「同志国・友好国との間で同じレベルの法制度をちゃんと整備していること。そういう環境を一刻も早くつくらなければならない」(2月27日 高市経済安全保障担当相の会見)
また出たよ。他の国はみんなやってるから日本もやる、という「説得」。この種の説明の仕方について、以前にも書いた外国の状況をまた書きます(情報源は、「モーニングショー」と「ばら色ダンディー」)。だいぶ忘れてしまいましたが。
・ 憲法改正
確かに、ドイツは憲法を何十ヵ所も改正している。だが、東西ドイツの統一によるものだ(全部かどうかは忘れた)。「西ドイツは」という文言を「ドイツは」と変えた箇所が大部分、というイメージ。それをもって「だから日本も」という主張、そんなの相手にする必要はない。
・ 年金基金の株式投資での運用
私が覚えている「他の国」はアメリカ。日本とは違って、年金基金のうち一部の制度分だけを株式投資で運用していた。でも当時の第2次安倍政権の説明ではその辺が抜けていた。
・ マイナンバーによる個人情報管理
スウェーデンは、他人のマイナンバーも知ることができてそれをもとに他人の納税額も適法に調べられる。で、「あの人の納税額は生活水準と比べて低すぎる。脱税しているのでは」と通報されたりする。つまり、すさまじい透明性と併存しているのだ(なお、こんなであれば「個人情報を集めて詐欺の標的を探す」犯罪は成立しないのかな? スウェーデンの防犯事情はどんななんでしょう)。
アメリカでは、マイナンバー(社会保障番号)は極秘。本人さえも、もし忘れてしまったら教えてもらうのには手間がとてもかかる(苫米地英人氏によれば、外国にいても教えてくれる窓口に実際に行かなければならない。しかも、窓口の人が本人に耳打ちするのを慌ててメモしなければならない)。身分証明書や保険証として持ち歩いて活用しよう・・・という日本とはまるで違う。
こんな制度は始めなければ良かった、と言っている国もある(どこかは知らない)。
「他の国」と内容が違うのを言わないで「他の国もやっている制度だ。日本が遅れているのだ」と主張する政府。セキュリティ・クリアランス制度についても同じ進め方だ。
こういう進め方はもうやめないと。筋が通らない。つけを払わされる。どうせ政治家も行政も責任を取らない。そんなこと、もう十分思い知らされてきた。
仮に、外国がみんな同一内容の制度でやっていたとする(そんなことはないが)。そして、日本も全く同一の制度にする。・・・という説明であればどうか?
それでも、「それならいいだろう」と判断するのはまだ早い。
だって、その他の制度が違うから。
例えば、今だ進展のない裏金事件への対応を考えてみても。規制(「規正」はなんだかなあ)法の内容はもちろん、政府や行政の仕組みが違う。
今アメリカのニュースを見ると、複数の事件で被告となっているトランプ氏が大統領選に立候補できそうであることに驚かずにはいられない。大統領時代に自分に好意的な裁判官を任命できた成果だろう。一方、検事は選挙で選ばれる。
また、日本では最高裁が憲法について判断することはあまりない。憲法を専門に扱う裁判所を設置している国もあるのに。
他にも、連邦制なので地方自治体と中央政府の関係が日本とは違ったり。公文書の扱いが違ったり。日本には政権交代がほぼなかったり。
・・・といろいろ違えば。全く同一のセキュリティ・クリアランス制度を導入しても、運用は国によって別物になるはずだ。
なのに、「同じレベルの法制度をちゃんと整備」と言われても納得はできない。よそはよそ、うちはうち。そう言いたい。
よそはよそ、うちはうち。
高市大臣の言う「同志国・友好国」とは、G7諸国を意味するのだろうか。とすると、社会の前提が違うなあ、と感じる。
イギリスは階級社会(ウィリアム皇子とキャサリン妃の結婚で、「労働者階級」といった区分がまだ続いていることに驚かされた)だし、アメリカには人種による階層が残っている。同じ人種間でも「不法移民とアメリカ生まれの自分は違う」もある。フランスには政治家ならあの学校、という難関大学があった記憶が。イタリア・ドイツ・カナダはどうだろう? 何かありそうだけどな。
そんなふうに、住民や国民を種類分けすることに馴染んでいる。
日本にもそういう面はあるけど、程度が違うのでは? それを区分けすることで失うものはないだろうか。
プラス、COVID-19でも明らかな、日本社会の人目を気にする傾向の強さとか相互監視とか。
こういう違いを無視して西欧諸国と同じに、というのはなかなか。社会的な負荷というか消耗が大きそうだけどな。うろ覚えだけど、幸福度とか自己肯定感などの国際比較での日本人の低さ。それに拍車がかかりそう。大丈夫か?
