<1. 安倍首相の米議会での演説>
「アメリカ(とイギリスとオーストラリア)と日本の間には、第2次大戦のわだかまりはもうないですよね。今後の集団的自衛権の行使仲間になるんですから」が主要なテーマ? テレビでちらっと映った演説の様子だけでもうたくさん。姿を見て声を聞くだけで、大変申し訳ないが、「ポチ」アピール。言葉はわからなくても気持ちは伝わるというのは、本当かもしれない。
戦後70年。その間に、伝統文化も技術力も経済力も高く評価されたこともあったわ。だが、70年の集大成があの演説かあ・・・。日本ってつまんない国だったのね。それとも、米議会での外国の政治家の演説っていうのがああいうものなのだろうか? まあ、「アメリカン・ジョーク」がいまいちしっくりしない私ではある(スピーチも下手だし)。
首相は国会で「日本では初めての栄誉」と得意気だったが。アメリカにとってはありふれたイベントである上に、ボルチモアのことがあった。首相周辺(NHKの担当者含む)のたかぶり・日本政府のみやげ(安保体制・TPP他)と、それに対するアメリカの扱い・アメリカからの見返りがずいぶん不釣り合いのような気がして、ただただ不安が増すばかり。
<2. 気を取り直して、新聞で全文掲載された演説を見る>
・・・あまり綿密に見るものではないのかな?
・「(・・・)TPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを忘れてはなりません」
やっぱりなあ・・・。EUの前身のECそしてNATO的な? AIIBが成功すればシルクロードなんとかで中国から欧州までがまとまって、環太平洋のTPPと陣取り合戦するの? TPPについての情報は、アメリカではもっと公開されていると言われるが、どうなっているんだろう? 日本では、「今、山場」が年に何回か伝えられてきただけなのに。
・「量子的飛躍」
こじあけるべき岩盤規制とは、農政改革(地産地消と真逆)・医療改革(アメリカに合わせる)・エネルギー改革(アメリカ資本を入れる?)・女性政策(アメリカ風ワーキング・ウーマン化? でも夫婦別姓すら認めないのに?)らしいよ。ここではなぜか言及していないが、労働改革もやりたいのだ。労働者の権利を削る方向で。何割かの日本国民への宣戦布告みたいに感じてしまった。ぴりぴりし過ぎだろうか?
・ 安保体制
国会で審議すらしていないのに、まずアメリカと約束するって何なの? 民主党の元首相達がCO2排出量や消費税率を勝手に宣言してしまったのとは、質的に全く違う。ああいうのは、商店で言えば勝手に売上目標を宣言した程度。それに比べると、安保体制は業種変えくらいの重さがあると私は思う。「戦争しないという制限の中でやっていく国」から「アメリカの戦争の兵站他担当国」になってしまうのだから。
・「自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟」
その結びつきは「常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ」って・・・。どの口が言ってるんだろう! 法の支配なんて踏みにじって政治を進めているし。「人権、自由を尊ぶ」アメリカが「押しつけた」現行憲法を否定して提案している改正案では、人権と自由を公益の名の下に制限しまくってるじゃないですか。
・「米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません」
そんなふうに思ってる人は、世界中にどれくらいいるんだろう・・・。イラクかアフガニスタンで言ってみる?
<3. 感想>
この演説、なかったことにできないのだろうか~? 子孫に放射性廃棄物・国債残高を託すだけでも申し訳ないのに、この上安倍政権の後始末までなんて。
戦後70年談話について、談話の発表をやめれば良い、と大学教官である人が何ヶ月か前に提案していたけど。ほんと、演説や談話というのは総理本人がやりたいからやるものではなく、国として必要な時にやればいいんだと思う。