2017.1.17 05:04更新
【産経抄】共謀罪は世界の常識 1月17日
いわゆる「ロス疑惑」の主人公、三浦和義氏は、妻一美さんの銃撃事件について、日本では無罪が確定している。ところが平成20年2月、米自治領サイパン島に滞在中、ロサンゼルス市警に逮捕された。容疑の一つは、日本の司法制度にはない共謀罪だった。
▼カリフォルニア州法によれば、2人以上による犯罪行為の共謀を立証すれば、実行犯を特定する必要はないという。三浦氏はロスに移送された直後に自殺した。裁判が行われていれば、共謀罪について日本でもう少し理解が深まったかもしれない。
▼もっとも、政府がこれまで創設をめざしてきた共謀罪は、米国の法律とはまったく違う。あくまでテロなど重大犯罪を謀議する団体が対象である。それでも、共謀罪を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正案は、野党などの反対で3回も廃案になってきた。
▼「居酒屋で同僚に『上司を殴る』などと相談しただけで処罰される」。こんな誤ったたとえ話がまかり通ってもきた。そこで政府は、適用対象を暴力団など「組織的犯罪集団」に限定して明文化した。共謀罪の名称も「テロ等準備罪」に改めた。テロ対策は、3年後に開催を控えた東京五輪・パラリンピックの最大の課題となっている。少しの猶予も許されない。
▼テロ組織に対応する国際組織犯罪防止条約は、共謀罪を盛り込んだ国内法の整備を締結の条件としている。締結していないのは、先進7カ国では日本だけだ。それどころか、国連加盟国のなかでも11カ国にすぎない。
▼テロの事前情報がやりとりされるネットワークからはずれ、蚊帳の外に置かれたままでいいはずがない。共謀罪を敵視する政党やメディアは、日本が孤立を深めテロの標的となるのを座視せよ、とでもいうのか。
◎上記事は[産経新聞]からの転載・引用です
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◇ 「共謀罪」法案への国連報告者書簡は不適切、強く抗議=菅官房長官 2017/5/22
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◇ 「テロ等組織犯罪準備罪」=国際連携に成立欠かせぬ 2017.1.11
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◇ 27年目のロス疑惑ー洞爺湖サミットー共謀罪(中日新聞夕刊 2008/03/07)
◇ 弘中惇一郎著『無罪請負人』 (2014/4/10初版発行) / 三浦和義氏手記
◇ 三浦和義元社長が手記 月刊誌「創」5月号(2008/3月23日付) 逮捕への憤りあらわに
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