『エロイカより愛を込めて』では。ベルリンの壁崩壊後のエーベルバッハ少佐が牛の搾乳機に関するスパイ行為を追っている、という逸話があった覚えがある。結構広い範囲の人がセキュリティー・クリアランスの調査対象になるかもしれません。
セキュリティー・クリアランス制度を導入すれば海外の研究やビジネスへのアクセスがだいぶ改善される、ということだが。
メリットとデメリットの両方が必ずある。デメリットに関する検討と対応をお忘れなく。
特に、今は。日本の国会議員は「同志国・友好国との間で同じレベル」に達していないんじゃないの・・・という疑惑の渦中だ。
大多数の国民は、セキュリティー・クリアランスとは何かとか外国の状況はどうかとか、知らないし調べたり考えたりしない。仕事(家事なども含む)とか学校とか、日々の生活がある。国会議員と違って、「自分の仕事」ではないのだ。政治家を代理に立てて担当してもらっている。
もしみんなが政治家並みに政治に時間や労力を注ぎ込んでいたら、社会も経済も生活も回らない(かなりまめにブログを書いている最近の私。健康と掃除が犠牲になっている・・・改めねば)。
だから政治家が信頼できないとつらい。
そんな中で、法案。
第11条の定めでは、行政機関の長・国務大臣・内閣官房副長官・内閣総理大臣補佐官・副大臣・大臣政務官は、調査対象外。高市担当相は「内閣の一員として任命される段階で必要な考慮がされるということで適正評価の対象外」と説明した。
調査項目として挙げられているのは、
・ 家族らの氏名・国籍・住所など
・ 犯罪または懲戒歴
・ 情報取扱の違法行為に関する経歴(*)
・ 薬物の濫用や影響
・ 精神疾患
・ 飲酒の節度
・ 借金など経済的な状況
・・・以上、3月12日の「大下容子ワイド!スクランブル」に依ります。
一例を挙げるだけでも。大下アナウンサーが言ったように、旧統一教会という外国のカルト団体から選挙応援を受けた大臣がいる政権なのだ。なのに、こんな案・こんな説明なのか。どういう構造の脳みそなのだろう。
やっぱり、今の政府には資格・能力の問題があると思うけどなあ。
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(*)
「情報取扱の違法行為に関する経歴」? アメリカの調査項目は?
日本は7だがアメリカは13項目ある。そのうちの「保護情報の取り扱い」が該当するだろう。やっぱりアメリカの制度にもあるんだ・・・ バイデン大統領とトランプ前大統領は? アウトじゃないの? なんで? アメリカはどうなってるんだろう。
2人にはアメリカ政府の機密書類を自宅に保管していた問題があるけど、それでも彼らのセキュリティー・クリアランス調査は「合格」なのか? 日本で法が成立したら「大統領は外せ」と主張できるのかね? 上に書いたように、日本の法案では政務3役は調査されない。アメリカの制度でも大統領などは対象外なのだろうか。
第2次安倍政権以降、敢えて議事録を作らなかったり、公文書が廃棄されたりしている。それでも調査対象でないから項目をクリアしてなくても良い、のか?
法案そのものにも運用にも、わからない部分が多い制度だ。私だけ?
