【鳥】 【呉音・漢音】チョウ(テウ) 【訓】とり
トリの姿を描いた象形文字。図解のとおり、尾のたれさがったとりのことである。のち広くとりの総称に用いる。
この字が表すチョウというコトバは、長々と垂れさがるという意味である。その証拠に、あの甲子園球場を(長々と垂れさがって)すっぽりと覆うツタを蔦(チョウ)という。長々と垂れる植物だから、草かんむりをつけて「草+鳥」という字形で表したのである。
吊(チョウ)・・・・長々とぶらさがる と同系。吊は「口+巾(ぬの)」で、布切れで何かをぶらさげるさまを示す。昔の穴あき銭にひもを通して百文をつなぎ、ぶらりと腰にぶらさげたのを一吊銭・両吊銭とかぞえた。
■単語家族
鳥・弔・吊・督 ・・・・ 細長く垂れ下がる
【隹】 【呉音・漢音】スイ 【訓】とり
同じくトリの姿を描いた象形文字であるが、尾の短いとりを描いたもの。尾が短くて、小柄でずんぐりと太ったトリのこと。
ずんぐりと太いの意を含み、雀(すずめ)・隼(はやぶさ)・雉(きじ)などの字に含まれるが、鳥とともに、広く、トリを意味することばになった。
この隹の字に「土」をつけると、堆積(たいせき)の堆の字となる。ずんぐりと土を盛った状態を表し、下太りにしまった土盛りのことである。
また、ずんぐりと重い石で作ったウスや重しの石を、「石+隹」→「碓」(タイ)と書き表し、ずっしりしたツチを、「木+隹」→「椎」(ツイ)と書く。
このように、およそ「隹」を含む字はすべて、ずんぐりして、小太りにしまった形をしているという意味を含んでいる。
ということで、トリのうちでも、雀(すずめ)・雁(ガン・かり)・雛(ひな)のように、全体として小太りでひきしまった形をしているトリの名には「隹」が含まれている。
しかし、この使い方の原則は、後年になって乱れてしまい、ニワトリのことを鶏とも「鶏-鳥+隹」とも書くようになった。また、鶉(うずら)のような、尾が短くてずんぐりと小太りな姿をしているトリにも「鳥」を含む例が出てきた。長い年月の間に「乱れ」が習慣となったものである。
【酉】 【漢音】ユウ(イウ) 【呉音】ユ 【訓】とり
トリ。十二支の十番め。もともと動物のトリとは関係がない。
参照:「十二支と動物」
参照:十干十二支--干支(カンシ・えと)
酒をしぼるツボの象形。酋(シュウ・しぼり酒) ─ 酒(シュ・シュウ) ─ 「手+酋」(シュウ・引きしぼる) ─ 「手+秋」(引きしぼる)は、秋(シュウ・引きしめる → 収穫する)と同系である。酋とは、収穫した穀物で新酒を作る時と考えてもよいし、広く「引きしめてひと所に収穫する」意と解してもよい。『説文』は「就(ひと所に引きしめてまとめる)」と考え、『漢書律暦志』は「留熟(新酒を熟させる」)」と考えている。
※申堅於申,留熟於酉,畢入於戌,該「門+亥」於亥。(『漢書律暦志』)
【 鳥 隹 酉(とり)干支(えと) ─ 漢字家族 】
【犬 狗 戌(いぬ)干支(えと) ─ 漢字家族】
【子(ね)-- 干支(えと)漢字家族】