「五〇年までに海中のプラスチックの量が魚の量を超える」 海のプラごみ 30年先では遅すぎる 2019/7/5

2019-07-05 | いのち 環境

 中日新聞 社説 2019年7月5日

海のプラごみ 30年先では遅すぎる

 温暖化と海のプラスチックごみ-。G20サミットの焦点になると言われた地球の課題。ところが終わってみれば温暖化は足踏み状態。プラごみは先送り。先送りして困るのは、議長国日本では?
 「プラスチック汚染から私たちの美しい海を守るため、世界が一致して大きな一歩を踏み出すことができた」-。G20の議長として閉会後の記者会見に臨んだ安倍首相は、自画自賛した。
 G20は「二〇五〇年までに海へのプラごみ流出ゼロを目指す」とする「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有した。美しい名称だ。しかし、どうやってなくしていくかは、各国の自主性に委ねられ、実効性の保証はない。
 「五〇年までに海中のプラスチックの量が魚の量を超える」と、三年前のダボス会議で報告されている。三十年先では遅すぎる。
 首相は会見で「日本から海洋プラごみが海に出ているというのは、誤解です」と主張した。
 この認識には違和感がある。
 環境省の資料によると、発生量(一〇年推計)一位は中国、続いてインドネシア、フィリピン、ベトナムと四位までが東、あるいは東南アジアの国々だ。
 日本の三十位、年間推計二万~六万トンが多いか少ないかはさておくとして、日本からは一年に百五十万トンのプラごみが、これらの国々に資源として輸出されていた。
 日本からの“輸出品”の一部が使い物にならずに捨てられて、海を汚し続けてきたとの恐れは強い。海洋への流出ルートに関しては、不明な点も多いという。
 一昨年末、最大の輸出先だった中国が受け入れを停止した。折しもG20の開催に合わせるかのように、インドネシアがプラごみの輸入を禁止する方針を打ち出した。
 「日本の経験と技術をフル活用し、途上国の能力構築にも取り組んでいく」と、いまだ首相は“環境先進国目線”だが、輸出できないプラごみが港などに山積み状態にされているのが、“先進国”の現状だ。環境省は、廃棄物処理業者が一時保管できるプラごみの量を二倍にするという。あくまでも一時保管。切迫感の証しである。行き場のない“ごみ”が“闇”に落ち、いつしか海に-ということにもなりかねない。
 まずは国として自国での発生抑制に本腰を入れ、“脱プラスチック”の先行例を速やかに世界に示すことこそ、G20議長国のあるべき姿とは言えないか。

    ◎上記事は[中日新聞]からの転載・引用です

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【プラスチックごみ問題】海から消えゆく生き物の「嘆き」 G20で解決の道筋は  2019/6/27

  

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◇ リサイクル困難な「汚れた廃プラ」 輸出入規制へ国際ルール 2019/5/11 … 日米は対応に苦慮
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海洋に投棄されたプラスチックのごみ…死んだ鯨の胃から大量に 生物の生態系に深刻な影響 2018/11/22

   

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