特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2-16・ドップラーシフトの一般式の検証の6

2023-10-10 03:30:36 | 日記

2、音と光のドップラーシフトの関係

前のページで述べた状況をまた別の観点から見てみます。

ういき「ドップラー効果」: https://archive.md/MNLxG :より

音の場合は

『観測者も音源も同一直線上を動き、音源S (Source) から観測者O (Observer) に向かう向きを正とすると、観測者に聞こえる音波の振動数は、

観測者に聞こえる音波の振動数=音源の出す音波の振動数*ドップラー係数

それでドップラー係数を表す部分は

(V-vo)/(V-vs)と表される。

但しここで

V : 音速、vo : 観測者の動く速度、vs : 音源の動く速度』

となっています。

これをこのシリーズの速度方向の符号の取り方にあわせて書き変えますと上記ドップラー係数を表す式は

(V+vo)/(V-vs)

となります。

さてここでV(=音速)で分子、分母を割りますと

(V+vo)/(V-vs)

=(1+vo/V)/(1-vs/V)

ここで改めてvo/V=vo、vs/V=vsとします。

つまりは「音源と観測者が動く速度を音速で規格化する」のです。

さてそうするとこの式は

(1+vo)/(1-vs)・・・(5)式

となります。

ここで 1≧vo≧0、1≧vs≧0 です。

こうしますと前のページの光のドップラー係数の計算途中で出てきた式

(1+a)/(1-b)=(1+Vr)/(1-Vs)

と(5)式は同じ形の式になるのです。

 

さてそれでここで音についても相対速度Vを導入します。

(紛らわしい事にういきではVを音速で使ってました。しかし音源と観測者の移動速度を音速で規格化しましたので今は音速としてのVは見えなくなっています。そうしてこれ以降ではVを相対速度を表すものとして使います。)

そうしますと音の場合は相対速度Vは

V=vo+vs

となります。

これはガリレイ変換での速度の合成則です。

ここでvo=vsの場合は

vo=vs=V/2

となります。

そうであれば(5)式のドップラー係数は

(1+vo)/(1-vs)

=(1+V/2)/(1-V/2)

となるのです。

他方で光の場合は

ドップラー係数=sqrt(1+V)/sqrt(1-V)

でした。

この二つの式を0<V<1でプロットしてみます。

y=(1+V/2)/(1-V/2),y=sqrt(1+V)/sqrt(1-V),y=100000(V-1.0) プロット 0<V<1.1,0<y<40

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D%281%2BV%2F2%29%2F%281-V%2F2%29%2Cy%3Dsqrt%281%2BV%29%2Fsqrt%281-V%29%2Cy%3D100000%28V-1.0%29%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%800%3CV%3C1.1%2C0%3Cy%3C40

結果は「この二つのグラフはまるで違って見える」というものです。

コトブキ色が光、青色が音の場合を示します。

しかしながら実は光は相対速度V=1で衝撃波の発生(=ドップラー係数が無限大に発散している)となります。

他方で音はV=1では衝撃波とはならずV=2で衝撃波が観測されます。

従って次はV=2での音の状況を見てみる事になります。

 

y=(1+V/2)/(1-V/2),y=100000(V-2.0) プロット 0<V<2.1,0<y<40

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D%281%2BV%2F2%29%2F%281-V%2F2%29%2Cy%3D100000%28V-2.0%29%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%800%3CV%3C2.1%2C0%3Cy%3C40

音の場合はV=2でドップラー効果が無限大に発散する事(=衝撃波が発生している)が確認できます。

 

そうであれば音のドップラー効果がV=1で無限大に発散する様に音のドップラー係数の式を手直しして光の場合と比べてみます。

(1+V/2)/(1-V/2)ーー>(1+V)/(1-V) に変更

この変更は「音でもドップラー係数の式がV=1で衝撃波が発生する様に規格化した」という事に相当します。(注1

y=(1+V)/(1-V),y=sqrt(1+V)/sqrt(1-V),y=100000(V-1.0) プロット 0<V<1.1,0<y<40

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D%281%2BV%29%2F%281-V%29%2Cy%3Dsqrt%281%2BV%29%2Fsqrt%281-V%29%2Cy%3D100000%28V-1.0%29%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%800%3CV%3C1.1%2C0%3Cy%3C40

