猪木にイチコロ！

熱海―――。ここは怪人クンの合気道仲間“イモ”軍団、あのエロ茶の町なのだ。
１２月４日（日）、「闘魂猪木塾」の舞台がまさか彼女のウチのすぐ近くとは、いやはや驚いた。何かとんでもない事件が起こらなければいいんだけどなぁ…。
とはいうものの、やはりそこは「猪木塾」。心の中では何でもいい、サプライズ的な“ハプニング”を期待してしまうのだ。これは怪人クンばかりじゃない。参加者の誰もが思っていることだろう。猪木さんとのハプニングはもちろんのこと、普段はなかなか会うことができない、懐かしい仲間たちとの再会というハプニング。はたまた新たな出会いも嬉しいハプニングなのである。

１０：５６の新幹線こだまに乗る。ＪＲ熱海駅には静岡からは４０分で着いた。改札を二つ抜けるとようやく出口だ。到着してすぐホテルで同室となるＡさんに電話した。彼は一番乗りだという。もう現地にいるのか。
怪人クンにとって熱海という町は思い出の地でもある。小さい頃、幼稚園から小学生四～五年生まで、家族で旅行に来たことが何度もあったからだ。どうやって来たのかといえば、それはいつも親父の運転する車だった。
この町をひとりで歩いた記憶はない。怪人クンは方向音痴なのだ。熱海地理ゼロ。会場にもすんなり辿り着くのか？あとは近畿日本ツーリストの送ってきたパンフレットを頼りに行くだけだ。
駅を出たらまずは右へ。それから左へ、また右へ。くねくね道。何だかややこしいなぁ。人々で賑わう仲見世商店街のアーケードをくぐる。しばらく歩くとトンネルがある。地図に記されていたとおりに来ると海岸通りに出た。ところが、目指すホテルが見当たらないのだ。ものまね芸人・アントキの猪木さんがくれたいつかのコメントが現実になったみたいだ。アタ見当たらない…。
それらしきものがないのだ。車はたくさん走っているが、誰かに尋ねようにも人が歩いていないのだ。しばらくうろうろ歩いてみる。その５分後、もう一度Ａさんに電話を入れてみた。フムフム。道路を渡った海側に小さな看板を発見。ここなのか。確かにその名前があった。目立たないよ、これじゃぁ。見つけるまでに２０分近くかかってしまった。
道路は９Ｆの高さに位置していたわけである。エレベーターで１Ｆフロントへ下りる。

時刻は１２：１５。ロビーにＡさんがいた。昨年の箱根以来１年ぶりの再会だ。怪人クンは２番乗り。続々とおなじみの顔が揃う。アントキさん。イタリアでは同室だったロビンソン氏。その連れの女性。シャクハチ君。彼を今まで三味線のおっしょうさんとばかり思っていたが、尺八だった。訂正しておきます。
国内版、海外版ともに皆勤賞の人もいる。横浜の男性・フクちゃん。そしてこの人、猪木塾生徒会長Ｍ氏である。“猪木塾の顔”たちが揃いに揃った。
受付開始は１３：３０。この時点でまだ１時間もの待ち時間があった。講演会は１４：３０からなのだ。別室で談笑する。再会を喜ぶ面々。ひとりで参加の人もいる。カップルで参加の人も。中には緊張の面持ちで待つ人もいる。表情にもそれぞれ違いがある。余裕綽々と、ぎこちなさと。こういう人間観察はなかなか面白い。

１３：３０、受付開始だ。それを済ませ場内へダッシュした。このイベントの“リングサイド”を確保するためである。昨年同様、今回も講演会は自由席なのだ。怪人クンはＡさんと３番目に到着したボディービルダーのおやっさん（５０代後半）と３人で最前列ど真ん中をＧＥＴ。
怪人クンの右隣は初参加者だ。結婚３年目。はるばる北海道は帯広からこのイベントのために来たという“帯広夫婦”ダーリン＆ハニーのお二人。メガネをかけた旦那さんは、俳優・陣内孝則をより漫画チックにした感じの人。奥さんはそうだなぁ、程よいハスキーボイスでＲ＆Ｂ（リズム＆ブルース）でも歌いそうな女性“パワフル”シンガー的イメージを持った。よく笑う奥さんである。今回はかなり抑えてたんじゃないの？次回お会いした時はもっとパワフルな一面が見れるかも？旦那さんにも期待。

