今日の秋櫻写

こちら新宿都庁前 秋櫻舎

阿波徳島へ その2

2012年07月30日 20時55分21秒 | きもの

「八倉比売神社(やくらひめ・じんじゃ)」に到着。
ここは天照大神(卑弥呼)の葬儀が行われたという秘境の地。

境内の看板にはかの民族学者、折口信夫氏の一節が。
メモを取るワタシもワタシだが、折口とくれば抗えぬ。


以下メモから引用。

~「阿波における天照大神」は「水の女神に属する」として
 「もっとも威力ある神霊」を示唆しているが、
 あまりにも知られていない。~


この2日間、徳島にいて思ったのは、
この地はとても水がゆたかな土地だということ。

そして川のある土地は多いけれど、徳島の場合は
「川に沿って」道が出来ているところがものすごく多いのだ。
三木家のある付近などは特にそうだった。

三木家は山の上のほうにあるのだけど、
そこに行くまで、ずーっと川を左手に見ながら
道はのぼっていくのだ。
ずーっと、ずーっと。
途切れることなくずーっと。
こんな山も珍しいと思いながら美しい森を見ていた。
ついでにいえば、徳島は橋がいい。
特に平地に掛かっている橋が。
どの橋も郷愁をさそうような佇まいをしていたから。


さ、話を戻して。




まずはお参り。




さらに奥へ。

本殿の奥の細道を上っていくとその場所はあって。
小さな小さな社には、男根形の石がひとつ
祀ってあるだけなのだけど、なんというか、
ここ磁場が異常・・・!
ぐわんぐわん圧が掛かりっぱなし。
完璧にシャーマンエリアだ。
人によっては耳鳴りになった方もいたようだ。

ちなみに個人的には、やはり昔「つれづれ」で訪れた
「青島神社(宮崎県)」の奥にある原生林エリア以来だった。
あそこもすごかったなー。
神社そのものが海の中にあって、南国の植物が
にょきにょき植わってて、大らかで、大すきだった。




しかしここ、本当に「すごい空間でした」と
云うしかないようなところで。
あまりの気の強さと高さにどんどん細胞が
密になっていく感じ。




最後にみんなで手をつなぎ、輪になって、
目を閉じたのだけど、目をあけた瞬間、

「わあ」

日が射したのだ。





なんてドラマティックなラスト・シーン。
光がとても綺麗だった。

みなさん、何を祈ったのだろう。
祈りは意乗り。

ワタシはここの場がそうだったのかな、
目をつむっていたら、底のほうからフツフツきたのは
「生きよう」のバリエーションのようなものでした。
もうまるごと生気みたいなやつ。
ということは、逆もまた然りか。
生と死は表裏。
ひっくりかえったり、振り切れたり。
陰陽の対極、光と闇。
明るくも、せつない。
でも切なくても、みなぎる。




このとき、日だまりの中から
ヤマモモの実を拾う姐さん。


そうそう、下の写真はノゾミ嬢が撮ったもので、
奥のシャーマンエリアに行く前と後の本殿の様子。



すごいね、写真(笑)



記念撮影。
こういう場できもの姿が並ぶと、
やはりいいものだ。


次の目的地に行く途中でドライブ・イン。
みんなで兼さんお勧めの
アイスクリームをたべてしばしの休憩タイム。



そう、この日は7日で七夕だった。
忘れないようにと姐さんと。
こんな風にいたるところに笹飾りがあった。


一日目のラスト「阿波上一宮大粟神社
(あわかみいちのみやおおあわ・じんじゃ)」へ。

御祭神はオオゲツヒメ。
『古事記』では五穀と養蚕の起源の象徴として記されており、
大麻の栽培を徳島に広めた阿波忌部一族とも
とりわけ深い関係をもつ女神である。

また『古事記』では天照大神よりも早くに
登場するこの女神は、藤原氏が政権をとる以前から
この地にある古い土着神でもあって、
この神社も母性の波で満ち満ちていた。

何より感動したのは、これ。
バスから降りて最初に見上げたとき、
冗談抜きで息を呑んだな。



鳥居と神門から見上げた急勾配の長い参道。
石段のない苔むした坂の美しさ。
雨に湿ってグリーンのベルベットのようなのだ。
ああ、本当に雨上がりでうれしいことだらけだ!

数人の猛者は、この参道を登っていったっけ。
草履で!



先に到着したバス組は上から声援を送ったり。
でもこうしてみると、かなりの長さと傾斜度だ。



で、茅の輪をくぐったり、参拝したりして
もろもろを終えたところで雨。
うーん、パーフェクト。


ホテルに到着。
夜は浴衣に着替えてビールで乾杯。










夕食のあとは・・・部屋に戻らぬ。
まだつづくんである。

阿波忌部研究者、林博章氏によるレクチャー。
忌部と大麻との関係を明るくみっちり。





今日行った先々が具体的に我々の頭の中にあるから、
このお話も臨場感を伴い、さらに入りやすい。
明日の三木家の予習にもばっちりである。

しかし林先生。
ワタシ、もっとおじいちゃん先生かと(勝手に)
思っていたのだけど、実際の林先生はというと、
男っぷりも、がたいもいい偉丈夫でびっくり。



でもワタシみたいな思いの方は少なくなかったようで、
林先生が紹介されたとき
「ええっ」みたいな反応が結構あった(笑)
事実、林先生の本業は高校の先生で、
しかも野球部の顧問だという。

ああ、後半がぴったりすぎる。
声が太くて声量たっぷりなのも。


〆は阿波踊り。



ああ、どこまでいっても踊るワタシたち。



弘子さん、腰が入っててかっこいい。



比佐子さん、やっぱりバレエ(笑)








これがまた、残念だった(笑)
林先生、あのガタイでさぞや豪快な男踊りを
見せてくださるにちがいないと思っていたのに、
先生もまた踊れない人だったのだ(なぜなんだ)。
それにしてもこのステップ・・・いかんともしがたい!




龍言の女将さん、さすが名取。
そしていつもノリノリなのー。

ちなみに、このときは兼さんが音頭をとるのに合わせて、
みんなで声を出して拍子をとっていただけ。
それだけで踊っていた。

でもね、もうどうしようもない。楽しいんだもん(笑)
それにここは阿波徳島。
ワタシたちは踊るのだ。


さいごに。
これまたノゾミ嬢による写真。



宴が終わり自分の部屋に戻って窓の外をみたら、
月が「あり得ないほどきれい」だったという。
しかも、満月でもないのに丸くて、ものすごく輝いてるから、
「これはいつもとちがう!」と思ってスマホで撮ったんだって。

で、東京に戻ってきてから見たら、びっくり仰天。

「あのとき、下には何にもなかったんですよ。
 月が子どもを産んだみたいですよね」

・・・すごい。
ほんと、これなんだろうね。



というわけで。
素敵な一日目は素敵に終了。

二日目は、つづく。






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