両方の式共にV=1で無限大に発散していますが、カーブの状況が異なり、音の方が早く発散しています。

しかしながらおおむねその挙動は同じように見えます。

つまりは「波の性質としてのドップラーシフトを見た時」には「音の場合も光の場合も似た挙動を示す」のです。

 

以上、見てきました様に「音も光もV=1でドップラー係数は発散する」のです。

ただし発散の仕方は音の方がはやい。

とはいえ音の場合は空気を基準とした時の音源の移動速度vs と観測者の移動速度voを使った場合、ドップラー係数を計算するは次の様になっています。

(1+vo)/(1-vs)・・・(5)式

ここで移動速度は音速で規格化すみ。

他方で光の場合は客観的に存在する静止系を基準とした場合、光源の固有速度Vsと観測者の移動速度Vrを使った縦ドップラー係数の式は

(1+a)/(1-b)=(1+Vr)/(1-Vs)となっています。

但し移動速度(=固有速度)は光速で規格化すみ。

加えてここではVr=Vsの条件の時、つまりは「相対論的な時間遅れの効果がドップラー係数に影響を与えない条件の時」が前提です。

このように見た場合には音と光のドップラー係数を表す式は同じになるのです。(注2

 

しかしながらここで相対速度Vを導入してこの2つの式を書き変えるとそこには違いがでてきます。

音の場合のドップラー係数

(1+V)/(1-V)

光の場合のドップラー係数

sqrt(1+V)/sqrt(1-V)

 

この違いが生じる原因は音の場合は音源と観測者との間の相対速度Vがガリレイ変換での速度の加算式

V=vo+vs

で決まるのに対して、

光の場合は光源と観測者との間の相対速度Vがローレンツ変換での速度の加算式

V=(Vr+Vs)/(1+Vr*Vs)

となっている為です。

 

さて、つまりは光のドップラーシフトの一般式は

古典的なドップラー効果を表す項*相対論的な時間遅れを表す項

と見かけ上はなっていて、相対論的な効果は「時間遅れを表す項」だけの様な説明がなされていますが実は「古典的なドップラー効果を表す項」においても「相対論的な速度の加算式」を通じて「相対論的な効果が入り込んでいる」のです。

そうであれば実は光のドップラーシフトの一般式は

古典的なドップラー効果を表す項を相対論化した項*相対論的な時間遅れを表す項

であると言えます。

但し「古典的なドップラー効果を表す項を相対論化した項」の項は見た目は「音のドップラー係数を計算する形式と同じになっている」と言う所が「紛らわしい所」ではあります。

 

注1:音と光のドップラー係数の比較を一つのグラフで行う為にはこうした工夫が必要です。

注2:この部分だけを見ますと「光にも音と同じような、波を伝える物質的な媒質が存在している」かのように見えます。

しかしながらその様な「光に対する物質的な媒質=エーテル」を想定し、なおかつ「ガリレイ変換による速度の加算則」をつかっては光のドップラーシフトの一般式の挙動を説明する事はできないのです。

その事を上記で示した最後のグラフが示しています。

つまりは「光のドップラー効果の一般式は物質的な光の媒質としてのエーテルの存在を否定している」のです。

他方で「光のドップラー効果の一般式は静止系が客観的に存在する事を否定しておらず、むしろその事を肯定しています。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/BbnCA

 


その2-15・ドップラーシフトの一般式の検証の5

2023-10-07 02:26:12 | 日記

・前書き

ドップラー効果を表す一般式は次の形をしています。

f1=f0*(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2))*sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2) ・・・(1)式(注1

