トラカリコン!

「虎・借り・コン!」。虎の威を借りた狐。虎の威を借りて吠える狐が私…。虎が何であるかは、本人にもわからない。

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矢部宏治著「日本人はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか」を読んだ方からの、憲法改正についてのコメントをお待ちしています。 コメント受付用記事 のアドレス http://blog.goo.ne.jp/kanra-toriko/e/a08c500525a4ba2e568012c53edbaa6f

一元管理じゃない?(マイナンバーのこと)

2015-05-10 19:01:57 | 政治や経済
<1.「分散管理」なのか?>

何ヶ月か前に配られたパンフレットと内閣官房のサイトには、「マイナンバーは一元管理ではなくて分散管理」と明記されている。「一元管理」という言葉の意味の定義はどうなってるんだっけ?
ある人の多種多様な複数のデータが、その人固有の番号を鍵に集積され続けるシステム。それは「マイナンバーという鍵になるデータでの一元的管理」ではないのか?

市町村・都道府県・健康保険組合・日本年金機構・ハローワーク・独立行政法人(ん?これはどの独法だろう? 運用の監視団体だったかな?)が、それぞれサーバーを持つ。各々のサーバーには各々が担当するデータのみがマイナンバーごとに蓄積されていく。「分散管理」とは、個人のデータを種類ごとに別のサーバーにのみ入れていくという意味だろう?
それは、情報を入れるサーバーが分散管理されるという意味でしかないのではないか? 

年金の不正受給(子が亡き親の年金を受け取り続けた事件など)防止として、受給者の受診記録を調べるとする。
日本年金機構が健康保険組合のサーバー内の受診記録を照会すると思うが、その際にマイナンバーを鍵にサーバー同士の情報をリンクさせるのではないか? つまり、マイナンバー・年金支給記録・受診記録が一覧表が少なくともデータファイルとして作られる。それを外部メディアにコピーしたり印刷したりすることは、定型業務としてありそうだが(だって、年金の不正受給の調査をするなら報告書を作るはずだから)?


なんだか、安倍政権の政治によくある「言葉の定義が共有されていないので認識がすれ違う」パターンが起きているような予感。

多くのデータをマイナンバーでリンクさせて持ち出せるかどうか? データを流出させた企業の謝罪は、ベネッセが久しぶりだった。だが、流出事件が発生しなかったからではなく、流出を公表(「流出を記者会見で発表しない」だったかも)しなくなっただけだ(というのは公表されていた。嘘じゃないですよ)。
また、日米政府などがサイバー空間も戦場になっていると宣言している。窃盗犯だけでなく敵国やテロリストのことも考えなければならない。例えば日本年金機構が市町村のデータを取得するのはインターネットは使わないのか? また、ソフトウェアは汎用システムではないのか(ニッカウィスキーの樽の情報管理システムさえ汎用に変更される時代ですが・・・)? 私は、転居ごとに役所内窓口を回るのに1日かかってもいいから、安全性を守って欲しい(また、仕事を休んでそういう手続きができるゆとりがある社会が実現されるべきだ、とも思う。今の日本では、「有権者として社会の一人として学んだり考えたり経験したりする時間」が想定されていない。「お金を、稼ぐ・納税する・遣う」だけの生き物になれと言われてるみたい)。



<2.「一元管理」ならば・「一元管理」なのに>

民主党政権でも言われていたが。マイナンバー制度で集約した国民のデータは、商業利用や研究データに使われるようだ。
それを例えば業者に渡す時に、もちろんマイナンバーは入れない・だが居住地域や生年月日は市場調査には必要・・・など、データとしての精度の高さとプライバシーの侵害度は表裏一体。例えば現在30歳女性で2年前に初期の乳がんの患者である某女性が、東京都に住んでいる・東京都中央区に住んでいる・東京都中央区銀座に住んでいる・・・というようにどこまで詳しいデータが提供されるかは、検討中なのだ(その「押したり引いたり」は、新聞記事で追える)。

また、マイ・ナンバーのシステムに入れるデータの種類は、現在の政府公報(=ほぼ確定情報)によると行政のための必要最小限であるようだが、経済政策絡みの大臣発言などによるとどんどん増えそうなのだ。アベノミクスの下で「経済成長のために」、自民党作成憲法施行の下で「公益のために」・・・と、エスカレートしそうで怖い。