<「騒がなくていいこと」(2)>で妄想した、自民党大臣級国会議員の後援者のイメージにぴったりな実例が・・・
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https://yorozuyajiro.hatenablog.jp/entry/2023/11/30/090000
よろずやジロー~宮本次朗【プレカットの宮本工業グループ相談役】のブログ
2023-11-30 彼が未来に見据えるものは
(・・・)場所は帝国ホテルの鉄板焼『嘉門』。5人で座れる個室カウンターに二人きり。(・・・)
世耕さんとは、彼が3選出馬する際、和歌山木材協同組合の理事長として推薦状をお渡ししてからのお付き合い。参院幹事長としてSPが付くようになる前は、大人数でわいわい会食することもよくありました。ですから、今回の会食も久しぶりとはいえざっくばらん。ちょうど話題になっていた、国会での世耕さんによる総理批判質問について直球で尋ねると、真意をそれこそざっくばらんに語ってくれました。どんな答えだったかは記しませんが、私からは「相手の立場を尊重した質問を。自分の納得は相手の不満ともいいますよ」と、これまた直球な意見を申し述べた次第です。
お酒がハイボールから赤ワインへと進むにつれ、私の直球は剛球に。「衆院への鞍替えはするのか?」「参院議員のままでの総裁選出馬は?」「それとも参議院のドンになる?」など、政治記者というより週刊誌の記者顔負けの質問を繰り出してみました。(・・・)
会食の終盤、私は「冗談はさておき」と、先ほどからの下世話な質問ではなく日頃感じていることを伝えることにしました。簡単にまとめると、日本を良くしたいとの姿勢は伝わるが、その原点に和歌山への思いを滲ませてほしい。その意味でおじいさん(弘一氏)、おじさん(政隆氏)は立派だった。そんなことを生意気にも申し上げました。世耕さんはいつも通り、静かに頷きながら聞いてくれました。
(・・・)私は世耕さんからもらった『村上開新堂』のクッキー缶を片手に銀座のクラブに立ち寄りました。「一緒に食べよか。」私のことばに、ホステスのみんなからは今まで聞いたことのないような歓声が。不思議がる私に彼女たちは「このクッキー缶、予約で1年待ちはざらなんですよ。」と教えてくれたのでした。
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世耕議員の後援者のブログです。妄想を書いたのにわりと当たってた。
会員から紹介された人(@「モーニングショ」)が予約して1年後にやっと買えるクッキー! そんなクッキーがあろうとは、想像したこともなかった。
ところで、半裸の女性ダンサーに接触しチップを渡した(@自民党青年局近畿ブロック)懇親会の企画者川畑哲哉和県会議員。検索したら、世耕議員の元秘書だとか。
世耕議員は、森元首相を含む安倍派で「遊び上手」や「接待上手」という評価を受けていそうだ。バブル期の、高額だったり性的だったりな「遊び」(「日本人ビジネスマン」が「アジア買春ツアー」に公然と繰り出していた)や接待が行われていた時代に若手として幹事みたいなことをやっていた人達と同年代では。
もちろん、業界ごとに交際費の状況は異なっていた。が、世耕議員が勤めていた当時のNTTは株式公開直後だったと思う。ものすごく景気が良かったんじゃないかなあ。
「民間企業による官僚接待」や「官官接待」は知ってたけど。自民党議員は「政政接待」も盛んみたいだから。世耕議員の手腕は頼りにされているだろう。
(宮本氏のブログは、自民党の実態がわかったということだけでなく、価値があるブログだ。現代日本のオーラル・ヒストリーって感じ)
自民党議員の政治資金について「政治には金がかかる」という言葉がよく使われるが。自民党では、多くの場合、政治家や後援者の生活水準が高いからなのでは。
世耕議員とクッキーを贈られた宮本氏とって、安全性確保や人払いが必要だった。だから、会食場所が都内高級ホテルレストランの個室、というのはわかる。しかし、そこらの野党国会議員が後援会の人と同じ条件で会食するとして、同じようなレストランを選ぶだろうか。「なぜ君は総理大臣になれないのか」では、小川議員(立民党)か支援者の自宅に集まっている場面を見たような。
世耕議員は、与党幹部・大臣も経験した人だ。なので、警備体制などが「その辺の野党の国会議員」とは違うのかもしれない。
そういうことなら、ずっと与党であり続ける(であろう)自民党には、警備の都合で会食場所は高級レストランなどを使い続けるしかない政治家が増えていく。その結果、自民党国会議員は「政治には金がかかる」という状態であり続けるのではないか?
