http://www.the-journal.jp/contents/tahara/2009/04/post_118.html#more 「タハラ・インタラクティブ」
検察の言いなりになるメディア
今回の小沢問題で、はからずもメディアはその欠陥を露呈した。
たとえば、3月3日に小沢さんの公設秘書である大久保隆規氏が逮捕されたが、その日の夕刊から大久保氏に関する情報がどんどん流れた。そのほとんどは検察のリーク情報であり、事件発覚当初から、新聞やテレビは検察からのリーク情報にのせられて報道していた。
ところが、ある時期から検察が情報の出し方にブレーキをかけるようになった。しかも、メディアに「書くな」という圧力をかけ、メディアもそれに従うようになった。
なかでも典型的なのは、民主党の小沢代表の元秘書である石川知裕衆院議員(民主)が事情聴取を受けたときだ。新聞は、石川氏が事情聴取を受ける前から彼を犯人扱いしていた。ところが、その次に同じく小沢氏の元秘書である高橋嘉信元衆院議員(現在は小沢氏と仲違いし、岩手4区で自民候補として出馬予定)が事情聴取を受けたとき、メディアは何も報じなかった。事情聴取を受けた後、少し書いただけだ。石川氏と高橋氏は元秘書という同じ立場にあるにもかかわらず、である。
では、なぜ新聞やメディアは報じなかったのか。私は、そのことについて報道関係者に「なぜ書かないのか」と問うた。すると、「圧力がかかったからだ」と言う。私が重ねて「そんなことで検察の言うことをきくのか」とたずねると、「きく」という。なぜなら、検察の言うことをきかなければ、記者は一切情報がもらえない。だから書かない。つまり、新聞やテレビは検察に「書け」と言われれば書き、「書くな」と言われれば書かないのだ。
少し前までなら、検察のリーク情報でも自ら裏取り取材をしてから報じていたと思う。ところが、現在では裏取りのない情報がそのまま新聞やテレビで報じられている。今回の事件では検察の劣化が指摘されたが、メディアの劣化もすすんでいることは間違いない。(構成:THE JOURNAL運営事務局)投稿者: 田原総一朗 日時: 2009年04月04日 00:00 | パーマリンク
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http://www.k4.dion.ne.jp/~yuko-k/adagio/hon30-kensastuwo.htm 検察を支配する「悪魔」
p153~ マスコミは検察の言いなり---田中
大マスコミは検察の言いなりやからね。
現場で見ていても、新聞やテレビといった大マスコミは、検察に上手にコントロールされているという感じがする。大マスコミによる検察批判なんて考えられませんね。
特捜の扱う事件は、下手に情報が漏れると、事件が潰れかねない。だからマスコミへのガードは非常に堅く、記者が接触できるのは、たとえば東京地検の場合、特捜部長と副部長に限定されていて、第一線の現場の検事への接触は禁じられている。もし、これを破ったら、検察への出入りは禁止です。接触した検事も異動させられる。
p155~
一方、取材する側の司法記者から見れば、特捜が手掛けるのは社会的な影響の大きい事件なので、スクープできれば手柄になる。裏を返せば、他社に抜かれるとクビが危ない。そこで夜討ち朝駆けで、特捜部長や副部長から情報を聞き出そうとするわけだけれど、覚えがめでたくないと、喋ってもらえない。
検察に不利益なことを少しでも書く記者には、部長も副部長も一切、情報を教えません。だから、どうしても検察側の代弁に終始してしまう。
仮に、これに疑問を感じて、独自の取材を展開し、すっぱ抜いて報道したら、「てめえ。事件を潰す気か」と、検察側の怒りに触れる。記事を書いた記者だけでなく、その社の人間は、出入り禁止。情報がまったく入ってこなくなる。マスコミにとっては致命的な状況に置かれるわけです。
検察とマスコミでは上下関係ができていて、マスコミは検察に対しては無抵抗状態というのが現実です。
2005年の年初、東京地検特捜部長の井内顕策が、「マスコミはやくざ者より始末におえない悪辣な存在です」と書いた文書を、司法記者クラブに配布するという事件があった。しかし、そこまで誹謗されても記者たちは何の抵抗もなしです。どこの新聞社も記事にもできなかった。
p156~ 大衆迎合メディアが検察の暴走を許す---田原
マスコミを踊らすなんて、検察にとっては朝飯前なんですよね。