１４時になると６月の「イタリア猪木塾」のＶＴＲがスクリーンに流された。サムライＴＶ！（スカパー）で放送されたものだ。怪人クンのアップ映像も登場。続いてアントニオ猪木の名勝負が流された。猪木ＶＳ“鉄人”ルー・テーズ戦（１９７５年）。
５分前となった頃、司会の元女子プロレス団体社長やリングアナウンサーでもあるヤマモさんの指名で、アントキの猪木さんを“ダミー猪木”に本物の猪木さんの登場リハーサルをする。声を合わせてイノキ、イノキ。おなじみのイノキ・コールを練習するのだ。「バカヤロー！」“猪木芸”を披露するアントキさん。こういう時でも芸人魂を忘れない。

１４：３０。鼓動が早くなる。手に汗がにじんできた。神が現れる瞬間がついに来たのだ。ヤマモさんのコールと同時に猪木のテーマ曲が流れる。さぁ、会場内が今ひとつになってイノキコールの大合唱。塾生は“闘魂ハーモニーオーケストラ”だ。
イントロが始まってもなかなか猪木さんは出てこない。お得意の“戦法”だ。じらすだけじらして我々をさらに高ぶらせるのである。と、そこに猪木さんが現れた！グレーのジャケットに黒のシャツ。濃紺のパンツ。肩にはやっぱりこれ。赤いマフラー。最近になって青ラインが入ったものに変わった。
開口一番、「元気ですかぁ～！」
テーマなきトークライブ。一体何を話すのだろうか？のっけからハプニングがやってきた。マイクが馬鹿になってしまったのだ。いつもは手にマイクを持ちしゃべる猪木さん。仕方ないのでスタッフがピンマイクを胸に着けた。手に何も持たずしゃべることになった猪木さんは「何だか物足りねぇなぁ、ダッハッハ」。永久電機の話。プロレスの話を３０分ほど続けたあと残りの１時間で質問コーナーへ。例の話題を訊かれることを察知してか、お得意のジョークで場内を沸かせて見せた。さすがである。
みんな遠慮しているのか、そう多くの質問者は出なかった。それでもその一つ一つにとても丁寧答えてくれた。冒頭で猪木さんは自称「少子化対策委員長」に就任したと発表。どっと沸く会場。そのことを思い出し、怪人クンも質問に立った。２つのことを訊いてみた。一つは息子さんについて。もう一つは思いつき。
「猪木さんは電機（気）が好きですが、最近電気ショックを受けるような出来事、体全身がビビビ～～～となるほどビックリしたことがあったら教えてください」。
「最近ビックリしたこと？そうだなぁ」考え込む猪木さん。
「もう、ドッカ～ンみたいなですねぇ、ショックといいましょうか。とにかく大爆発するような、驚いたことがあれば訊かせてください」。さらにエスカレートする怪人クン。
怪人クンのあまりのリアクションに、苦笑いする猪木さん。
「答えようがねぇよ。ワッハッハッハ」。会場も大爆笑になった。
まぁ、これが怪人クンなのだ。また馬鹿をやってしまった。

話はまだまだ尽きない。１６時にチェックイン。大浴場での温泉タイム。１７：３０～２０時までの猪木さんとの和宴会。信者のお宝自慢コンテスト。チーム対抗足でスリッパ渡しリレーゲームと続き…。
シャクハチ君。初めて凛々しい君の姿を見たよ。猪木さんが締めの挨拶として「道」の詩とメッセージをくれた時、そのＢＧＭは『♪炎のファイター“尺八バージョン”』が彼により世界で初披露されたのだ。世界初だよ、シャクハチ君。凄いよこれは！一生の誇りだね。猪木さんとセッションしたんだから！
２０時過ぎから花火大会鑑賞。ホテルの屋上からみんなで見る。それが終わると同時に、かなり強い雨が降ってきた。
２２時頃から始まった、２５人参加のヤマモさんの部屋でミッドナイト飲み会などなど…。あれもこれも全部書きたいところだが、残念ながら時間がない。きょうのところはここまで…と思ったら。
あ、そうだ。これだけは書いておこう。宴会での２ショット撮影。箱根で１万円をもらったことを告げると猪木さんは笑って言った。
「どこであげたんだっけ？」（猪木）
「去年の箱根でいただきました」（怪人クン）
「そうか。さては…今年は１０万円取りに来たな？」怪人クンの右手を握り締めながらニヤリと笑う猪木さん。そのあとはあの満面の笑顔である。
たまんないよなぁ。この笑顔を見せられたら、あなたもきっと猪木にイチコロだろう。
明日につづく。


※本日１２月５日（月）、ホテルのベランダから撮影。熱海の朝日と海（写真）。海がじゅうたんのようにも見えます。
※「うたまくら！写真館」ちょっとの間お休みです。数日後に復活！