・ 自民党の憲法改正案では、人権が大幅に削られている。そういう価値観の政府が考える個人のプライバシーは、とても幅が狭いだろう。
・ マスコミは政権に不利になるような情報は報道しなくなっている(特に安倍首相はマスコミの報道が第1次安倍政権を倒す主力だったと考えているから、その轍を踏まないように牽制しまくっている)。そのため、マイナンバー制度に関して目に入る情報が少ない。
・ 安倍政治には、議論を避けて独断的に政策を決める性質がある。
・ たぶんTPPで日本経済は打撃を受ける(少なくとも第1次産業は大惨事)ので、なりふり構わずビッグデータを使う。「利用する」ではなく、外国企業に「売却する」(フィンランド(?)が先住民の遺伝子データを製薬会社に使わせたのは、20世紀だったか)。

私はamazonには買う時にしかログインしない。amazonに好みなどを把握されることを、便利ではなく生理的に嫌だと思う。親しくもなく親しくなる気もない人に、自分のことをあれこれ知られるのは嫌だ。ましてや、どんな政権が成立するかどんなTPP条約が結ばれるかどんな時代になるかわからない。
いや、「日本のために命を捧げた若者達はなんと立派だったことか。私達も見習いたいものです」というような人達にとっては、「自分の個人データを日本の収入のために提供する」なんて誉なのかもしれないな!
「プライバシーが・・・ぶつぶつ」などと言おうものなら、「お国のために役に立つ気持ちはないのか! 非国民めが」って叱られそうですが。

扱うデータの種類について、しっかり線を引いておかないと、いつのまにか法律が作られて提供データの種類が増えていく。私や周りはそう予想しているが、他の皆様はどうなんでしょうか。

2015年の日本とドイツーメルケル首相はバトンをつなぐ(4)

2015-05-10 19:01:27 | 政治や経済
旧西ドイツからずっと、ナチスドイツのような動きは、ある。だが、ドイツは国全体としては「ナチスドイツの思想を否定する国」という道を模索し辿ってきた。
そういう状況で、日本が「日本を取り戻す」という、私には戦前回帰が入ってるとしか思えない姿勢を選ぶのは、ドイツにとっても痛手ではないか。私はそう想像している。

(3)で見たように、ドイツの歩みは「ある時点でナチスドイツを切り捨ててリセット(*)」というような単純なものではない。むしろ、複雑さや不条理さを内包したままで、綱渡りすることを選んだ(日本と一緒に頑張りたかったのではないか。だが、G7関係での来日時、安倍首相とは噛み合わなかった)。ドイツ国内が日本政府の「戦後レジームからの脱却」に引きずられるのは嫌だろう(日本政府と私は考えが別だからね。I am not Abe. 、です)。
メルケル首相は、そういうバトンを引き継いでいく、と戦後70年の今年に改めて宣言した。
私の価値観では、安倍首相よりメルケル首相の方がしっくるする。


安倍首相の米議会での演説は、アメリカとの同盟強化・韓国外交の軌道修正に成功した、と言う人がいる。
前者の根拠に、スタンディングオベーションの回数が多かったことがあげられたそうだが。そういう「ジャーナリズム」は、日本人の外交上の基本知識を増やしたくないのだろう。学校教育もその方針で行われるようになれば、日本の国力は惨憺たる状況に陥る・・・。なんてまあ、恐ろしい。
後者の根拠は、韓国国内の動向。大統領は、日本に友好的にならないと国際的には損、という方針で外交を見直さざるを得なくなったという。それが本当かどうかは私にはわからない。本当なら「成功」か?