さらに、自民党には世襲議員が多いし、政策というか政治手法的に財界と深い関係にある。なので、だいたいが裕福な人の金銭感覚で暮らしているのだと思う。議員になった時点で裕福でなければ、政治資金制度(相続税を含めて税で優遇されている)や裏金で資産形成できる。そういう仕組みになっていてもおかしくない。
だって、都内高級ホテルのレストランでの個室でのおごりに対するほどの高級クッキーを用意していかなければならない・・・という生活が待っているんだもの。
(私には贈収賄の判定法がわからないなあ・・・
それと、宮本氏は自分のお金で払ったと思うが。小泉法相が「小泉龍司後援会」の資金で後援会の人と会食することはないのだろうか。会議費に上限がなければ問題はないんだろう。
民間企業感覚が抜けていないので、頭の中でいくつか変換しないとついていけない世界だ)
お金で何でも買えるわけじゃないけど、お金がないと始まらない生活もあるもんね。
特別職公務員として生活が保証されるだけでは足りない。自民党が作り上げてしまった国政はたぶんそうなのだ。国家財政や平均賃金などがどうあれ、国会議員の報酬は上がっていくのが自然なのだ。
昭和の頃の経済成長はこんな感じだったのかな。
ごくごく限られた人しか食べられなかった高級クッキー。それを買える収入を得る人・それを贈れる企業などの増加(「自分は買えないけど営業部ならつてがあるよ」)からの「一見さん」脱出。
そうやって、「ごく一部の人達だけの贅沢」がより多くの人達にも味わえるようになる。
自民党国会議員などは、個人的に当時の日本のあり方を再現し続けていられる人達なのだろう。なんとなく時代遅れで的外れな政策や発言が続くのは、そのせいもあるのではないか。
ヒトの脳には限界がある。
・・・以上、今朝の「モーニングショー」を見て、書いている。
なので、立民の梅谷議員が地元の祭りに日本酒持参で参加した件についての立民党の調査・処分が報道されていないのでは、という田崎氏の問いかけも聞いた。
組織性・人数・歴史の長さ・影響力で大きく勝る裏金事件との比較で言っているわけではないよね。青年局懇親会・世耕議員クッキー缶・国会議員の浮気が報道されていることとのバランスを問いたいんでしょう?
・ 青年局懇親会・・・あんなことやってるんだ、という驚き。当時の自民党の状況への無頓着さ。そして「多様性」とか「記憶はない」云々の説明が示す自民党国会議員のレベルの低さ。
・ 世耕議員クッキー缶・・・国会議員と後援者の間柄の実例。
・ 国会議員の浮気・・・「裏金事件国会の最中なのに」なのか「裏金事件国会というストレスから」なのかわからないけど。危機の時の反応でその人の素質みたいなものはわかる。ああいう人は珍しくないと思う。
・・・という理由から、私は梅谷議員の件の続報(「モーニングショー」では第1報はしてた)をせずに(毎日見ているわけではないのでわからないけど)上の3件を扱った番組の構成に不満はない。
ただ。大谷翔平報道に使う時間を少なくとも30秒ほど削って梅谷議員のことを扱う姿勢を望んではいる。
既存のカテゴリー「アベスガ政治の仕上げ中?」から「?」を外す。(記事はまだない)
「「アベスガ政治の仕上げ中?」というカテゴリー名から「?」を外す日が来ないよう祈りつつ。」というのが1つだった。この日が来てしまって本当に残念だ。
憲法の解釈変更そして形骸化のあげく、ついに兵器輸出にまで進もうとしている。
その上、露見した裏金政治という「仕掛け」を、「ただのケアレスミスだった」と誤魔化して隠蔽しようとしている。旧統一教会との関係もどうなるかわかったものではない。
岸田首相がやっているのは、まさに仕上げ作業だ。
次期戦闘機の性能で、日本は対空能力を英伊は対地能力を優先したいとみられている・・・と防衛相幹部が説明しているとのこと。
(https://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/491787.html 「次期戦闘機輸出 深まる与党内対立 なぜいま輸出の議論が求められるのか」(2024年02月15日 梶原崇幹 NHK解説委員)
岸田首相が3月5日に西田議員(公明)に答弁した「空対空能力を重視して」いるが故の具体的要求点として挙げた、
