石巻3人殺傷 無職少年あす初公判 社会記録使わず審理
宮城県石巻市の民家で2月に起きた男女3人殺傷事件で、殺人・殺人未遂のほう助罪に問われた東松島市の無職少年(18)の裁判員裁判が13日、仙台地裁で始まる。起訴内容に争いはなく、少年院送致などの保護処分が相当だとするか、懲役刑などの刑事罰を選ぶかが争点になる。家裁が少年の成育歴や人間関係などを調べた社会記録(少年調査票)は今回、証拠採用されない。事件への関与の度合いや保護の必要性を、裁判員らがどう評価するかが注目される。
<不採用>
少年が被告の裁判員裁判で、裁判員らは起訴内容を調べ、有罪・無罪を判断する。有罪と判断した場合、保護処分か刑事罰かを選択。保護処分が相当だとすれば、家裁に少年を移送し、刑事罰が相当だとすれば量刑を決めることになる。
無職少年の裁判では、少年の処遇を判断するため家裁が作成する社会記録は使われない。公判前整理手続きで、検察側が証拠申請したのに対し、弁護側は「結果の重大性だけが強調されていた」として不同意にし、裁判所も不採用を決めたからだ。
社会記録には、学校の生活態度、交友関係、家庭環境、知能検査の結果などとともに、家裁調査官が犯罪の要因を科学的に分析し、処遇について意見がつづられる。
少年の刑事裁判で社会記録を使わないのは異例で、弁護側は、社会記録抜きで保護処分の相当性を「立証」することになる。
<ねじれ>
無職少年への判決は、重い順に(1)不定期懲役刑(2)執行猶予付き懲役刑(3)保護処分相当として家裁移送―が想定される。家裁に送られた場合、再び少年審判を受け、少年院送致になるとみられる。
裁判員らが、選択肢のうち2番目に重い執行猶予付き懲役刑を選ぶと、少年の身柄は解放される。少年院送致に比べ、判決の重みと少年の自由度には「ねじれ」が生じる可能性もある。
裁判員らは刑務所と少年院の違いを理解した上で、処遇を決めなくてはならない。
<主従関係>
死刑判決を受け、控訴した主犯の元解体工少年(19)の公判や無職少年の起訴状などによると、無職少年は元解体工少年の指示で、ホームセンターで凶器の包丁を万引した。罪の身代わりを強要され、包丁に指紋を付けさせられたという。犯行現場では、出入り口に立ちふさがり、被害者の逃げ口をふさぎ、元解体工少年の犯行を手助けしたとされる。
弁護側は「やむを得ず事件に加わった」と主張する予定。検察側は、無職少年の果たした役割の大きさや結果の重大性を主張するとみられる。
[石巻3人殺傷事件]元解体工少年(19)=一審死刑・控訴=の一審判決によると、元解体工少年は2月10日朝、殺人・殺人未遂のほう助罪で起訴された東松島市の無職少年(18)と民家の2階寝室に押し入り、元交際相手でこの家の次女(18)の左脚を包丁で切り付けた上、長女の南部美沙さん=当時(20)=と、次女の友人で石巻市の高校3年大森実可子さん=当時(18)=を刺殺。同市の会社員男性(21)の胸も刺して大けがをさせ、次女を連れ去った。〈河北新報2010年12月12日日曜日〉
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◆仙台地裁の裁判員裁判で死刑判決の少年被告人、控訴に同意
◆石巻3人殺傷:死刑判決=厳罰を維持し、死刑も活用しようとし続けているわが国自体の『残虐さ』
◆少年事件:石巻3人殺傷事件/名古屋アベック殺人事件:更生可能性の鍵は社会の側に
宮城県石巻市の民家で2月に起きた男女3人殺傷事件で、殺人・殺人未遂のほう助罪に問われた東松島市の無職少年(18)の裁判員裁判が13日、仙台地裁で始まる。起訴内容に争いはなく、少年院送致などの保護処分が相当だとするか、懲役刑などの刑事罰を選ぶかが争点になる。家裁が少年の成育歴や人間関係などを調べた社会記録(少年調査票)は今回、証拠採用されない。事件への関与の度合いや保護の必要性を、裁判員らがどう評価するかが注目される。
<不採用>
少年が被告の裁判員裁判で、裁判員らは起訴内容を調べ、有罪・無罪を判断する。有罪と判断した場合、保護処分か刑事罰かを選択。保護処分が相当だとすれば、家裁に少年を移送し、刑事罰が相当だとすれば量刑を決めることになる。
無職少年の裁判では、少年の処遇を判断するため家裁が作成する社会記録は使われない。公判前整理手続きで、検察側が証拠申請したのに対し、弁護側は「結果の重大性だけが強調されていた」として不同意にし、裁判所も不採用を決めたからだ。
社会記録には、学校の生活態度、交友関係、家庭環境、知能検査の結果などとともに、家裁調査官が犯罪の要因を科学的に分析し、処遇について意見がつづられる。
少年の刑事裁判で社会記録を使わないのは異例で、弁護側は、社会記録抜きで保護処分の相当性を「立証」することになる。
<ねじれ>
無職少年への判決は、重い順に(1)不定期懲役刑(2)執行猶予付き懲役刑(3)保護処分相当として家裁移送―が想定される。家裁に送られた場合、再び少年審判を受け、少年院送致になるとみられる。
裁判員らが、選択肢のうち2番目に重い執行猶予付き懲役刑を選ぶと、少年の身柄は解放される。少年院送致に比べ、判決の重みと少年の自由度には「ねじれ」が生じる可能性もある。
裁判員らは刑務所と少年院の違いを理解した上で、処遇を決めなくてはならない。
<主従関係>
死刑判決を受け、控訴した主犯の元解体工少年(19)の公判や無職少年の起訴状などによると、無職少年は元解体工少年の指示で、ホームセンターで凶器の包丁を万引した。罪の身代わりを強要され、包丁に指紋を付けさせられたという。犯行現場では、出入り口に立ちふさがり、被害者の逃げ口をふさぎ、元解体工少年の犯行を手助けしたとされる。
弁護側は「やむを得ず事件に加わった」と主張する予定。検察側は、無職少年の果たした役割の大きさや結果の重大性を主張するとみられる。
[石巻3人殺傷事件]元解体工少年(19)=一審死刑・控訴=の一審判決によると、元解体工少年は2月10日朝、殺人・殺人未遂のほう助罪で起訴された東松島市の無職少年(18)と民家の2階寝室に押し入り、元交際相手でこの家の次女(18)の左脚を包丁で切り付けた上、長女の南部美沙さん=当時(20)=と、次女の友人で石巻市の高校3年大森実可子さん=当時(18)=を刺殺。同市の会社員男性(21)の胸も刺して大けがをさせ、次女を連れ去った。〈河北新報2010年12月12日日曜日〉
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◆仙台地裁の裁判員裁判で死刑判決の少年被告人、控訴に同意
◆石巻3人殺傷:死刑判決=厳罰を維持し、死刑も活用しようとし続けているわが国自体の『残虐さ』
◆少年事件:石巻3人殺傷事件/名古屋アベック殺人事件:更生可能性の鍵は社会の側に