うさぎとかえるの里

鳥獣戯画をこよなく愛する自分の日本文化や日常に関する想いをつづります。

もののあはれ。

2013-04-20 15:55:06 | 鑑賞



サントリー美術館の『「もののあはれ」と日本の美』を見に行ってきました。

忘れかけていた、古典を勉強していた時の感性がよみがえってきた感じがしました。

もののあはれ…それは四季の移ろいや自然の風景に接した時に感じる、しみじみとした趣…。

代表的には、「源氏物語」が「あはれ」の文学と言われています。
(ちなみに「枕草子」は「をかし」の文学)

それを文学的研究としてとらえたのが本居宣長。源氏物語の注釈書も出しています。

この展覧会では、日本の歴史の移り変わりとともに、その時々の「もののあはれ」を感じることができ、
それを見て、またしみじみと「美しいなぁ」などと何かしら趣を感じることで深く根付いた日本人の美的感覚を
再確認することができるというものです…と解釈しています。

ちなみに、展示の構成はこうなっています。

第一章 「もののあはれ」の源流 貴族の生活と雅の心

第二章 「もののあはれ」という言葉 本居宣長を中心に

第三章 古典に見る「もののあはれ」 『源氏物語』をめぐって

第四章 和歌の伝統と「もののあはれ」 歌仙たちの世界

第五章 「もののあはれ」と月光の表現 新月から有明の月まで

第六章 「もののあはれ」と花鳥風月 移り変わる日本の四季

第七章 秋草にみる「もののあはれ」 抒情のリズムと調和の美

第八章 暮らしの中の「もののあはれ」 近世から近現代へ


以上です。

源氏物語屏風や、貴族文化の中での絵巻物、螺鈿細工の硯箱(蓋の裏側にまで精緻な彫り物!!…欲しいなぁ~)、
高台寺で見たことのあるような、薄などの絵柄の蒔絵の品々…。

見応えありました。

月の満ち欠けも月の状態ごとにパネルがあって、それぞれの月の名称が書いてあるのも、
「あ、確かに和歌にでてきた」とか、十六夜月、寝待月、宵待月など情感ある名称を付けたのも、
昔の日本人ってなんて素晴らしいのだろうと思わずにいられないです。

秋の七草も、華やかな花よりも薄とか小さい地味な花が入っているのも、なんか控えめな日本人らしい…
これが「わびさび」にも通じていくんだね…。

花鳥風月コーナーでは、作品によく取り上げられる鳥の写真、説明や鳴き声をBGMで流しているのも良かったです。
不如帰や鶯、雉、など。

1時間以上、じっくり鑑賞してきました。

たまにしか行かないけど、東京ミッドタウンのサントリー美術館のあるフロアは、工芸品とか
インテリアとか、日本っぽい素敵な品物のお店がそろっていて、いつもいいなぁ~と憧れてしまいます。
コメント
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