トラカリコン!

「虎・借り・コン!」。虎の威を借りた狐。虎の威を借りて吠える狐が私…。虎が何であるかは、本人にもわからない。

コメントをお願いいたします。

矢部宏治著「日本人はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読んだ方からの、憲法改正についてのコメントをお待ちしています。 コメント受付用記事 のアドレス http://blog.goo.ne.jp/kanra-toriko/e/a08c500525a4ba2e568012c53edbaa6f

安倍首相は「選挙で信任されている」(ポツダム宣言の件)

2015-05-21 23:06:59 | 政治や経済
共産党の志位委員長との党首討論で安倍首相が「ポツダム宣言をつまびらかには読んでいない」というような答えをしたことが、話題になっていた。
首相の外交や歴史に関する言動に借り物的というか空虚な印象がある原因はこれか、と私は思った。それをあぶり出した志位委員長は鋭い。
この件についても首相についていろいろ思うことはあるが、この記事では「だからどうした」を書こうと思う。


<安倍首相にそういう批判をする人は、自己満足の世界にいる>

首相が、ポツダム宣言をちゃんと読んでいなかったこと・なのに外交とか戦後レジームとかやってきたことについて、驚いたり呆れたりする発言をする人はたぶん多い。そういう気持ちは当然である。
・・・だが、安倍首相を熱く支持する人達は、そういう発言を聞いて「そうか、安倍首相はいい加減な人だったんだな」と支持をやめるだろうか?

この件で安倍首相を無防備に批判する人達は、ある意味怖いもの知らずなんだろうな。「生意気な奴」として、集団から攻撃された経験はないのだろうか。
私にはあるもんね。これも前職場での経験だが、男の嫉妬は怖い、と知った。男尊女卑の激しい職場だったからだと思うが、仕事で男よりも女が高評価を受けたり男が知らないことを女が知っていたりすると、態度が急変する。男同士だと問題ないのよ。・・・なので、仕事の進展のためには、そういうトラブルは呼び込まないように振る舞うべし、と学んだ(その前の職場は、ありのままに伸び伸びと働けたので、とにかく社風の違いなんだよなあ)。
性格的には、裏表があるのは嫌だったが。集団の中での弱者とはそうするしかない、と思う(いろいろ工夫して脱・弱者できるような人もいるんだろうけど、私には無理だった。仕方ない。全方位で自分の最高点を得るのではなく、支障のない項目で高得点をとれば捨てた項目の分を取り戻せる・・・よね?)。
そういう経験から考えると、「ポツダム宣言を読んでもいないくせに」という批判は、首相と同じように忘れてしまっている人達から反感を買う可能性を、全く意識していないように見える。もちろん、安倍支持者達に対して私達は弱者だ。なぜなら、人数が劣勢。

私は、ポツダム宣言を最近まで忘れていた。「ポツダム宣言」と言われれば、小・中・高で習ったことだとは思い出せるし、高校の歴史の資料集のそのページがぼんやり浮かぶが、内容については100字分くらいの薄い説明しかできなかったろう。たまたま、「日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を今年読んだので、記憶が新たになっているだけだ。
で、人生や生活に支障があったかというと、全くなかった。多くの人にとって、忘れていても支障がない事柄だと思う。
そういう経験から考えると、「ポツダム宣言を当然わきまえているべき安倍首相なのに、ろくにわかっていなかった」という驚愕や失望感よりも、「安倍首相がろくにわかっていなかったポツダム宣言を自分も知らないが、それが何か?」という反発の方が強力なのではないか?


