中国ビジネスブログ「漢和塾の窓」

中国語や中国ビジネスに関連するテーマを、漢和塾の小川がつらつらと書き綴る・・・

上海の地下鉄事故・・・社会主義資本経済の危機!

2011-09-29 14:25:40 | 中国
一寸先は闇との言葉がありますが、ここ中国での先日の高鉄(新幹線)衝突事故に始まり、i一昨日の地下鉄10号線の衝突事故、さらには香港上空では、わずか数メートルで飛行機が激突する可能性があったニアミスが起こっていたり、どれも制御能力が問われる事故ばかり立て続いています。もちろん、これは程度問題で、中国に限らず、世界の何処でも列車衝突事故はあるわけですし、日本の原発など制御不能は許されないはずなのに起きてしまった大事故もあります。が、ここ中国での事故の原因は、割とはっきりしていると感じます。

そもそも中国、特に上海の発展は目覚しいものがありますが、地下鉄においては、ちょっと前まで4号線くらいまでしかなかったのに、上海世界博覧会にあわせるように、一気に13号線までできてしまいました。北京は面子の問題か、歯抜けの番号ですでに13号線はありますが、本数的には上海が圧倒的に多い・・・このスピード以外に問題は、お金の使われ方にあります。

以前にも申し上げましたが、中国の公共工事において、仮に1億元の予算がつくと、役人が5千万元を抜いて業者に発注、業者はその半分を着服して下請けに発注、出来上がりは品質はもちろん、安全管理にまで手が回らないこと言ったことになります。さらに今回事故を起こした10号線のホームには、達筆な楷書で駅名が書かれていますが、誰の知り合いかわかりませんが、あの文字だけで何億も飛んでいってしまうわけで、制御システムに問題が以前からあったにも関わらず、誰か死なない限りは修正の予算はなかなかつきません。

改革開放以来の、社会主義資本経済は矛盾を孕みながらも、政経一体システムとして奏功してきたと思いますが、ここにきて資本経済が欲望のままに独走し始めた・・・そのように感じます。階級社会が露骨になり、富裕層は海外に資金を逃がし、胡主席・温総理になって比較的安定していた政権ですが、上海閥の巻き返しで、お決まりの熾烈な内紛が、2012年にかけてさらに激しくなるでしょう。中国のトップは、独裁ではなく、政治局委員による集団指導体制ですが、その下の役人が猫ババも含めて、国の方向性を歪めてしまう。激動の近代史の中で安定するかに見えたこの10年ですが、やはり、2012年は、アメリカの金融テロ、欧州の混乱、中東の緊張に加えて、中国の政権交代が大きな影響を及ぼす、いわばエポックメイキングな1年になるかも知れません。

されどこの10日間で見た中国は、そんな要素とは関係なく、活気に溢れていました。日本にとっても、好き嫌いは別に付き合っていかなければならない国であることは間違いありません。中国語をうまく操る若い世代も上海や北京で増えてきていますが、政府が当てにならないだけに、まずは経済人で危機感を持ってチャレンジしていきたいものですね。それにしても、東京の空は青いですね!




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