 

さてこの式をみますれば

Vr=0、Vs≠0で通説の式(=光源が相対速度Vsで動く場合の式)

ν’=ν*sqrt(1-V^2)/(1-V*Cos(Θ1)) ・・・(2)式に 

そうしてまた 

Vr≠0、Vs=0でアインシュタインの式(=観測者が相対速度Vrで動く場合の式)

ν’=ν*(1-V*Cos(Θ2))/sqrt(1-V^2) ・・・(3)式になるのでした。

 

そうしてこの2つの式((2)式と(3)式)はΘ1=π、Θ2=0では光源と観測者が近づく方向に動く場合であって、その場合はこの2つの式は縦ドップラーを表すのでした。

くわえてその時にはこの2つの式は最終的には同じ一つの式

ν’=ν*sqrt(1+V)/sqrt(1-V) ・・・(4)式

となる事は「その2-5」で確認した事でもあります。

-------------------------------------

さてそれで次にはVr≠0、Vs≠0の場合、つまりは「光源と観測者の両方が動く場合」を確認しました。

ただしここで相対速度Vについては

V=(b+a)/(1+b*a)

が成立しているものとします。

さらにΘ1=π、Θ2=0の場合を考えます。

つまり「光源と観測者がお互いに近づく方向」です。

そうすると(1)式は

f1=f0*(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2))*sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2)

=f0*(1+a)/(1-b)*sqrt(1-b^2)/sqrt(1-a^2)

=f0*sqrt(1+a)/sqrt(1-b)*sqrt(1+b)/sqrt(1-a)

となります。

それを整理していきますと最終的には

sqrt(1+a)/sqrt(1-b)*sqrt(1+b)/sqrt(1-a)=sqrt(1+V)/sqrt(1-V)

となります。

さてこれもまた光源と観測者がお互いに近づく場合の縦ドップラーの式、(4)式そのもになっているのでした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・本論

1、さてそれで今回もVr≠0、Vs≠0の場合、つまりは「光源と観測者の両方が動く場合」です。

但し今回はVr=Vs の場合を確認して見ます。

それでここではVr=a、Vs=bと置き換えて、従って相対速度Vについては

V=(b+a)/(1+b*a)

が成立しているものとします。

さらにΘ1=π、Θ2=0の場合を考えます。

つまり「光源と観測者がお互いに近づく方向」です。

そうすると(1)式は

f1=f0*(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2))*sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2)

=f0*(1+a)/(1-b)*sqrt(1-b^2)/sqrt(1-a^2)

となります。

 

ここでa=bの時を考えます。

この時は(1)式の時間遅れを表す項sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2)は

sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2)

=sqrt(1-a^2)/sqrt(1-a^2)

=1

となります。

つまりは「光源と観測者の時間遅れの状況が同じ」である為に「相対論的な時間遅れの影響がなくなる」のです。

 

さてそれで次は残りの項(1+a)/(1-b)について考えます。a=bより

(1+a)/(1-b)

=(1+a)/(1-a) ・・・(5)式

です。それで相対論的な速度の加算式より相対速度Vは

V=(b+a)/(1+b*a)

=2a/(1+a^2)

となっています。

これをaについて解きます。

V*(1+a^2)=2a

V+V*a^2-2a=0

2次方程式の根ですから解は

a=(1-sqrt(1-V^2))/V と a=(1+sqrt(1-V^2))/V の2つです。

但しここで 1>a≧0 、1>V≧0 の縛りがあります。

a=(1-sqrt(1-V^2))/V の挙動を調べます。

ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%281-sqrt%281-V%5E2%29%29%2FV

表示されているグラフより

1>V≧0 の時に 1>a≧0 である事が分かります。

他方で

a=(1+sqrt(1-V^2))/V の場合は

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%281%2Bsqrt%281-V%5E2%29%29%2FV

