(特活)バングラデシュと手をつなぐ会

南アジアの国 バングラデシュで
病院、学校、看護学校の運営支援を
行なっています

エクラムルのこと

2006年09月04日 | イベント報告
エクラムルという男がいる。
写真(左)のようにいかつい表情で、背も高く、映画の悪役、ギャングのような印象だ。
現地訪問で最後にお別れ会をやるが、そのときには必ず芝居の主役として出てくる。
実は彼は、母子保健センターの開設以来の貴重な人材だ。

現在カラムディ村には母子保健センターができて、2人の医師が常駐している。
しかし、95年にセンターができるまでは、村には医師はいなかった。
「ビレッジドクター」(はだしの医者)と呼ばれる人たちが、村の医療を担っていた。ビレッジドクターというのは、正規の医者ではなく、医師の下で少し修行をした程度の経験を持ち、村では薬屋などを兼務しながら医師(もどき)をやっている人たちだ。
正直なところ、医学知識は低く、設備ももちろんなく、村の医療を担うだけの実力は残念ながら、ない。しかし、現在でも村人は、医者にかかる前にまずビレッジドクターにかかるという。

エクラムルは、以前はビレッジドクターとして働いていた。
ビレッジドクターの中では、政府の研修などを受け、医学知識もレベルは高く、何より、志が高かった。
母子保健センターが完成すると同時に、ヘルスワーカー、兼薬局、兼レントゲン技師、兼・・・という何でも関わってやって来た。
行動力があり、村人たちからも信頼されている。
以前に聞いた話・・・村に疫痢が流行ったことがある。村ではトイレは少なく、道端や草むらで排便をしていたので、それを介して病気が広がる。彼は子供たちを守るために、道端の便に、砂をかけて回った、と言う。

村人の強い要望と、日本側の募金の呼びかけが実って、95年に母子保健センターが完成、エクラムルは特に村人との接点で、徐々に重要な役割を果たすようになった。
医師や看護師はいろいろな事情で交代したが、彼は一貫して母子保健センターのスタッフとして、村人たちとの間に立ってがんばった。
政治のあらしが吹き荒れ、ションダニ(村のNGO、手をつなぐ会のパートナー)や母子保健センターが危機にさらされた時も踏ん張った。
今では彼は、母子保健センターにとってなくてはならない存在となっている。

今年の訪問時にも、カラムディ村の巡回検診、村の外のサテライトクリニックやナースの巡回などを、彼の主導で実行、その成果を誇らしげに語ってくれた。
巡回検診で異常のありそうな患者が見つかると、ピンクの紙を渡して、センターを受診するように勧める。その受診率は60%と超える。
”ニノサカさん”と言いながら、そのピンクの紙を自慢そうに見せてくれた。

彼は、”ドクター・ニノサカは、オレのベストフレンドだ。”と言ってはばからない。ありがたいことだ。

どうですか、皆さん。
いかつい彼の顔が、少しばかりやさしく見えてきませんか?

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1 コメント

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あーほんと・・・ (jun*)
2006-09-05 23:54:14
映画のギャングみたいw



そう言えるだけの親しみやすさが、

この方にはあるんですよね~



大きな体に大きな心。

彼の話を聞くたびに、行動あるのみと思います。

何しろブレナイ!そこがステキです。



会いたいな~

バングラが隣町だったらいいのにw
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