しかし。
強い子(アメリカ)に尽くして水に流してもらい、いさかいの相手(韓国)には「お前が仲間はずれになるぞ」と脅して黙らせる(そういえば、よくある自民党の政治手法(党内でも地方でも)なのではないか?)。それは、「外交」なのかもしれないが、哲学ではない。
(なお。AIIB成功がかかっている中国は置いておいて。第2次大戦で日本に戦場にされた他のアジア諸国の意見にはさまざまあるが、日本ではあまり取り上げられないし、たぶんもともと声が小さい。「聞こえない」から「他の国には文句がない」と断定するのは誤り。)

価値観というか美意識的に、私はそういうのだめだ。日本って嫌な奴だなあ、と思います。
しかし、日本で長年続いてきた社会(「男社会」?)のあり方だから、「日本はうまくやった」と評価する人も当然多いのだろう。「男社会」の流儀として、「食わしてもらってる(この場合、「安倍政権下で暮らさせてもらってる」?)くせに文句を言うな!」と非難される(・・・ん? そういう思考回路の人はそろそろ隠居年齢なのかと思っていたが、次世代が育っているのか?)。

もちろん、私はドイツ人じゃないからドイツ人の思考回路を語ることはできない(すいません歴史も少ししか知りません)。
アメリカ人が書いた西ドイツ滞在記を読んだことがあるが、人ごみで知らない人にぶつかってしまった時の反応から言えば、私はアメリカ人やドイツ人よりもイギリス人に近いらしいし。また、友人が話していたお祭りの日のドイツ人の職場での振る舞いは、意外過ぎ(いや、とっても好きな状況だが)。

また、韓国人のことはほとんど知らない(韓流ドラマは5分も見られない。本なども読んだことがない。映画なら2本ある)。だから、「日本は韓国に謝罪し続けるか否か」論争には近寄り難い。
韓国に限らず、日本の流儀が意図通りに相手に伝わるかどうかは、相手国の事情や文化次第というのがある(上の米独英の例によると、ぶつかって謝るのはイギリス人。ドイツ人とアメリカ人はイギリス人のそういう面を笑いものにするらしい)。個人同士ならともかく、国同士なのだから誤解ない意思の疎通は難しそう(ましてや。日本人相手でも意思の疎通が難しい安倍首相が窓口だからなあ・・・。国会中継、見たくないなあ)。
日本が大国なら日本の流儀でいけるのかもしれないが、そうでもないし。ここで、外交や研究や民間交流などが役に立つのだと思いますが、どうなっているんでしょうか。


まあ、このごろしみじみ思うのは、同胞である日本人の気持ちも、ほんとにわからないや、ということだが。安倍政権に任せておいていいと考える人が、有権者の1/4はいるんだからねえ・・・。


メルケル首相は、つながれてきたバトンを握り続け、次に託すだろう。
安倍首相は、これまでの日本がなんとか受け継いできたバトンを捨てた。自分で違うバトンを作りたいからだ。
5年もすれば、そう、東京でオリンピックとパラリンピックが行われる頃には、世界の誰も日本とドイツを比べさえしないかも。

軍事大国・技術立国・武器輸出国(そういえばイスラエルは北朝鮮や南米など多くの地域に軍事輸出した。日本はそれをなぞることになるんだなあ)、そして周囲の国々との仲はあまり良好ではなくて、海の向こうのアメリカとならかなり仲良し。
そういう類似点から、日本はドイツではなくイスラエルと比べられる国になっているかもしれない。さぞかし敵が増えていそうだが、安倍政権を支持する人達には覚悟ができているんだろうか(しかし、個性を尊ぶイスラエル人と画一化路線が復帰しつつある日本人は違いすぎるよなあ・・・)。

日本はどこまで実質的ぼっちになるのか。こうなると、ちょっと「底」を見てみたいような気もしてきました。



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(*)の辺りで思った。

安倍政権は、大日本帝國から「アメリカなどに批判されるところ」を切り落として受け継ごうとしている。大日本帝國の部分的再利用。家に例えれば、「基礎工事はそのままで、柱の傷んでいる箇所と壁は取り替えてみました」、みたい。
メルケル首相(ドイツの政治制度をよく知らないので「メルケル政権」とは書かない)は、ナチスドイツからそういう切り落としをしていないのではないか。家に例えれば、「まず引っ越して今は柱を立てるところまできました」、あたり? それとも、「引っ越しはしないが基礎工事からやり直した」、くらい?

国の前身をどう扱うか、という点で、日本とドイツはこんなにも違っている。
ということは、国際社会が日本とドイツの違いをどんなに言っても、妥当なんだろう。ドイツと比べれば、日本は確かに、過去の延長上にある。