・ レーダーやカメラ等を通じて脅威の状況を把握するセンシング技術
・ 相手から見えにくするステルス性能
・ 敵味方の位置情報を通信で共有して組織的な戦闘を行うネットワーク戦闘
・ 航続距離等
・・・は、英伊の要望とどう違うのか。上のNHKサイトのページを読んだ。
私は、「こういう性能がいらない国なんてあるわけがない。」と先日書いた。う〜ん、思い込みでしたか。
「日本は、専守防衛の立場から、相手の領域に戦闘機を送ることは想定せず、むしろ、「航空優勢」、味方の航空機が大きな妨害を受けることなく作戦を実施できる状態を確保するための「対空能力」を重視しています。そして、中国などを念頭に、数の上で圧倒的に不利な状況で、1機で複数の戦闘機に対応できるよう、多くのミサイルを積むことができる能力や、より遠方から相手を見つけ出せるよう高出力のレーダーが不可欠だとしています。」
「一方、イギリスやイタリアは、ロシアを脅威ととらえており、地上の敵への対応、対地能力を重視しているとみられています。このため、地上を攻撃する爆弾を多く積むことができる能力や、地上の状況を把握する多くのセンサーを機体の下部に取り付けることを求める可能性があるとしています。」
(1) 英伊はセンシング対象が空ではなく地である(ステルスのあり方も変わるのかどうかは私にはわからず)
(2) 英伊はミサイルでなく爆弾をたくさん積みたい
・・・というのが違いなのか。
対象が「空」か「地」かでセンサーの取り付け位置が変わる。ということは、対象を「空」とした性能の戦闘機が護衛するんだろうな。
そっか、納得!・・・と書くのはまだ早くて。
日本と英伊では欲しい戦闘機のタイプが違いすぎるんじゃないの?
能登半島地震への自衛隊の対応についての木原防衛相の答弁には、目的(運ぶのは負傷者か燃料か、とか?)に合わせてヘリコプターに手を加える話があった。戦闘機でもそれはできるのか?
できるなら、
「えー、具体的には機体のサイズやコストに制約があり、各国すべての要求性能が実現できない中、各国が同等の貢献を行うことを前提に自国が優先する性能の搭載を主張し合う、こういったプロセスでもあります。」「我が国が優先する性能を実現するために、英伊が自ら求める性能を断念することは想定されず、我が国が求める戦闘機の実現、これが困難となります。」
という岸田首相の答弁は矛盾する。
ということは、できないんだ。
次期戦闘機が、対空に特化(日本の要望)か対地に特化(英伊の要望)の択一になるなら? 日本か英伊にとってあまり役に立たない。
両者の要望のバランスをとった物になるなら?
私には知識がないのだが、そういう中途半端な戦闘機は日本と英伊の両方に使いにくいのではないか。
それとも、戦闘機界では目的に沿った仕様から外れた物を使うことは珍しくないのだろうか? そんな馬鹿な・・・ 昔の、もっとアナログな、操縦士の腕次第的な戦闘機ならともかく(朝鮮戦争では第2次大戦での経験ある米パイロットだったのでミグに勝てたそうだが)。
おかしいなあ。
「我が国が求める性能を有する装備品の取得維持が困難となり我が国の防衛に支障をきたすことになる。」(岸田首相)というのは、英伊も同じはずなのだが。
日本が第三国輸出をするなら英伊も対空タイプで良い、と確約しているのか?・・・それならやはり日本がのせられたような。
日本が第三国輸出を決めてもまだ交渉次第なのか?・・・それなら、ほぼ対地なタイプの戦闘機になってしまう結末もあり得る。それって自衛隊パイロットの安全に関わる問題なので、譲ってはいけないよね?
または、岸田首相が(またもや)嘘をついていて。
本当は対地タイプで良し・目的は共同開発に参加すること・兵器の第三国輸出解禁の口実にした・・・という線も私は疑う。
いずれにしても、「第三国に輸出する」だけでは済まないだろう。
その前に生産・さらに前に営業が必要だ。だって受注生産だから。日本は生産と輸出(とメンテナンスも?)だけ、とは思えない。イギリスやイタリアよりも日本が営業できる国? 東南アジア説がある(*)。
ここでまた、対空タイプ・対地タイプのどちらになるかが影響する。
日本が要望する対空タイプって、需要は大きいのかなあ。日本のせいで売れない戦闘機になったから責任とれ、とか言われない?