となり、

1>V≧0 の時に a≧1 である事が分かります。

そうであれば a=(1+sqrt(1-V^2))/V は解としては却下されます。

こうしてaの解は

a=(1-sqrt(1-V^2))/V

を選ぶことになります。

 

さてそれでこの解を(5)式に代入します。

(1+a)/(1-a)

=(1+(1-sqrt(1-V^2))/V)/(1-(1-sqrt(1-V^2))/V)

ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%281%2B%281-sqrt%281-V%5E2%29%29%2FV%29%2F%281-%281-sqrt%281-V%5E2%29%29%2FV%29

「別の形」の最初に答えが出ています。これを整理します。

(1+V)/sqrt(1-V^2)

=sqrt(1+V)*sqrt(1+V)/(sqrt(1-V)*sqrt(1+V))

=sqrt(1+V)/sqrt(1-V)

はい、これは光源と観測者が相対速度Vで近づく場合の縦ドップラーの式になっています。

 

まあこの結果は実はすでに「その2-11」で一般的な解として求められていたものでした。

それをここでもう一度再確認した理由は「Vr=Vs」の時には上記で示した様にドップラー効果を表す一般式である(1)式の中で「相対論的な時間遅れを示す項の影響がなくなる」からです。

にもかかわらず続けてその時の状況を調べてみますと「光源と観測者が相対速度Vで近づく場合の縦ドップラーの式がそれまでと同じ様に出てくる」のです。

 

さてこれはとても奇妙な事、あるいは巧妙な事であります。

そうしてそのカラクリはどうやら「相対論的な速度の加法則にある」様です。

 

つまりは(1)式で表されているドップラー効果を表す一般式は見かけ上は

古典的なドップラー効果を表す項*相対論的な時間遅れを表す項

という2つの項の積になっています。

しかしながらそこには「その2つの項で使われている固有速度VrとVsによって相対論的な速度の加法則から相対速度Vが計算される」という情報が隠れているのです。

そうしてその縛りがあるために「Vr=Vs」の時には上記で示した様にドップラー効果を表す一般式である(1)式で「相対論的な時間遅れの項の影響がなくなる」のにもかかわらず相変わらず同じ縦ドップラーの式が出てくるのです。

さてそうしますと(1)式で表されているドップラー効果を表す一般式は実は

・古典的なドップラー効果を表す項

・相対論的な時間遅れを表す項

・相対論的な速度の加法則

という3つのルールから成り立っている事になります。(注2

そうして注意すべきことはこの時に

・相対論的な時間遅れを表す項

・相対論的な速度の加法則

の2つはローレンツ変換からの帰結として出てきているという事であります。

それゆえに「どこに客観的に存在する静止系があった」としても、その事に無関係に「光源と観測者との間の相対速度Vで縦ドップラーの値は計算できる」という事になっている様におもわれます。

 

注1:ドップラー効果を表す一般式

f1=f0*(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2))*sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2) ・・・(1)式

ここでVrは静止系に対する観測者の相対速度(=固有速度)、Vsは静止系に対する光源の相対速度(=固有速度)を示します。

但しVr、Vsの方向はお互いが近づく方向をプラスに取ります。

f1は観測される周波数、f0は光源の周波数です。

角度についてはこれまでと同様の取り方になります。

Θ1=π、Θ2=0がお互いが近づく方向、Θ1=0、Θ2=πがお互いが離れる方向です。

但しこの時 Θ2=abs(Θ1-π) の関係が成立しています。それで

(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2)) の項が古典的なドップラー効果を表す部分で

sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2) の項が相対論的な効果(=時間遅れの効果)を表します。

注2:「・古典的なドップラー効果を表す項」というのは具体的には「音のドップラー係数を算出する式」です。

そうであれば「この奇妙な音と光の関係」に最初は戸惑うのです。

しかしながらそこには「・相対論的な速度の加法則」が陰に隠れているので、表面上は「音のドップラー係数を算出する式」の形をしていますが「これは別物」なのです。

そうしてそのあたりのことは次のページで検討する事と致します。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/p8Ejb

