どこぞの相対論の本には「時計を合わせて逆方向にそれぞれ0.8Cで飛び去った双子の兄弟はお互いの時計が遅れているのを確認するが、その二人は二度と会うことは無いのでパラドックスは生じない」とかなんとか書かれてある、とか。
当方にとってはこのような説明は説明になっておらず、単なる言葉遊びとしか見えません。
まあそれはさておき、このあたりでまた状況を整理しておきましょう。
ちなみに双子のパラドックスを検討する業界内の常識では「逆方向にすれ違う宇宙船同士はすれ違う時に情報交換が出来る」という事は認めている様です。
つまり「すれ違う時に相手の船の時刻は確認できる」、そうしてまたそれ故に「時刻合わせもできる」という事になります。
さてそれで、通常の双子のパラドックスでは「宇宙旅行に出た方が途中で方向転換をして地球に戻る」という設定でした。
それで「地球を出発する前に合わせた時計が旅行から帰ってきたときにどうなっているのか」というのがお題でした。
その場合、旅行に出た方は方向転換をせざるを得ず、従ってその時に加速度の変化を受ける、これが時間の遅れを生む一つの要因になっている、と説明されています。
それに対して当方の、そうしてまた多くの方々が疑問に思っている事は「その様な加速度変化がない時にはどうなるのか?」というお題です。
しかしながら、その事について正面から取り組んで解析した例を寡聞にして知りません。
まあそういう事もあって「それでは方向転換なしでの双子のパラドックスを考えてみようではないか」という事で始まった話です。
さてそれで、「お互いが最終的にすれ違う状況を作る為」には、「逆方向に飛び去る」のではなく「お互いが接近する」という状況を作る必要があります。
そうしないと時計の答え合わせが出来ませんから。
それでその場合、2隻の船の時計合わせはお互いが接近しつつある状況で行う事が必要になります。
その為にはアリスとボブという2つの慣性系のほかにもう一つのO君という慣性系を導入する必要が生まれます。
そうしてO君慣性系を「仮の基準慣性系」として認め、O君の時計に対してアリスとボブは時刻合わせをするのでした。
このあたりの詳細については「その2・ 双子のパラドックス・相対論」:http://fsci.4rm.jp/modules/d3forum/index.php?post_id=26437 :の内容でご確認ください。
さてそのようにして時刻合わせが出来たアリスとボブは最終的にO君の位置ですれ違い、その時に時計の答え合わせが出来ます。
それで、特殊相対論のロジックでは「アリスとボブはそれぞれがお互いの時計は遅れているとO君に報告する事になるがそれで問題はない」という事になります。
しかしながら、ミュー粒子の時間の遅れという「実際のこの宇宙で起きている事」を参照するまでもなく、上記の様な相対論の主張は論破できます。
その方法は、といいますれば「アリスとボブはO君に対して全く対称的に運動している」という事実をつかうものです。
そうしてこの対称性というものは相対論がいう「お互いがあいての時計が遅れているとみる事に問題はない」という主張よりも「物理的にはより基本的な主張である」と見なす事が出来ます。
したがってこの「対称性の要請」から、「アリスとボブの時計は同じ時刻を示している」という結論が導かれる事になります。
そうであれば特殊相対論のロジックが言う「アリスとボブはそれぞれがお互いの時計は遅れているとO君に報告する事になるがそれで問題はない」という主張は間違っているという事になります。
そうしてまた「アリスの慣性系では時間遅れの計算が間違う」という事になります。
ちなみに相対論が要請している「運動する事による時間の遅れ」はアリスとボブの時計がO君の時計に対しては遅れる、という所に現れてきています。
追記
上記内容は「特殊相対論の時間の遅れについての結論は物理法則が満たすべき対称性の要求を満足していない」と言いかえる事が出来そうです。
その事はまた特殊相対論の中では成立している様に見える「時間の遅れ」合成則ではありますが、それは実際の場面では成立していない、「アリスからボブを見た時の時間の遅れを正しく計算できていない」という事になります。
それで、「この状況は本当に奇妙なもの」です。
と言いますのも「アリスから見たボブの相対速度にはリアリティーがある」、「速度の加算式を使って計算した値」であって、そうして実際に測定すればその値になる、にもかかわらずその相対速度を使って計算した「アリスから見たボブの時間の遅れ」にはリアリティーがない、現実には存在しない時間の遅れを特殊相対論は見ている、という事になりますから。
追記の2
上記で取り上げたケースの具体的な例がありました。
