水瓶

ファンタジーや日々のこと

人形たちの物語

2015-09-30 08:58:01 | 横浜人形の家
こけしがいっぱい!よく見ると着物の柄や髪飾りなど、ちょっとずつ違います。

先週末は横浜人形の家に行って来ました。館の人によると、展示を整理しているんだそうです。
こけしも並びに動きをつけたそうで、以前より一つ一つが見やすくなっていました。


色んな顔のこけしたち。ちびまる子ちゃんのマンガに出て来る顔みたい。

そういえば実家には、母か祖母が買ってくれた、姉のこけしと私のこけしがありました。
ちびまる子ちゃんにもお姉ちゃんとまるちゃんのこけしの話があったから、昔は女の子のいる家では、
それぞれにこけしを買う風習があったのかも。またふしぎに、ちゃんと似た感じのこけしを見つけて来るもんなんですよね。


三日月形の目は笑顔のせい。にっこり


今やっている企画展は西洋陶芸磁器人形展。フランス風?


かわいらしいバレリーナたち。


常設展の、時代の人形コーナーにあるビートルズ人形。若いとどれが誰かわかりませんね。。。


ブーフーウーは三匹のこぶたです。

           

日本の各地の人形たち、以前は名札がついているのは一部だったのですが、今回行ったら全部に名札がついていて、
検索してみると人形の由来などがヒットしてきて面白かったので、目についたものをいくつかピックアップしてみました。


【大分 雨乞いの竜】 
リンク先の昔話によれば、雨乞いの時に龍神さまに捧げるための人形が由来のようです。
小さいけれど迫力があります。竜や蛇はワラでつくりやすそうですね。


【山梨 甲府のおみゆきさん】
雨乞いの竜とは逆に、洪水などの水害を避ける川除けの神事にまつわる人形のようです。
神輿の担ぎ手が女性の格好をするそうで、ということはこのお人形さんはほんとは男性なんですね。珍しい!
渇水にせよ洪水にせよ、日本は昔から水に悩まされて来たんだなあ。。稲作には治水が特に大事ですもんね。


【岩手 南部鹿踊り】
鹿踊といえば東北!鹿は、農耕には食害などで害獣だったと思うんですが、こういう芸能があるのは考えてみると不思議ですよね。
宮沢賢治に「鹿踊のはじまり」という話があって、とても鹿らしい感じが出ています。岩手の方では鹿が身近だったんでしょうか。
「遠野物語」にもあやしの白鹿のふしぎな話があります。あれは、怖い。。。


【愛媛 八つ鹿踊り】
あれ、東北だけでなく…?と思ったら、wikiによれば、鹿踊は東北を治めていた南部氏、伊達氏に受け継がれる芸能だそうで、
愛媛には、初代伊予宇和島藩主になった伊達政宗の長男がもたらしたもののようです。へえーえー、意外なつながり。


【静岡 三四呂人形】
これはちょっと変わった由来の人形で、静岡は三島出身の野口三四郎という人形作家さんが作ったものか、
その複製だけを三四呂人形というらしいです。
写真は「人形抱き」という作品の複製のようです。この素朴なかわいらしさに比して作った人の人生が悲しすぎて……。
でも、数少ないながらに、評価されて大切に保存して残されているのは、人形たちには幸せなことかも知れません。


【福井 越前竹人形】
越前竹人形の始まりは昭和20年代とのことで、比較的新しい民芸品のようです。
竹を使った竹籠や花器の廃材で何かできるものは?と考えて始まったようです。
民俗人形ってそんな風にして作られ始めたものが多いのかも知れませんね。手すさび、遊びの賜物。


【新潟 越後獅子】
あれ、この人形かわいいけど、かわいそうな話と結びつくような覚えが…?と思ったら、
wikiにあったような話を、昔何かしらで聞いたことがありました。
民俗系の本を読んでると、どうしてもこういう暗い面の話が出て来ます。
そういった話は、語られないまま忘れ去られることを望まれているのかも知れませんが、
民俗を見ていく上で、とても大事なものが含まれているような気がします。
暗い面ばかりクローズアップするのではなく、かつてこういう歴史があったと知っておくのは、
けして悪いことではないんじゃないかな。。


【富山 立山の雷鳥】
雷鳥は珍しいかも?こんな風に一つ一つ全部名札がついてるのです。


【長野 伊那松川人形】
これは大名行列の人形のようです。名札の言葉で検索すると、大体いくつか記事がひっかかってきて、
そういう種類の人形があるとわかります。
ていうかこのコーナーの人形、ずいぶん沢山あるんですけれど、それぞれちゃんと由来があるんだなあ。


【大分 豊年馬】
新しい米俵を沢山しょってる馬は、おめでたい象徴だったんでしょうね。
先日馬の博物館で買った過去のカタログに、「馬にかかわる民俗 水をめぐって」という小冊子があって、
その中にちょっと面白い話があったので、要約してひとくさり。

奈良の吉野に丹生川上神社という古い大きな神社があって、罔象女神(ミツハノメノカミ)という水の女神が祀られています。
雨が乏しい時、また雨が多すぎる時には、時の政府から馬が献上され、
雨が必要な時には黒い馬を、雨が止み晴天となるよう求める時は白い馬を奉り、
奉られた馬たちは社の下を流れる丹生川の「馬背」というところで荒い浄められ、馬谷という土地へ放たれていたそうです。
この馬の奉納は応仁の乱の頃とだえてしまい、その後はかわりにわらの馬を黒い布か白い布を着せて献上するようになり、
それも明治ごろには行われなくなりました。


こんなわけで、馬と水は特にかかわりが深いとされていたようです。
そういえば馬の博物館に、岩手の牛の博物館のポスターが貼ってあって、そっちも行ってみたいなあと思ったしだいです。
牛よモオ~~~


【宮城 木下駒 青森 八幡駒 福島 三春駒】
この形の駒は有名ですよね。木彫りの駒の主産地はこの東北の三カ所なんだそうです。
どこも昔から馬との関わりが深く、木材の豊富な土地だったとのこと。
昔切手を集めていたんですが、干支の切手などによくこういう民芸人形の絵柄が使われていて、
それでけっこう知っていたものがありました。

紀元前の古い文明からも人形は見つかっていますから、人形は、人間にとって大事な意味を持ってたんだろうと思います。
うちもぬいぐるいみとか増えちゃって、どうすんだこれ、みたいな状況になってますが、、、
でも時々こうして人形の家に来て、色んな国の、色んな時代の人形を見ると、思ったほど変わらないんだなあと、
ほっとするようになりました。ほっ・・・


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