情報操作によって世論を喚起した事件として思い出すのは、沖縄返還協定を巡って1972年に毎日新聞政治部記者、西山太吉と外務省の女性事務官が逮捕された外務省機密漏洩事件です。
西山記者が逮捕されたとき、「言論の弾圧だ」「知る権利の侵害だ」という非難が国民の間で上がった。
そこで、検察は起訴状に「西山は蓮見(女性事務官)とひそかに情を通じこれを利用し」という文言を盛り込み、批判をかわそうとした。この文言を入れたのは、のちに民主党の参議院議員になる佐藤道夫。
検察のこの目論見はまんまと成功、西山記者と女性事務官の不倫関係が表に出て、ふたりの関係に好奇の目が注がれ、西山記者は女を利用して国家機密を盗んだ悪い奴にされてしまった。
本来、あの事件は知る権利、報道の自由といった問題を徹底的に争う、いい機会だったのに、検察が起訴状に通常は触れることを避ける情状面をあえて入れて、男女問題にすり替えたために、世間の目が逸らされたわけです。
西山擁護を掲げ、あくまでも言論の自由のために戦うと決意していた毎日新聞には、西山記者の取材のやり方に抗議の電話が殺到、毎日新聞の不買運動も起きた。そのため、毎日は腰砕けになって、反論もできなかった。
p158~
西山事件のようにワイドショー的なスキャンダルをクローズアップして事件の本質を覆い隠す手法を、最近とみに検察は使う。
p159~
興味本位のスキャンダルは流しても、事の本質については取り上げようとしないメディアも悪い。いや、大衆迎合のメディアこそ、検察に暴走を許している張本人だといえるかもしれませんね。
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〈来栖の独白〉
民主党は鳩山由紀夫代表で決着した。が、メディアの報道は、これでよいのか。検察のあり方を問う場所が、無い。他の事件や裁判においても、然り。
閑話休題。以下は17日のテレビ朝日「ザ・スクープSP」である。
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検証・滋賀 日野町事件
1984年12月28日。滋賀県日野町で酒店経営の女性が金庫と共に行方不明になり、翌年1月、町内で他殺体となって発見。それから3年後、常連客だった阪原弘容疑者が犯行を認めたとして逮捕された。長女は、取調べが終わり夜遅く帰宅した父との会話を、今も覚えている。「お前らがかわいいから自白してもうた」。刑事は「娘の嫁ぎ先をガタガタにしたろうか」と脅したという。父は警察の厳しい取調べに耐えられなかったというのだ。動機も物的証拠もなく、あるのは「手で首を絞めた」という自白のみ…しかも被告は公判で全面否認。こうしたなか7年かかった一審判決直前、奇妙なことが起きる。この最終段階で、検察側が異例の起訴事実変更を申請。店内だった犯行場所を「日野町内及び周辺」に、午後8時40分とした犯行時刻を「8時過ぎから翌朝まで」に変更したのだ。犯行時間も場所も特定しない考えられない変更だったが、裁判官は認めた。
そして…一審判決(無期懲役)。自白を「信用できない」としながらも「金庫を捨てた現場に刑事を案内した」等の状況証拠で有罪。二審判決(無期懲役)。「一審の状況証拠だけでは有罪と出来ない」としながらも、自白は「信用性がある」として有罪。なんと「自白」と「状況証拠」をめぐり、一審と二審が真っ向食い違う判断をしながらも、ともに「有罪」であるとして、無期懲役判決を下したのだ。こうしたなか弁護団は再審で「死因は手で首を絞めたのでなく、紐で締めたことによる」という新証拠を提出する。地裁もこの弁護側新証拠を認定した。しかしここでもまた意外な展開が待っていたのだ。番組では、きわめて疑問の多いこの事件を追跡取材。取り調べ段階の問題点や検察側主張の矛盾を取材することにより事件像を検証する。http://www.tv-asahi.co.jp/scoop/
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後半しか見なかったが、驚いた。“この最終段階で、検察側が異例の起訴事実変更を申請。店内だった犯行場所を「日野町内及び周辺」に、午後8時40分とした犯行時刻を「8時過ぎから翌朝まで」に変更したのだ。犯行時間も場所も特定しない考えられない変更だったが、裁判官は認めた。”とある。
このような焦点のぼやけた起訴事実自体にもあきれるが、この変更を裁判官が認めたどころか、実は裁判所が検察に先に教唆した、と云うのである。判・検一体。疑わしきは「検察の」利益に、か。
現在も、阪原氏は刑務所にいる。