何のことは無い、この地球に降り注いでいるミュー粒子を考えてみればそれでOKです。
ただし地球を真ん中にして、例えば日本辺りに降り注いでいるミュー粒子と、地理的に日本の正反対にあたる地点、それは多分、南米あたりにある場所でしょうけれど、その場所に降り注いでいるミュー粒子を考えます。
その2つの場所に降り注ぐミュー粒子は確かに地球に対しては時間が遅れますが、そこで地上に走ってくる、地球を挟んだ形の2つのミュー粒子を見た時には、その2つのミュー粒子の間には時間の遅れは観察されません。
しかしながらその2つのミュー粒子の間の相対速度はほぼ光速なのです。
さてこの場合の状況を確認すれば、特殊相対論が言う所の「お互いに相手の時計は遅れていると主張でき、それは正しい」という言い分は明らかに間違いである事が、誰の目にも明らかになります。
そうしてこの事はつまりは「アリスの慣性系からではローレンツ変換の計算が成立しない」=「特殊相対論のロジックが破たんしている」という事を示している様です。
追記の3
以上の話のポイントは「実際に地球に降り注ぐミュー粒子の時間の遅れは対称的である」という事は勿論だが、その前に「物理学が要求する対称性と、特殊相対論の主張とは相いれない」という所にあり、これは「実験をして確認をする」という事の以前の問題であって、「特殊相対論が持つ理論上のアノマリーである」という所にあります。
加えて申し添えれば、多くの業界人はこのアノマリーに対して無視を決め込んでいる様に見える、という事です。
そうして「クッキングブックのレシピ」よろしく「相対論電卓で当面の計算が出来ればそれで良い、とする態度を取っている様に見える」という事にもなります。
ちなみに「仮に地球がアリスの慣性系の位置にあった」としても「速度の合成則」=「光の速度一定の法則」が働くため、光速の測定からはこのアノマリーを検出する事は出来ない、という事になります。
追記の4
「相対論」という名前が示すように「相対性」=「私があなたを見るように、あなたも私を見る」=「全ての慣性系は平等である」という主張は基本的には「対称性」とは相いれない主張の様に思われます。
「対称性」というのは右手と左手の関係であってそれは「あなたと私は同じ」という主張ではないのですから、、、。
追記の2に対する追伸
『・・・その2つの場所に降り注ぐミュー粒子は確かに地球に対しては時間が遅れますが、そこで地上に走ってくる、地球を挟んだ形の2つのミュー粒子を見た時には、その2つのミュー粒子の間には時間の遅れは観察されません。
しかしながらその2つのミュー粒子の間の相対速度はほぼ光速なのです。
さてこの場合の状況を確認すれば、特殊相対論が言う所の「お互いに相手の時計は遅れていると主張でき、それは正しい」という言い分は明らかに間違いである事が、誰の目にも明らかになります。・・・』
↑
この状況は特殊相対論が主張している「時間の遅れ合成則」が成立していない事を示しています。
何となれば「アリスからボブを見た時の時間の遅れ」は観察できない、アリスと同期している慣性系から見ても、「アリスと言う名前のミュー粒子が崩壊するのと同時にボブと言う名前のミュー粒子が地球の反対側で崩壊するのを確認できるからです。」
しかし「時間の遅れ合成則」では「ボブと言う名前のミュー粒子はアリスと言う名前のミュー粒子よりも後で崩壊する」としているからです。
そうしてそれが「特殊相対論のロジック」なのであります。
追記の2に対する追伸の2
地球のこちら側とその反対側に飛んでくるミュー粒子を使った「双子のパラドックスの実験」では時刻を合わせる必要がありませんでした。
この場合は単に「ミュー粒子の寿命の延びを確認する」という事で良かったのです。
そうであれば「双子のパラドックスの確認方法は2つある」という事になります。
一つは「2つの時計を合わせておいて、後でそのずれを見る」というもの。
もう一つは「第三者、ここでは地球に対する双子の時計の時間の遅れを確認する」という方法です。
そうしてその二つの時間の遅れの状態を比較すればよいのです。
それでミュー粒子を使ったものは勿論後者の方法という事になります。
そうしてその場合使うのは時計では無くてメトロノームで良い、という事になります。
但しここで使うメトロノームのテンポは正確に同じでなくてはなりません。
それで「メトロノーム=ミュー粒子の寿命」とした場合はその条件は「全てのミュー粒子は双子である」という事によって保障されています。
PS:相対論の事など 記事一覧
https://archive.fo/doMWJ
https://archive.fo/kpWrx
https://archive.fo/4ligg