生産数増も狙うなら需要が大きいタイプにしないとおかしい。自国が望まない仕様になったあげく売れなかったら?
または、東南アジアには対空タイプが売れそうなので、という話がついていたりするのか? この場合、「第三国輸出の必要性」は英伊に求められたせいではなく、東南アジアに売るための制限はずしがもともと日本政府の意向だったのではないか。
・・・と考えると、岸田首相の説明は全く足りていない。
首相の答弁には、兵器の第三国輸出を回避したい、という葛藤は全く感じられない。
・・・なんにせよ、情けない。
こういうことをこんな日に書いている状況が。
(岸田首相は東日本大震災を悼む言葉を発するだろう。聞きたくないね!)
こういうトラブルから、憲法が守ってくれていたものなのに。
今初めて憲法を習う小学生は、条文と現実の矛盾をどう思っているのだろう。第2次安倍政権以降、憲法が形骸化させられてきたが。今はもう、形骸化した憲法のもとで日本人が生まれ育つ時代になってしまったか。
自民党と公明党がとんでもない失敗をして日本に災いをもたらすのか。
または、悪だくみを隠して日本をとんでもない方向に持っていこうとしているのか。
例えば、自分の所属政党の議員達すらコントロールできない。そんな岸田首相が、イギリスとイタリアとの共同開発・東南アジア諸国の在り方・10年先の戦闘機のあり方に手を出している。危ないに決まってる。
安全保障政策は難しい。だが、とりあえず、岸田首相はポンコツなので止める、そういう判断でいいはずだ。
他のことはものすごくだめだが安全保障政策だけはできる、そんな人はいない。
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(*)
「自民党では、周辺の東南アジア諸国で戦闘機を防御的に活用する国に輸出すれば、国際紛争を助長することなく、望ましい安全保障環境を創り出すことつながるという見方が多くあります。」(「次期戦闘機輸出 深まる与党内対立 なぜいま輸出の議論が求められるのか」)
(長いですが、専門用語は少ないしたいした説明でもないので意外に読み易いのでは〜)
西田議員(公明党)
「次に防衛装備品の海外移転についてお伺いいたします。
これまで日本は、武器輸出三原則に代表されるように、武器の輸出については極めて慎重に対処するのを旨としてきました。
今回のウクライナへの支援で典型なように、殺傷能力のない防衛装備品や民生品を提供し避難民を受け入れるなど、日本だからこそできる外交を強みにしてまいりました。
この日本のありようは、これまで国民に広く浸透してきたのではないでしょうか。
ただ、日本を取り巻く安全保障の環境が厳しくなる中、個別の必要に応じて例外的に防衛装備品の輸出を認めるようになり、それらを包括的に整理して防衛装備移転三原則を備えました。
そして、昨年末、政府は、この防衛装備品三原則の運用指針を改定し、殺傷能力を持った武器についても限定的に輸出できるようになりました。
即ち地対空ミサイル・パトリオットなど、日本を守るため日本企業が許可を得て製造した武器をライセンス元国に輸出可能とした他、救助・輸送・警戒・監視・掃海などの5類型について、掃海艇の機関砲など一定の殺傷能力を持った武器を搭載した輸出も認めました。
今回、次期戦闘機という、いわば最先端の殺傷能力を持つ兵器の完成品を共同開発をするイギリスやイタリア以外の第三国に輸出できることにするかどうかが問われております。
昨年から今年にかけての世論調査では、次期戦闘機など他国と共同開発した防衛装備品の第三国輸出に反対及び慎重との回答が過半から約8割を占めております。
国民の多くは、一度戦闘機などの第三国輸出を認めれば、歯止めがなくなり、これまで培ってきた平和国家の信頼を損なうのではないかと懸念しております。
そこで、NHKの中継が入ったこの予算委員会の場をお借りして、なぜ今、次期戦闘機の第三国への輸出が必要だと考えるかを、総理は自らの言葉で国民に説明する必要があります。
そもそもなぜ次期戦闘機が必要なのか、我が国の地理的環境も踏まえてその必要性についてわかりやすく説明するべきであります」
岸田首相
「はい。あの、今のご質問に対しまして。まず、この四面海に囲まれた島国である我が国に対する侵略、これ、発生するとしたなら、必ず空または海を経由して行われるものです。
