元名大女子学生 初公判2017/1/16 法廷での被告のプライバシーの扱いに法規定はなく、裁判所側は成人同様、公開での審理

2017-01-16 | 少年 社会

 2017/1/16 夕刊
元名大生側が無罪主張 殺人や毒物投与、名地裁で初公判
 名古屋市で知人女性を殺害し、仙台市で同級生らに劇物の硫酸タリウムを飲ませて殺害しようとしたとして、殺人や殺人未遂などの罪に問われた名古屋大の元女子学生(21)=事件当時16~19歳=に対する裁判員裁判の初公判が16日、名古屋地裁(山田耕司裁判長)で開かれた。弁護側は全事件について「重い精神障害の影響で、元学生には責任能力がなかった」として無罪を主張。元学生は「タリウムを混入させた際、被害者が死亡しても構わないと考えた覚えはない」と起訴内容を一部否認し、女性殺害の事実関係については争わない姿勢を示した。
 元学生は捜査段階で「人を殺してみたかった」と供述するなど、社会に衝撃を与えた事件を巡り、裁判員らは難しい判断を求められる。公判は計21回開かれ、判決は3月24日の予定。初公判では裁判所の判断で、元学生を傍聴席から見えないようにする遮蔽物は設けられなかった。
 冒頭陳述で検察側は「元学生には発達障害があったが、犯行への影響は限定的で、完全責任能力があった」と主張。タリウム事件については「死んでも構わないと認識しており、殺意はあった」と述べた。さらに「中学生のころに神戸市の連続児童殺傷事件(1997年)を知って強い興味を抱き、その後、猟奇的事件を調べるようになった」と指摘した。
 一方、弁護側は、元学生は発達障害に加え、そううつ病だったとして「善悪の判断ができず、行動をコントロールできなかった」と主張した。元学生を起訴したのは違法だとして、公訴棄却も求めた。
 起訴状によると、元学生は2014年12月、名古屋市昭和区の自宅アパートで、知人の森外茂子さん=当時(77)=を手おので殴り、マフラーで首を絞めて殺害。仙台市内の私立高校に通っていた12年5~7月には、同級生ら2人に硫酸タリウムを飲ませて殺害しようとしたなどとされる。
 一連の事件を巡っては、名古屋地検が元学生の精神鑑定を実施し「責任能力に問題はない」として家裁送致。一方、名古屋家裁が依頼した鑑定医は、精神障害の影響を指摘して責任能力を否定し、鑑定結果は分かれた。これらを踏まえ、同家裁は「各犯行時の責任能力には問題はなく、刑事処分が相当」と判断して検察官送致(逆送)し、地検は15年10月に起訴した。
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あどけなさ、甲高い声で タリウム事件の殺意を否認 

   初公判で罪状認否を答える元名古屋大女子学生=イラスト・浦道美紀
 
 名古屋大の元女子学生(21)が「人を殺してみたい」という動機で殺人や毒物投与などをしたとして、社会に衝撃を与えた一連の事件。異例の厳戒態勢の中、事件当時は十六~十九歳で現役の高校生、大学生だった被告が十六日、名古屋地裁の初公判で、逮捕から初めて公の場に姿を見せた。(略)
 裁判長に促されて証言台に立つと、マスクを外した。肌は白っぽく、あどけなさが残る顔立ち。プライバシーに配慮して人定質問は省略され、事前に記載した氏名や住所が正しいかを裁判長に問われると、はっきりと甲高い声で「はい、間違いないです」と初めて声を発した。審理の説明を受ける際も「はい、はい」と時折、うなずいた。
 起訴状の朗読が始まると一瞬、検察官に目をやったが、途中からはうつむきがちに。その後、裁判長から「言いたいことはありますか」と問われ、大きな声で「はい、あります」と答え、「タリウムを混入させた際、被害者が死亡しても構わないと考えた覚えはない」と、殺人未遂事件の殺意を否認した。
■異例の厳戒態勢 元女子学生のプライバシー配慮 
 元学生の初公判を前に傍聴者全員の所持品検査が行われた。暴力団関係者らの公判以外で、こうした措置が取られるのは異例。事件当時は未成年だった元学生のプライバシーに裁判所が配慮したとみられる。
 関係者によると、弁護側は傍聴席から元学生の姿が見えないように、ついたてを設けるなどの措置を求めた。だが、法廷での被告のプライバシーの扱いに法規定はなく、裁判所側は成人同様、公開での審理を選択した。
 一方傍聴者が持ち込めるのは筆記用具などに限定。パソコンやカメラは禁止し、携帯電話も電源を切るよう求めた。
 一般傍聴用の77席を求めて5倍近い366人が列をつくり、抽選が行われた。その後、傍聴者は必要品以外を裁判所職員に預け、金属探知機で検査を受けた後、法廷に入った。所持品検査が長引き、開廷は予定より20分ほど遅れた。
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 2017/1/17 中日新聞 朝刊(社会面)
プライバシー配慮も
 元学生は、事件当時未成年で、2015年10月の起訴直前に成人となった。少年法は成人後も本人の実名報道や写真掲載を控えるよう求めているが、法廷でのプライバシーの扱いについて法規定や統一的な指針はない。(略)
 報道機関にも、地裁が廷内のイラストについて、元学生の顔など個人の特定につながる表現を避けるよう要請した。
 判決時に成人となっているため、元学生に少年法の定める不定期刑が言い渡されることはないが、量刑や更生の可能性などは、事件当時に未成年だったことが考慮される見通しだ。

 ◎上記事は[中日新聞]からの書き写し(=来栖)
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改正少年法成立 2014/4/11  「有期刑」上限15年⇒20年 「不定期刑」短期5年⇒10年 長期10年⇒15年
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石巻3人殺傷 少年事件「死刑判決」 賛否 短い評議 制度に課題 処罰感情 更生(毎日新聞2010/11/27)


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