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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「パリの調香師 しあわせの香りを探して」 グレゴリー マーニュ監督 仏 ✗✗

2021-02-05 | 2021映画評


「パリの調香師 しあわせの香りを探して」 グレゴリー マーニュ監督 仏 ✗✗

 挫折して人との関わりもうまくできない調香師が、仕事も家庭も失いかけている運転手と出会い自分を取り戻していく物語です。
 一流調香師アンヌ(エマニュエル ドゥボス)は4年前に仕事で挫折して以来、聴覚異常を経験し、今はほそぼそと地味な仕事をこなしていました。気難しいアンヌは運転手を雇っても嫌われますが、他に仕事がないギヨーム(グレゴリー モンテル)はアンヌに振り回されながらもなんとか誠実に仕事をし、それがアンヌにも伝わり指名されるようになります。お互いの私生活を知るうちに少しずつ関係も改善され、ギヨームの調香師としての才能も開かれていくのでした。

 調香師という仕事自体がフランス的でその仕事の仕方も興味深いものがありました。常にたくさんの香りのサンプルを持ち歩いて嗅覚の訓練を怠らず、不愉快な香りがついているものを遮断し、自己研鑽していることにプロとして姿勢を伺えます。一方、主人公に足りない人間関係を豊かにする術を雇った運転手から助言され実行する姿も素直です。経済力や社会的立場が全く異なる二人が理解し合い協力する内容には共感を感じます。
 ただ、大気汚染をしている公害企業の煙に近隣住民から苦情が出ないよう「自然な香りの香料」を混ぜてごまかすという仕事はいい仕事だとは思えません。

 タバコ的には色々問題があります。冒頭で出会う前に喫煙していたギヨームに対し「○○のライト?」とギヨームからそのタバコを受取「バージニア種の○○」と香りから葉タバコの産地を当てます。その上で「仕事中は禁煙」と言ってそのタバコをゴミ箱に捨てます。そこまではいいのですが、その後ギヨームは日本ではあまり見ない煙(蒸気?)がモクモクでる新型タバコをパーティーの場などで喫煙しますがそのタバコに対してはなにも苦情を言わないのはなんだか変です。
 ただ、アンヌがホテルに到着するとすぐにシーツなどを持参したものに交換しますが理由が「○○の匂いがついているから」という場面があり、これには強く共感します。安っぽい洗剤の香料は健康にも良くないですね。
 日本でも柔軟剤や洗剤にムダで不健康な匂いをつけている調香師の皆さんも最高の香りは「無臭」もしくは「そのもの自身の匂い」だということを知ってほしいです。


「なんくるないさあ 劇場版 生きてるかぎり死なないさあ」 野田孝則監督 ○ ☆

2021-02-02 | 2021映画評


「なんくるないさあ 劇場版 生きてるかぎり死なないさあ」 野田孝則監督 ○ ☆

 沖縄が生んだ喜劇の女王・仲田幸子を主演にしたドタバタ喜劇を映画にしました。全編「うちなーぐち」(沖縄方言)で標準語の字幕付きです。
 劇団でいご座の座長仲田幸子が亡くなり家族と劇団員は葬儀の準備を始めます。一方、東京から売れないミュージシャン金田哲夫(東風平高根 こちひら たかね)はマネージャー(松田るか)と那覇に営業にやってきましたが、手違いで幸子の棺桶を積んでいたでいご座の派手なトラックで出発してしまいます。葬儀では主役がいなくなり大騒ぎ弔問客をいつもの調子で追加公演とごまかします。幸子の若かった頃の幽霊(仲田まさえ 幸子の孫)が哲夫たちの前に現れ最後の願いを託します。果たしてきちんと成仏させることができるのでしょうか。

 冒頭がドキュメンタリータッチで「沖縄喜劇の女王逝去」の号外が配られ、具志堅用高さんなどの関係有名人のインタビューまであり予備知識無し(仲田幸子自身初めて)でみたので「本物のドキュメンタリー映画?」「そのわりにはちょっとふざけ過ぎだし」と上映開始5分くらいは笑っていいのか笑ったら不謹慎なのか迷ってしまいました。自分の葬式まで喜劇にしてしまうなんて沖縄のヒトはすごい、と思っていましたが、「オキナワグラフ 2」によると、実は本土のプロデューサー村岡克彦が3年間交渉を続けた結果の映画初登場だったそうです。とにかく笑えるし、いろいろ人生哲学も学べるのでファミリーで是非見てほしい作品です。(☆)

 タバコは、なし。無煙です。

「花束みたいな恋をした」 土井裕泰監督 △

2021-02-01 | 2021映画評


「花束みたいな恋をした」 土井裕泰監督 △

 テレビドラマヒットメーカーの坂元裕二のオリジナル脚本で、菅田将暉と有村架純を主演に出会いと別れを描きました。

 終電を逃したことがきっかけで大学生の麦(菅田将暉)は絹(有村架純)と出会います。好きな本や映画それにちょっとした習慣などが似ていてお互いを意識するようになりしばらく付き合った後同棲を始めます。就活をする頃になり絹は内定が出ず、疲れ果てます。麦はといえばイラストを描くことを仕事にしようとしますがそれほど甘くありません。上京した父親から働かないなら仕送りはやめると言われ、麦も真剣に就活をしなんとか就職します。残業や休日出勤は当たり前で麦もそんな生活を次第に受け入れるようになります。そして、二人の気持ちと行動にはズレが生じて来るのでした。

 出会いがあれば別れもある、恋と結婚はちがう、という普遍的な命題ですが、菅田と有村の独白で物語を展開していく手法やセリフに織り込まれる好きなアーティスト、作家、コミックのチョイスがよく、観客の共感を呼びそうです。(筆者と同じなのは「ゴールデンカムイ」と「今村夏子」くらいですが、でも自分の好きな作品が紹介されるとちょっと嬉しい)
 ところで、今の若者がこんなに本を持っているのか信じられませんが、本当ならこれも嬉しいです。
 オダギリジョーと韓英恵が存在感のある演技でした。

 タバコは、「カラオケ店に見えないようにしているカラオケ店」でのパーティー場面でIT関連の仕事をしているらしい参加者が何人も喫煙していました。(△)カラオケ店って禁煙じゃないんですね。コロナの時代にはなじまないのでは。