 


その2-11-2・ドップラーシフトの一般式の検証の1:追補

2023-10-04 02:07:23 | 日記

「その2-11」では導出された一般式で光源と観測者がお互いに近づく場合の縦ドップラーを計算しました。

それでここでは「お互いに遠ざかる場合の縦ドップラー」がどうなるのかを確認しておきます。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

さてそれで今度はVr≠0、Vs≠0の場合、つまりは「光源と観測者の両方が動く場合」を確認して見ます。

ただしここで相対速度Vについては

V=(b+a)/(1+b*a)

が成立しているものとします。

くわえてここではVr=a、Vs=bと置き換えています。

さらにΘ1=0、Θ2=πの場合を考えます。

つまり「光源と観測者がお互いに遠ざかる方向」です。

そうすると(1)式は

f1=f0*(1-Vr*cos(Θ1))/(1-Vs*cos(Θ2))*sqrt(1-Vs^2)/sqrt(1-Vr^2)

=f0*(1-a)/(1+b)*sqrt(1-b^2)/sqrt(1-a^2)

=f0*sqrt((1-a)^2)/sqrt((1+b)^2)*sqrt(1-b^2)/sqrt(1-a^2)

=f0*sqrt(1-a)/sqrt(1+b)*sqrt(1-b)/sqrt(1+a)

となります。

 

さてそれで

sqrt(1-a)/sqrt(1+b)*sqrt(1-b)/sqrt(1+a)

の部分に注目します。

そうしてまた相対速度Vを

V=(b+a)/(1+b*a)

としました。

従って

b=(V-a)/(1-V*a)

となっています。

それを注目している部分式のbに代入しますと

sqrt(1-a)/sqrt(1+b)*sqrt(1-b)/sqrt(1+a)

=sqrt(1-a)/sqrt(1+(V-a)/(1-V*a))*sqrt(1-(V-a)/(1-V*a))/sqrt(1+a)

ウルフラムを呼んで

https://ja.wolframalpha.com/input?i=sqrt%281-a%29%2Fsqrt%281%2B%28V-a%29%2F%281-V*a%29%29%EF%BC%8Asqrt%281-%28V-a%29%2F%281-V*a%29%29%2Fsqrt%281%2Ba%29

答えは「別の形」にあります。

2番目の形が整理しやすいでしょう。

V<1およびa<1ですので

v-1とa-1はこのままではマイナスに落ちます。

虚数はいやですのでルートのなかの分子、分母にそれぞれー1を掛けます。

こうしてもこの式の値には変化がありません。

そのうえで分子、分母にある同じ項を消しますと残るのは

sqrt(1-V)/sqrt(1+V)

となります。

さてこれは光源と観測者がお互いに遠ざかる場合の縦ドップラーの式になっています。

(Q.E.D)

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/jo4uh

 


「特殊相対性原理」あるいは「時間の遅れはお互い様」について

2023-10-01 03:10:55 | 日記

アインシュタインの特殊相対性理論(1905年): https://archive.md/hjDby :の冒頭部分にある「(1)相対性原理」から話を始めよう。

以下引用です。

『物理現象を観測するある座標系(K系とする)とそれに対して一定速度vで移動している座標系(k系orK’系とする)を考える。これらの座標系の様に、相手に対して互いに一定速度で動いている座標系を、“慣性系”という言う。

 それら互いに慣性系の関係にある座標系の座標値を用いて表した各座標系に於ける力学の運動方程式(ニュートンの“運動の第二法則”や“運動の第三法則(作用反作用の法則))”は、全て同じ形で表されることが知られている。これはガリレオ・ニュートンの相対性原理として知られているものですが、その詳細は文献205.のp24~28をご覧下さい。

 このように力学現象を表す法則が座標系の選び方によらず全て同じ形式で表されることを“自然法則の相対性原理”という。ただしここでは互いに一定速度で動いている座標系に対してのもので、互いに加速度運動をしている座標系間についてのものではない。互いに等速度で動いている座標系に付いての相対性なので“特殊”相対性原理と言うことにする。