えー、そのため専守防衛を旨とする我が国が安全を確保するためには、航空機や巡航ミサイルによる空からの攻撃や艦艇による海からの攻撃を、できる限り洋上、そして遠方で阻止することが必要となります。
戦闘機は、これらの防御的任務を遂行するための中核的装備品として整備そして運用されてきました。
戦闘機による防衛能力が徐々に失われた第2次世界大戦において、国土全域において甚大な被害が発生してしまった。
こういったことからもわかるように戦闘機は我が国の平和と安定に不可欠な装備品であると認識をしております。
えー、戦闘機同士の戦いの帰趨は技術の進展などにより大きく変化しており、世代が違う戦闘機間では新世代機、これが圧倒的に優位であると言われています。
あのう、例えば相手から見えにくくするためのステルス能力や高精度のセンサーに優れる第5世代機のF22は、旧世代機に対して108対0の撃墜率を記録したと言われています。
このように第5世代機、これは我が国の周辺国でも開発や配備が進められています。
我が国はF35・F15そしてF2の3機種の戦闘機を保有しており、現在F35の造成およびF15の能力向上を行なっているところですが、F2については退役そしてげんせい(?減生?)が始まる2035年頃からその後継となる次期戦闘機の導入を開始する必要があります。
特に、次期戦闘機は、先ほど述べた攻撃をできる限り洋上遠方で阻止することができる優れた空対空能力を有している、このことが重要となります。
周辺国が新世代機の開発や配備を進めている中で、将来にわたって我が国の平和と安定を確保するために、我が国自身としてそれらの戦闘機を超える最新鋭の戦闘機を開発すること、これが不可欠であると認識しております」
西田
「島国である日本を守るために次期戦闘機が必要であるというご説明でありましたが、それではなぜ国際共同開発を行う必要があるのか。共同開発ではなく純国産であれば、技術を温存するため進んで戦闘機を輸出するようなことにはならないのではないでしょうか」
岸田
「えー、現在防衛装備品の高度化あるいは高額化、これが進んでいます。開発のコストやリスクが増大する中にあって、戦闘機を含め優秀な装備品を取得するためには一国のみならずパートナー国と協力して資金や技術をそれぞれが提供していく、供与して開発していく、こうした方式が今国際的に取られています。
また米国の昨年1月に策定した国家防衛産業戦略において、グローバルサプライチェーンの課題やウクライナ対応の教訓を踏まえ同士国との共同生産を重視する方針を明らかにしています。
えー、このように、国際共同開発そして生産が主流化する中で、我が国において次期戦闘機の開発を進めるにあたって、我が国の独自開発や米国との共同開発などの可能性、これについても十分検討しました。
その結果、要求性能の実現可能性・スケジュール・コスト等のさまざまな観点から我が国の独自開発ではなく英国そしてイタリアとの国際共同開発が最適な選択肢であると判断をし、3か国の技術を結集してリスク・コストを分担しながら優れた次期戦闘機を開発することを判断した次第であります」
西田
「一昨年末、安保三文書の閣議決定で国際共同開発を政府与党で決めた時には、日本の完成品は第三国に輸出しない前提になっていたはずであります。
その後なぜ方針を変える必要があると考えるに至ったのか、国民には伝わっておりません。
政府の説明では日本が第三国に完成品を輸出できないと交渉上不利になると言いますが、日本は技術や資金の面で相当の貢献ができるからこそ、完成品の輸出は前提とせず一昨年末の共同開発が決まったのではないでしょうか。
なぜ日本の完成品が第三国に輸出できないと共同開発の交渉上不利になるのか、我が国防衛にとってどのような不都合が生じてくるのか、総理にお伺いいたします」
岸田
「ええ、まあ、すみません、まず、先ほどの答弁の中で米国の国家防衛産業戦略、えー、昨年の1月と答弁したようですが実際は今年1月であります。訂正をいたします。
その上で今のご質問に対してのお答えですが、あの、国際共同開発の協議は、各国が置かれている安全保障環境に応じて必要となる性能について議論を重ねつつ、共通の機体を作り上げていく、こういったプロセスです。
