選挙でSEALDsを錦の御旗のように利用した民共両党は、解散会見(2016/8/16)での彼らの“総括”をどう聞いたのか?

2016-08-29 | 政治〈領土/防衛/安全保障/憲法/歴史認識〉

 産経ニュース 2016.8.29 01:00更新
【水内茂幸の野党ウオッチ】選挙でSEALDsを錦の御旗のように利用した民共両党は、解散会見での彼らの“総括”をどう聞いたのか?
 安全保障関連法に反対する学生団体「SEALDs(シールズ)」が15日、解散した。デモや街頭演説で威勢のいい言葉が目立ったが、16日の解散会見では、世間に主張を広めることがいかに困難かを語るメンバーが続出。7月の参院選では共産党を含む野党4党共闘の接着剤となったもの、自民、公明両党の圧勝を許したことへのもどかしさもにじませた。選挙戦でシールズを錦の御旗のように利用した民進、共産両党などは、彼らの総括をどう聞いたのだろうか。
 「選挙に関わるなかで、自民党をはじめ改憲勢力の方々が、この何十年間、憲法改正に向けて地道な努力を続けて来られたことがよくわかりました」
 会見に参加した女性メンバーは、「立憲主義の回復」などを掲げて戦った参院選で、逆に自民党などが憲法改正に向け、コツコツと積み重ねた苦労を肌で感じたことについて、こう振り返った。
 もちろんこの女性は、「その努力は国際的な軍縮の流れに逆行する時代錯誤のものだと認識している」と続け、あくまで今の改憲議論には反対の立場。ただ、世の中を政治的に動かすには、相当な時間と労力が必要だと悟ったようで、「今度は時代にあった新しい価値観に基づくリベラル側の『地道な努力』が問われてくる。とても長い戦いになる」とも述べた。
 別の男性メンバーは、「僕はスピーチすることが一番辛かった。自分自身が何を考えているか言わないといけないからだ」とも吐露。「理屈だけで安保法制の何が問題かを普通に話すことはできる。だが、自分にとってこの問題が何なのか。今の社会にとってどういう問題を持っているのかいうことは本当にしんどい。自分の中にそんなものがあるのかどうかも僕は疑わしい」とも述べ、口にする主張に心の内が追いつかなかった様子をあけすけに語った。
 デモでは、ラップ調の音楽に乗せて「(安保関連法の)賛成議員を落選させよう」などと過激な主張が目立ったシールズ。民進党や共産党は「市民の側が声を上げた」「政治活動とは無縁だった普段着の学生が、安保関連法廃止の大きなうねりを生み出した」などともてはやし、かたや自民党幹部は「一皮むけば共産党の別働隊」などと批判した。ただ、周囲が功罪両面で存在を大きく捉えたのとは裏腹に、実際は彼らなりの試行錯誤を繰り返していたようだ。
 シールズは参院選で「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の一角に加わり、民進、共産など野党4党と政策協定を締結。選挙戦では、32の改選1人区に擁立した野党統一候補を支え、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用した支持の呼びかけやチラシの作成、各候補の応援演説などを手がけた。
 これを徹底的に利用したのが民進党や共産党だ。民進党は3月の結党大会にシールズ創設メンバーの奥田愛基氏を招いたほか、6月には党のホームページに岡田克也代表と奥田氏の対談を掲載。共産党も機関紙「しんぶん赤旗」で、シールズの一挙手一投足を連日詳報した。参院選では、野党統一候補の決起集会などに、シールズのメンバーが「安保関連法に反対するママの会」などとともに登場。「普通の人が手弁当で応援している」(共産党関係者)雰囲気の演出に一役買った。勝敗を分けるとされた無党派層の支持獲得の狙いがあったとみられる。
 ただし選挙のふたをあけてみれば、彼らの言動が期待したほど同世代の支持を集めたとは言い切れない。共同通信の出口調査では、18、19歳の比例代表の投票先は自民党が40・0%、20代は43・2%といずれも最多。両世代とも、共闘した野党4党を合計した数字より、自民が10ポイント近くも上回った。シールズは選挙戦で「安倍晋三政権打倒」を訴えたが、若者の多くは安倍政権を支持したといえる。
 シールズはデモで「誰も殺すな」「自衛隊員の命を守れ」などと訴えた。ただ、北朝鮮の核・ミサイル開発や軍事力強化を背景にした中国の海洋進出など、現実的な脅威に対する処方箋を具体的には示さなかった。
 奥田氏は解散会見で「まだ政治活動を担おうとする人が少ない」とも述べたが、現代の若者はシールズが参院選で駆使したSNSも使い、国際政治や軍事情勢にはるかに明るくなっている。政治への無関心は今もはびこっているだろうが、メンバーが会見で語った「10年先、20年先の生活」を豊かにするために何が大切か、冷静に判断した若者も少なくないのだ。こうした若者にとっては、シールズの主張は反対のみが際立つ単色的なものに映ったのではないだろうか。
 解散会見の言葉を聞くと、一部のメンバーは真の反響の鈍さに悩み、自問を繰り返していたようにも感じる。会見では、「解散はシールズという一つの手段が目的化しないためにも必要なことだ」との声も出たが、これ以上の外部からの政治利用を避けるうえでも的確な判断といえる。
 「最近健康的じゃないなと思い、野菜を食べるような感覚で参加した」などと語るメンバーにとって、一連の活動は政治を自分の問題と考えるきっかけにはなっただろう。他方、シールズが問い続けた「民主主義」を動かすには多数の合意形成が必要で、難題ほど「地道な努力」も重要になってくる。今回、シールズを利用した野党は、「地道な努力」の大切さや、旧民主党政権の失敗談も含めた現実政治の厳しさを彼らに説いただろうか。功罪の検証も必要だ。(政治部 水内茂幸)

 ◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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「奴隷の平和」でもよいのか。絵空事を信奉するのはやめよう。国際社会の現実を見よう。憲法が国民を守ったのではない。
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