<志位委員長が投げたボール>

最初の方に書いたように、志位委員長の意図は安倍首相の無知を暴露することではなかった、と思う。安倍首相の政策の頼りなさを、その原因の提示付きで明らかにして見せたのだ。ポツダム宣言(文章の量は全くたいしたことがない)の「つまびらか」な理解なしに組み立てられた外交を中心とした政策も政治家も、国際的・論理的に低性能である。それを首相も国民も理解しなければならない。必要なのは、その結論を一人でも多くの人に納得してもらうこと。
首相のファンには、首相が無知だったり無能だったりすること(言い過ぎですが)を伝えても、効果はないのだから。志位委員長が投げたボールを地面に落とすことなく、首相を熱烈に支持する人達に伝わるようにパスするのが大事なんだと思う。どうやるんだと聞かれると、私にもわからないのだが。とにかく、首相の、首相などという地位でなければ珍しくない程度の欠格を強調することは、つまり、「首相には地位相応の優秀さがない」と主張するのは、逆効果ではないか。

首相の外交や軍事政策に批判的な人は、相互理解を信じる度合いが強いはずだ。それなら、国内の意見が違う相手で最善を尽くす必要がある。まあ、相手には「敵国」との相互理解を無駄と考える人が多いので、困難ではありますが。


<選挙で「負けた」のは事実>

安倍首相の自信の根拠は、選挙で自民党が与党になったこと。
たぶん、安倍首相を熱く支持する人達も、同じことを重視している。

「自民党の得票数:自民党以外の党の得票数(公明党含む):棄権者数=1:1:2」であることも、有権者の1/4の得票しかないのに議席数の3/4を与えられてしまう選挙制度であることも、気にならないらしい。
だが。
そういうのは私にとっては不条理であっても、安倍首相・与党・安倍首相の熱烈な支持者には立派な根拠になっている。

衆院選後の半年間、政権が倒れてもおかしくないほどのもろもろがあったのに。「では選挙で安倍晋三を負かしてみろ」と言う相手に、効果的な反論ができない。だって、安倍内閣が悪事や失敗を重ねても野党が国会でまっとうな批判をしても、選挙の結果も世論さえもあまり動かない。
どう動かすか? 安倍首相ではなく、安倍首相の支持者の理解を得るための方法をまじめに考えなければ、効果がないと思う。

小泉よねさんへの賠償の決着で思うこと

2015-05-21 23:06:39 | 政治や経済
成田空港建設で土地などを強制収用された故・小泉よねさんへの補償が決着した、とのこと。確か養子である男性の記者会見の映像が流れていた。
貧しい家に生まれ育ち所帯を持った後もずっと貧しかったが。空港建設の話が出るまでは、自然環境を利用し(川など)、近所の人達と助け合って満ち足りた暮らしをしていた、小泉よねさん。

集団的自衛権の行使の表現がとても曖昧な要件。行使に踏み切るハードルの高さは、人によってだいぶ違うはずだ。
超お坊っちゃま育ちの首相のハードルの高さはどんなものなんだろうか。

就職状況の改善

2015-05-21 23:06:22 | 政治や経済
<1. 何はともあれ就職氷河期の世代のことを>

私は、就職状況が改善しているという発表を懐疑的に受け取っている度合いが強いが(それは<2.>にメモします)。
だが、もしもそういうあれやこれやがただの邪推でしかないのなら、もちろん嬉しい。
就職氷河期の年代の人達の状況の改善もお忘れなく、と思う。

いくつかの大学の、ごく近くの道や通学生のバスで「この大学の学生って公共の場でちゃんと振舞えないわけ?!」と呆れるこのごろ。こんな子達でも、売り手市場ではすんなりと正社員になる率は高いのだろう。
対して、運悪く求人数が少ない時代に卒業した世代はいる。入社後すぐに退職した人も多いそうなので、どの年に新卒だった人達が最もわりをくっているのかはなかなかわからないが。名札によると派遣らしき人が、疲れ気味なのに丁寧に商品の説明をしてくれた経験は、ここ数年は当たり前のようにある。そういう人達が、ただ卒業のタイミングが悪かったせいなのに、仕事や社会制度などで不利な扱いを受け続ける状況はなくしたい。

