特殊相対論、ホーキング放射、ダークマター、ブラックホールなど

・時間について特殊相対論からの考察
・プランクスケールの原始ブラックホールがダークマターの正体であるという主張
 

その2-19・アインシュタインがやったこと+光行差の式

2023-10-20 00:36:58 | 日記

2、アインシュタインがやったこと

アインシュタインが「光源を動かして観測者が静止している」と言う条件でどのようにアインシュタインの式と光行差の式を使って「赤方偏移の計算をした」のか、確認しておきます。

それでアインシュタインの式は従来通り

ν’=ν*(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2) ・・・(2)式

アインシュタインが出した光行差の式

cosφ’=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

ここで求めるべきは「観測者を静止させて光源を動かす」という実験を行った時のドップラー係数です。

それはつまり「観測者から見た時に光源からの光は真上から来る、従ってφ’はπ/2である」という事です。

従って光行差の式は

cosφ’=cos(φ’)=0

=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

ここで相対速度を0.5Cとしますと

0=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

=(cosφ-0.5)/(1-0.5*cosφ)

これをcosφをxに置き換えてウルフラムに入れます。

0=(x-0.5)/(1-0.5*x)

https://ja.wolframalpha.com/input?i=%EF%BC%90%3D%28x-0.5%29%2F%281-0.5*x%29

x=0.5=cosφ

従って

φ=invcos(0.5)=π/3

φがでましたので、これをアインシュタインの式に入れます。

(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2)

=(1-0.5*Cos(π/3))/sqrt(1-0.5^2)

=(1-0.5*0.5)/sqrt(1-0.5^2)

=0.866

こうしてアインシュタインは自分が導出した2つの式から「観測者が静止していて光源が動いた場合の横ドップラーの値が計算出来た」のです。

そうしてその値は「赤方偏移を示していた」のであり、これが実験によって確かめられたのです。

 

ちなみにこの0.866という数字は通説の式で角度を90度とし、相対速度を0.5Cとした場合に一致しています。

一応グラフでその状況を確認しておきます。

y=0.866,y=sqrt(1-0.5^2)/(1+0.5*cos(x)),y=(1-0.5*cos(x))/sqrt(1-0.5^2),y=1000000*(x-pi/2),y=1000000*(x-pi/3),y=1 プロット  0<x

https://ja.wolframalpha.com/input?i=y%3D0.866%2Cy%3Dsqrt%281-0.5%5E2%29%2F%281%2B0.5*cos%28x%29%29%2Cy%3D%281-0.5*cos%28x%29%29%2Fsqrt%281-0.5%5E2%29%2Cy%3D1000000*%28x-pi%2F2%29%2Cy%3D1000000*%28x-pi%2F3%29%2Cy%3D1%E3%80%80%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%88++0%3Cx%3Cpi+%2C-0.1%3Cy%3C2

紫の縦棒が角度π/3の位置を示します。

その縦棒とアインシュタインの式である緑のカーブとの交点が解ですが、それは通説が示す式のコトブキ色のカーブの角度がπ/2の値と一致しています。(注1)

 

こうしてアインシュタインは通説の式を使う事なく「観測者が静止していて光源が動いた場合の横ドップラーの値が計算出来た」のでした。

アインシュタインが「全ての運動は相対的なものである」=「絶対運動はない」という立場をとっていたと想定する事は自然な事であります。

そうであれば「光源が静止していて観測者が動いている」という前提で導出したドップラーシフトの式を「光源が動いていて観測者が静止している」と読み替えたと想定する事も自然な事でしょう。

但しその読み替えの時に「観測者にとっては光源からの光は上方から90度の角度で観測者に届いた」という条件を付け加える事が必要でした。(注2)

これが「観測者が静止していて光源が動いた場合の横ドップラーの値を計算する為の条件」でした。

そうしてそれはこれもまた自分が導出した光行差の式を使う事で可能となったのでした。

 

