妻殺害容疑で33歳の夫逮捕、無理心中図ったか
TBS News 2016/6/28
東京・池袋のホテルで妻を殺害したとして、無職の山口輝武容疑者(33)が警視庁に逮捕されました。
山口容疑者は今月7日から8日にかけて、ホテルで妻の美賀さん(46)の左胸をナイフで刺し殺害した疑いが持たれています。山口容疑者の左胸にも刺した傷があり、警視庁は無理心中を図ったとみています。山口容疑者は「病気で苦しむ妻を楽にしてあげたかった」と容疑を認めているということです。(28日00:39)
TBS 6月28日(火)5時34分
◎上記事は[TBS News]からの転載・引用です
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〈来栖の独白〉
多田富雄・新作能「生死の川-高瀬舟考」が思い起こされた。遠島の刑を受けた妻殺しの夫と、高瀬川を護送する船頭の会話を通して、安楽死の問題を扱った作品。
人の苦患を救はんとの 心は慈悲にも似たれども
人のいのちをつづめたる その苦しみのなほまさる
中有の闇に迷ひいる 妄執の根となりし
わが罪とがのありかをば たださんために 来たりたり
人目まれなる夜半の瀬の 夢にだにも とひたまへ
昔は鵺も流されし
淀の立つ瀬の高波に かひもなき身のあかしを 同じく立て申さんと 櫓(やぐら)の水音も高瀬舟
黒き水面に影落ちて 川底に入りて 失せにけり
これまでの能、そして人間の悲しみの根源は、云ってみれば「会者定離」「愛別離苦」ではなかったか。
それが、今や新作能に見られるように、「体が死なぬための苦しみ」となったように思われる。
そしてまた、新作能では流石に取り上げられていないが、日々報道される「認知症」のもたらす深刻な問題。
人が1世紀ほども生きるということ、これをどのように考えればよいのか。私には、只々、恐ろしい現象のように感じられる。怖ろしい。
先日はNHKTVで、胃瘻など、延命治療を了解した家族、拒否した家族の苦悩を取り上げていた。難しい選択を迫られる時代になった。これからもっと、闇は深くなるのだろう・・・。
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◇ 死を望む妻、引き留め続けた夫「裁判所は深い同情を感じています。命の大切さを確かめ、生き抜いてほしい」
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