えー、具体的には機体のサイズやコストに制約があり、各国すべての要求性能が実現できない中、各国が同等の貢献を行うことを前提に自国が優先する性能の搭載を主張し合う、こういったプロセスでもあります。えー、先ほど答弁した通り、我が国は次期戦闘機の開発において空対空能力を重視しています。
具体的には、レーダーやカメラ等を通じて脅威の状況を把握するセンシング技術や、相手から見えにくするステルス性能、敵味方の位置情報を通信で共有して組織的な戦闘を行うネットワーク戦闘、こういった面で高い能力に加えて、えー、航続距離等も重視することとなります。
えー、2022年末に三文書を閣議決定した当時は、我が国は技術面や資金面で十分な貢献をすることによって、我が国の要求を通し我が国が求める戦闘機を実現することが可能であると考えていました。
しかしながら、協議を進める中で、英国・イタリア、英伊は調達価格の低下等に向けて完成品の第三国移転を推進することを貢献の重要な要素と考え、我が国にも同様の対応を求めている、こういったことが明らかとなりました。
まあ、こうした中で要求性能を実現するためには、輸出等による価格低減努力を含めて十分な貢献を行う必要があります。
逆に、我が国から第三国への直接移転を行う仕組みが存在しなければ、我が国は価格低減の努力を行わないことになり、そのような我が国が優先する性能を実現するために、英伊が自ら求める性能を断念することは想定されず、我が国が求める戦闘機の実現、これが困難となります。
まー、従って、我が国の安全保障環境にふさわしい戦闘機を実現し我が国防衛に支障をきたさないようにするため、直接移転を行ないうる仕組みを持ち、英伊と同等に貢献しうる立場を確保することが我が国の国益である、と考えた次第であります。
えー、また、国際共同開発生産による完成品である次期戦闘機において我が国が直接移転を行ないうる仕組みを持たないこととなれば、我が国は国際共同開発生産のパートナー国としてふさわしくないと国際的に認識をされてしまうことにもなります。
今後同盟国同士国との共同、あー、国際共同開発生産への参加が困難となれば、我が国が求める性能を有する装備品の取得維持が困難となり我が国の防衛に支障をきたすことになる。このように考えた次第であります。
えー、こういったことから、英伊との共同開発交渉を進める上で、この、第三国への移転の重要性を認識した次第であります」
西田
「えー、次期戦闘機という最も殺傷能力の高い防衛装備品が第三国に輸出できるようになれば、それが前例となり、いかなる殺傷能力を持った武器も輸出できるようになるのではないか。
にわかな政策変更はこれまで日本が培ってきた平和国家としての信頼を損なうことになるのではないか。
そうした懸念のもと次期戦闘機の第三国への完成品輸出を一般的に認めたら、原則として殺傷能力を持たない防衛装備品の輸出を認める救難・輸送・警戒・監視・掃海などの5類型による制約などは意味をなさなくなるのではないでしょうか」
岸田
「あのう、先ほども答弁した通り、次期戦闘機にかかる国際共同開発生産においては我が国が重視する性能を持った戦闘機を確保するために我が国からの第三国移転が必要であると考えております。
他方で、我が国の技術や資金のみで開発・生産できる国産装備品を基本とする、いわゆる5類型に該当する防衛装備品移転については、このようなパートナー国との要求性能について調整するプロセスが存在せず、自ずと性格が異なるものであると認識をいたします。
その上で、えー、5類型の類型見直しのあり方については、昨年末に取りまとめられた与党ワーキングチームにおける提言においても別途議論を継続することとしており、見直しの必要性において別途確認した上で検討を進めていきたいと考えております」
西田
「次期戦闘機の輸出先で、仮に、隣国同士の紛争に用いられることになれば、紛争を助長するとともに地域の安定を失い日本を取り巻く安全保障の環境はかえって損なわれる恐れがあるのではないか、その国の政権が変われば適正管理など不可能となるかもしれない等々、疑問や懸念は残ります。
次期戦闘機の第三国輸出はこれまでの方針を大きく変更することであり、十分な説明と丁寧な議論による国民の理解が欠かせません。引き続き議論が必要だと思います」
(頑張りましたが、文字化にあたり私がミスしている箇所はあると思います)