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見る前に跳べ!「無計画に走るのは世の常」が座右の銘

唐十郎 任侠外伝 玄海灘

2007-06-17 21:33:29 | MOVIE・TV
ケーブルの「日本映画専門チャンネル」で、ATG映画「任侠外伝 玄海灘」をやっていたので観ました。'76年封切で、唐さんがまだ状況劇場をやっていた頃の作品です。
舞台は玄海灘に面した港町。若い頃、朝鮮戦争のさなか、朝鮮半島で悪逆の限りを尽くした沢木(宍戸錠)と近藤(安藤昇)。それから四半世紀、密入国してきた金(小松方正)と李孝順(李礼仙)および若いチンピラ田口(根津甚八)がからんでドラマが展開します。
縦糸に二人に妻を奪われた金の怨念、横糸にその子供・李孝順と田口の恋情。そこに玄海の荒々しい波と港町の猥雑な人々が絡んで、唐十郎の世界だなぁという感じでした。
76年ごろは、春秋に状況劇場(紅テント)の芝居があり、必ず観に行っていましたが、当時観た芝居の雰囲気も感じられました。どぶ川流れる長屋に棲みつく異形の人々(嵐山光三郎、十貫寺梅軒、石橋蓮司・・・)の面白さ、近藤が李を犯すシーンで突然窓が開き、薄暗い部屋から真昼の世界が現われるところなど、デジャブのような感じがしました。
沢木の子分に小林薫、篠原勝之など、唐組の面々が出ているのも楽しめます。当時の根津甚八、小林薫はメジャーになる前だったでしょうか。
安藤昇も凄みのある演技で貫禄充分。存在そのものに反社会的な匂いが漂います。
この映画は撮影中に実弾を撃ったということで、物議をかもした記憶があります。当時何となく見のがして、偶然今回観たわけですが、熱い血潮というか(劇中おびただしい量の血しぶきが噴きあがりますが)、パトスというかそういうものを感じた映画でした。
「日本映画専門チャンネル」では定期的にATG映画をやっているようです。こまめにチェックして失われた過去を取り戻そうと思います。

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