アジアの通貨危機やリーマン・ショックなどのポイントとなる年も、その後の不景気のようなポイントのない年月も。他の年に生まれていたらなんということもなく就職していたであろう人達が、苦戦していた。記憶違いの可能性はあるが、四年制大学卒業生なら1969年度まれの学年と翌年度生まれの学年の間には、ものすごいギャップがあったように思う。1970年度生まれの四大卒者の就職状況は、例えば1990年度生まれよりはましだったとは思う。
が、「接待して内定者を逃さない」から「後がないから内定辞退なんてできない」が、たった1年の違いだったという事実は重い。個々の努力や優劣だけでなく運も重要だ。

大阪都構想の「分析」で言われた、「年金世代は既得権を手放したくなかったから云々」でも思うのだが。
世代間の対立って、私にはぴんとこない。家族や親戚が生活に困窮したら、お下がりだろうがお上がりだろうが、世代間で助け合っているので。もちろん、親子関係がこじれて助け合いなんて考えられない家系もあるだろう(私の親族にもそういう対立が2組。が、兄弟姉妹・おじおばといった横のつながりで吸収できた)。数も少なくないだろう。そういう家系があれば行政が税金で手当てをするのが当たり前なんじゃないの? 今の世代でうまくいっている家系が次の世代ではだめかもしれない。そういう時に、お互い様で。甘いかしら? しかし、ある程度はどんぶり勘定でないと、社会制度は続かない。

就職氷河期の世代は人数的にボリュームがありそうだから、家族親族内の助け合いでは難しいのかもしれない。
だから、社会全体で負担を分配して、就職年度という運によるハンデは今から縮めておく。軍事戦略のリバランスばかりやっているみたいだけど、世代間の境遇のリバランスも、今ちゃんとやっておかなければならないのではないか。
それと、今後はこんな「運の悪い世代」が生じないように、採用のやり方もさっさと直せばいいのに。


<2. 就職状況の改善は「アベノミクス」故なのか>

現政権にはさっさと退陣してほしい。でも、それを目的に「アベノミクス」をけなそうとして、改善の理由を考えるわけではない。
・ 本当に改善しているなら、その要因は何なのかを把握しなければ、次に活かせない。
・「アベノミクス」の功績で改善したわけではないならば。安倍政権の過剰な評価により他の政策を承認する危険性が高まる(つまり、実は有能でない人にあれこれやらせるなら要警戒、ということです)。

経済学はほぼ忘れているし統計を分析していないので、仮説というか邪推か。落ち着いたら統計などで裏付けられるか試したい。

(1) 日本の景気はアメリカの景気に左右される。
アメリカの景気が良い時の日本の政権は、得だ。
ただし、安倍首相の「バイ・アベノミクス!」のニューヨーク演説では日本がエンジンになる、と言っていたような。感じ悪いけど、本来の意味とは違う仕組みを勘ぐってしまう。日本の年金資金の運用の委託・日本が海外に配ったお金は米企業に対する支払いに回る・・・など金額が大きかったりして。

(2) 求人数・正社員数の増加の要因は何か。
・ 団塊の世代が引退したら、結構な数の空席が生じると思うのだ。逆に言えば、定年(60歳が多かったのでは)を延長した分、新入社員の補充数は減っていたのでは? そして、かつては年金生活者として数えられた60~65歳の人(くどいようだが現在その年齢層にある人達は団塊の世代なので人数は多い)が定年延長で残っていれば、その分正社員数が多い。
・ 現政権の公共事業が大規模であり、当然人手が必要になっている。気になるのは、それが終わった後どうするのか、ということ。
・ 増大する軍需産業が多くの人員を吸収し始めてはいないか? それが既成事実になって、日本の軍事国家化を進めるのが怖い。また、「日本が作ったミサイルで仲間が死んだ」と言うテロリストが出てきそう。そのための防御に税金が充てられるなら、兵器メーカーがフリーライドしている、と言える。そう認めない人は、日本は軍需産業を国策としている、というのは認める必要がある。軍需産業が国策・・・。
・ どんどん憶測で書いてしまうが。高齢者人口が増えれば、そのための仕事(介護など)が増える。地域によっては、年金や保険で回る仕組みがあるのではないか? この業界で働く人達の収入を低く抑えてきたことは、経済を縮小させたのではないか?