2-2、アインシュタインが出した光行差の式の別導出方法

通説の式は

『ν’=ν*sqrt(1-V^2)/(1-V*Cos(Θ)) ・・・(1)式

但し静止している観測者に対して光源が動く場合: Θ  : 観測者から見た光源の動く方向(Θ  =0 :観測者に向かってくる場合)』

それでアインシュタインの式は

『ν’=ν*(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2) ・・・(2)式

但し静止している光源に対して観測者が動く場合: Θ  :光源から見た観測者の動く方向(Θ  =π :光源に向かってくる場合)』

 

ここで(1)式のドップラー係数の部分を

sqrt(1-V^2)/(1+V*Cos(Θ))=sqrt(1-V^2)/(1+V*x)

x=cos(φ’)

(2)式のドップラー係数の部分を

(1-V*Cos(Θ))/sqrt(1-V^2)=(1-V*b)/sqrt(1-V^2)

b=cos(φ)

とします。

ウルフラムを呼んで

sqrt(1-V^2)/(1-V*x)=(1-V*b)/sqrt(1-V^2) の根

https://ja.wolframalpha.com/input?i=sqrt%281-V%5E2%29%2F%281-V*x%29%EF%BC%9D%281-V*b%29%2Fsqrt%281-V%5E2%29%E3%80%80%E3%81%AE%E6%A0%B9

答えは

x=(b-V)/(bV-1)

変数名をもどして

cos(φ’)=(cos(φ)-V)/(V*cos(φ)-1)

光行差の式の形に合わせると

cos(φ’)=-(cos(φ)-V)/(1-V*cos(φ))

もともとのアインシュタインが出した光行差の式は

cosφ’=(cosφ-v)/(1-v*cosφ)

ここでドップラー係数の部分の通説の式とアインシュタインの式は角度の取り方が逆になっている事に注意します。

その部分を加味しますとウルフラムで出した式のφ’はπ-φ’の事であり従ってアインシュタインが出した光行差の式のφ’に合わせますと

cos(φ’)=(cos(φ)-V)/(1-V*cos(φ))

となり、めでたくアインシュタインが出した光行差の式と一致する事になります。

 

さてこれは皆さんがやっておられる「アインシュタインのドップラーシフトの式をアインシュタインの光行差の式を使って通説の式に変換する」という事を逆にやってみたのです。

そうであれば「こうなる事は見えていた事」です。

 

しかしながら「光源を止めて観測者が動いている」として導出されたアインシュタインの式と、それとは真逆の「光源を動かして観測者を止めている」として導出した通説の式をイコールで結ぶと何故か「アインシュタインが出した光行差の式が出てくる」というのは不思議な事の様にみえます。

というのも2つのドップラーシフトの式を導出する際には光行差の事は考えていない、考慮していないからです。(注3)

にもかかわらずこの2つの式をイコールで結ぶとアインシュタインが出した光行差の式が出てくるのです。

このあたり、もう一つ光行差の式の秘密が隠れいる様に思われます。

 

注1:プロットされたカーブが説明と異なる場合は再トライしてみてください。

ウルフラムは時々違うカーブを出す事があります。

注2:「観測者が静止していて光源が動く場合」に対応した通説の式では、この条件は幾何学的に設定できます。

しかしながら「観測者が動いていて光源が静止している条件で出されたアインシュタインの式」では「光源側から見た時の90度条件は簡単に設定できますが、その光を観測者がどのように認識しているのか」は幾何学的には解析できません。

そこは「アインシュタインが出した光行差の式を使う」以外には方法はないのです。

注3:アインシュタインがドップラーシフトの式を導出した手順は: http://fnorio.com/0160special_theory_of_relativity/special_theory_of_relativity.html#2-B-3 :「2.ドップラー効果」をご確認願います。

通説の条件でのドップラーシフトの式を導出する手順は、たとえば: https://archive.md/krajI :あるいは: https://archive.md/cbVVE :の様になります。

 

PS:相対論・ダークマターの事など 記事一覧

https://archive.md/G3wzj