 この事は、力学的な現象をいくら詳しく調べてみても、自分たちが互いに等速度で動いている座標系の中のどの座標系に存在するのかを知ることができない事を意味する。つまり我々は絶対的な空間を直接認識する何らの手段(少なくとも力学的な手段の中には)を持っていないことになる。

 アインシュタインは、その様に絶対的な空間を知ることができないという考え方に導かれて相対性理論を打ち立てた。そのとき大きな影響を受けたのがマッハの『力学』であったようです。』(注1)

さて「絶対的な空間が存在しても、そこと我々が暮らす宇宙との間に相互作用が無ければ」つまりは「絶対的な空間を知ることができない」のであれば、「その空間は我々にとっては存在していないのと同じである」とするのは妥当な所であります。

さてここでのべられている「相対性原理」は「全ての慣性系は平等である」と読み替える事ができます。

そうしてそれはまた「他の慣性系に対して優先する様な慣性系は存在しない」という宣言でもあります。

つまり「客観的に存在する静止系はない」という宣言です。

 

さてそのようにして始まった特殊相対論でありますから、「客観的に存在する静止系は持ち出す事ができない」のです。

とはいえ「計算をする上で静止系は必要」なのです。

何故ならば「特殊相対論は運動する慣性系を相手に計算をする」のですから「何に対して運動しているのかを明示する必要がある」のです。

従って「仮に自分がいる慣性系を静止系としよう」。

そうして「観測している相手の慣性系が動いているものとしよう」という事にしたのです。

 

さてここまでは「計算する上での仮定、前提の話」ですから如何様にも設定できます。

「ん、お前は何を言ってるのか?」という声が聞こえます。

つまりは「全ての慣性系が平等である」のだから今は「自分が立つ慣性系を静止系として仮に設定した」のでした。

しかしながら必ずしも「自分が立つ慣性系を静止系として設定する必要は無い」という事です。

何故いつも「自分が立つ慣性系を静止系として設定する」のですか?

その理由は何ですか?

その根拠は何ですか?

多分答えは「相手の慣性系が自分に対して近づいてくるように(あるいは離れていくように)見えるから」と言うものでしょう。

つまりは「自分から見ると相手の慣性系が運動している様に見える」というが唯一の根拠なのです。

そうしてそれは「自分が行った主観的な判断に過ぎない」のです。

 

この時にどうして「相手の慣性系が静止していて、自分が立つ慣性系が運動しているのではない」と言えるのですか?

何故「あいての慣性系が運動している」と言えるのですか?

あるいは「自分が静止している」と言えるのですか?

 

この時に得られている客観的な情報は「自分の慣性系と相手の慣性系との間の相対速度Vという値だけ」です。

そうして「2つの慣性系の間で観測される運動は相対的なものである」という事を知っている者は、「その相対速度がVという値になる自分と相手の慣性系がもつ速度の組合せは無限にある」という事を認識しています。

そうしてまたその無限にある組合せの中から「自分が静止していて、あいてが相対速度Vで運動している」と言う確率はほぼゼロである事も理解しています。(注2)

 

さてそうではありますが「時間が遅れる」と言う議論では常に「自分は静止していて、相手が運動している」と言う前提で話が始まります。

そうして言うのです。

「相手の時間が遅れている」と。

しかしながらその結論は最初に恣意的に「相手が運動している」と決めつけた所から始まっています。

なぜ最初の前提が「自分が運動している」ではないのですか?

あるいは「両方が運動している」ではないのですか?

