をまたも味わいつつ、最後まで手に汗握る展開で(結末を忘れていた私は認知症予備軍か)。クマがクマで良かったなと(意味不明の方はぜひご一読を)。

「分数とかぼちゃ」は、「生活の中の算数」を実践できてその結果も溜飲の下るもので爽快だった。でも、「良かったね」だけで終わらせないのがひでじぃさま。和江が怒ったのもいいし、それを感じるミチエもいい。

と書いて、あんまり感想文になっていないなと。
でも、ひでじぃさまのお話は、ストーリーにも深さはあるけれど、「読んでいる」時にいちばんしあわせを感じる。だから、読み終えるのが惜しい。

同じ世代の人間にしか想像しにくい場面はあるだろう。
でも、今の子どもたちがこれをしっかりと読んだら、不思議空間にワープできるのではとも思う。
ひでじぃさま、すばらしいご本をありがとうございました!

詩を一編だけ書いて、しっかり休んだ。
今日もびよよよ~~ん (*^ __ ^*)

コメント (5)
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