 

客観的な情報「相対速度はVである」からは「自分が運動しているという前提で計算を行う事を排除する理由」はでてきません。

そうして「自分が運動している」と「自分が主観的に判断した」のであれば「自分の時間が遅れている」と計算する事が正解となります。

そのように計算する事は「相手が運動している」と「自分が主観的に判断した」ので「相手の時間が遅れている」と計算する事と同じ正当性を主張する事ができます。

 

さてそのように考えますと「自分と相手の相対速度Vが分かってもどちらの時間が遅れているのかは分からない」と言うことになります。

なぜならばそこには無限の数の計算結果が出てくるからです。

そうしてその一つ一つの計算結果が相対性原理にしたがって「自分こそが正しい計算結果である」と主張出来るのです。

 

以上、見てきました様に「相対性原理」からは「2つの慣性系の間の相対速度Vは観測可能である」が「それを使って2つの慣性系について、どちらの慣性系の時間が遅れているのかは計算できない」という事になるのです。

さてこの状況は「時間のおくれはお互い様」をこえて「もっとひどい混乱状況に入り込んだ」と言えます。

 

さて「計算では2つの慣性系についてどちらの時間が遅れていた」のか分からないのですから、「どちらの時間が遅れていたのかは実験して確かめる」という事になります。

さてそれで宇宙線由来のミュー粒子の寿命が延びている事は実験的に観測されています。

そうであれば、その観測結果からは「地球がほぼ静止系である」という事がわかります。

そうしてこの事実に反する実験結果は今の所、横ドップラーの実験結果を含めて報告されていません。

さてそうなりますと「地球がほぼ客観的に存在する静止系になっている」という事になります。

そうして特殊相対論はその事に異議を唱える事はありません

 

ただし困るのは相対性原理」になります。

それは「地球が他の慣性系に比べて(あるいは宇宙線由来のミュー粒子に代表される慣性系に比べて)優先される慣性系になっている、と言う事が事実となってしまうから」であります。(注3)

これはあきらかに「相対性原理が主張している全ての慣性系は平等であるに反しているのです。

 

 

注1:この文章に続き上記資料ではアインシュタイン自身のコトバで「特殊相対性原理が常に(あるいはロバストに)成立しているはずだ」と言う内容が述べられています。ご参考までに。

注2:アインシュタインはそのあたりの事をよく承知していたと思われます。

従ってアインシュタインはミンコフスキーの様に「時間の遅れはお互い様」とは主張しなかったのです。

なんとなれば「時間の遅れはお互い様」の主張は「常に自分が静止していて、相手が運動していると見なすとこから始まるから」です。

注3:この時に「時間の遅れはお互い様」論者は「ミュー粒子から見れば地球の時間が遅れている」=「動いているのは地球だ」と主張することになります。

しかしながらその主張は現実によって却下されます。

ちなみに「地球がほぼ静止系になっている」のは「ミュー粒子に比べて地球の質量が大きいから」ではありません。

「客観的に存在する静止系に対する地球の移動速度が光速Cに比べて十分に小さいから」です。

 

追記:アインシュタインが「時間遅れの例として示したもの」

2つの時計AとBが同一の慣性系にある。

この2つの時計は同じスピードで秒針がまわる。

さてこの2つの時計の内、一つを閉曲線Cにそってぐるっと一回り、そのあたりを巡回させる。

そうするとそのようにされた時計の針は元の慣性系に戻ってみるとそこにずうっといた時計よりよりも時間が遅れている事を見出す、と。

このアインシュタインの提示した例では「こちらの時計は静止系にある」とか「そちらの時計が動いている」とかいう話はでてきません。

これは、もし仮に静止系があったとしてもその影響を受ける事なく、常に「旅に出た時計の方が特殊相対論の結論として時間がおくれて戻ってくる事になるから」であります。

つまりアインシュタインの主張は「より多く運動した時計の方が時間が遅れる」というものです。

しかしこれもまた奇妙な主張です。

静止系を前提とせずに「より多く運動した時計を指定できる」という状況については、不思議なものであります。

ちなみにこのアインシュタインの主張から今ではよく知られる事になった「双子のパラドックス」が出てきたのでした。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/dVfPe