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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

セッション

2015-05-15 | 2015以前の映画評


「セッション」 デイミアン チャゼル監督 米 ◯

 アメリカ一のジャズ学校に入学し、鬼教授のクラスに抜擢されたものの人間的に傷つき続けられなくなってしまう青年ニーマンの物語です。
 ニーマン(マイルズ テラー)は子供の頃から好きだったドラムの勉強をするために専門学校に入学します。有名なフレッチャー教授(J・K シモンズ)に自分のバンドに入るように声をかけられます。有頂天になりますが、教授のレッスンは厳しいなどというものではなく人格そのものを否定されかねない扱いを受けるのでした。かつての生徒の一人はそれが原因で自殺してしまい、ニーマンの父親が心配し、学校を変えさせるのでした。ドラムをやめたニーマンは、学校をクビになりライブハウスで演奏しているフレッチャーと再会し、またドラムをやらないかと誘われます。しかし、そこにはニーマンが学校に自分のことをチクったと疑っているフレッチャーの大きな罠が仕掛けられていたのです。はたしてニーマンは自分を取り戻すことができるのでしょうか。
 「ほめることで子どもは育つ」と信じている教育者にとっては信じられない教授法にびっくりさせられます。ニーマンには効果があったかもしれませんが、死んでしまった生徒は戻らないので問題ですよね。
 タバコは、なし。無煙です。


小さき声のカノン ―選択する人々

2015-05-14 | 2015以前の映画評


「小さき声のカノン ―選択する人々」 鎌仲ひとみ監督 ◯

 福一(福島第一原発)の事故以前から「ヒバクシャ」「六ケ所村ラプソディ」「ミツバチの羽音と地球の回転」などで原発や核をめぐるドキュメンタリーを発表していた監督が福島の事故後の母親たちとベラルーシでの取り組みをドキュメントしました。
 福一の事故後、福島や周辺の放射能で汚染された東京を含む各地に住む母親たちは子供をいかに被曝から守ったらいいのか悩んでいます。避難したくてもできない事情もあり、避難したことで苦しむこともあり、まさに「選択」を迫られているのです。旧ソ連時代のチェルノブイリ原発事故後日本の医療班が現在のベラルーシで行ってきた健康調査とその後の取り組みを紹介し、まさに「カノン」(同じ旋律を繰り返す音楽技法)のように福島で実行しなければならないと考えさせられます。ベラルーシの担当者が「日本人が検査方法を考えだしたのに・・・(日本で同じようにやればいいのでは)」と言ったひとことが、それができない現実を浮き彫りにしました。他所の国なら出来るのですが自分の国では本当のことは言えないのです。はっきり言って「棄民」なのですから。
 原発再稼働を支持する人々にはぜひ見ていただきたい作品です。
 タバコはなし。無煙です。タバコを吸って放射性物質(ポロニウム210)を撒き散らかしながら「原発反対」を叫ぶ人は登場しませんでした。


パパ、遺伝子組み換えってなあに?

2015-05-14 | 2015以前の映画評


「パパ、遺伝子組み換えってなあに?」 ジェレミー セイファート監督 ◯ 米ハイチノルウェー

 ハイチでの大地震後にモンサント社が寄付した種を貧しい農民たちが燃やした事件がきっかけとなって監督自身が遺伝子組換え食品について様々な人々にインタビューをしてまわり、疑問に対しての答えを探すドキュメンタリーです。
 3人の子供の父親となり、家族が特に子どもたちが食べる食品に対し興味をもった監督は、遺伝子組み換え食品がどのくらい拡散しているのかを調査するうちに、アメリカでは表示がなされていないことに対し、EUでは表示義務があることや、主要作物の9割以上が遺伝子組み換えであることに驚きます。一方長男のフィンは種が大好きでコレクションをしています。農薬によって消毒された青やピンクの毒々しい色のモンサント社の高額の種は生物とはいえずまるでターミネーターのようです。
 遺伝子組み換え作物に反対するのは個人レベルでも簡単にできることを紹介し映画は終盤となります。わたしたちひとりひとりが毎日口にする食べ物は気をつけて選ぶことが必要なことだと思わされました。アニメーション映像を取り入れて誰にでもわかりやすく演出されています。パンフレットも大変参考になりました。
 タバコはなし。無煙です。大企業が議会や国民に対して行っているロビー活動や広告の手法はタバコ会社と全く同じなのでその辺りも大変勉強になりました。
 

繕い裁つ人

2015-05-12 | 2015以前の映画評


「繕い裁つ人」 三島有紀子監督 ◯ ☆☆ 無煙映画大賞候補作

 「しあわせのパン」で2012年度無煙映画大賞作品賞を受賞した監督の新作です。
 前作が「食」を職業にする人を描き、今作では「衣」を仕事にする女性を主人公にしました。坂の上にある「南洋裁店」では祖母の店を引き継いだ二代目の市江(中谷美紀)が仕立直しを中心に、祖母の残した型紙を使い昔ながらのスタイルで仕立てています。その人気に目をつけたデパートに務める藤井(三浦貴大)はブランド化の話を持ち込みます。藤井は市江の仕事ぶりを観察していくうちにそのブレない生き方に惹かれますが、一方で市江にも二代目の悩みや密かな願いもあるのでした。
 使い捨てでない、いいものを受け継いでいく姿勢や柱時計のようにゆったりとしたリズムが心地よく心に響いてきます。そして、神戸の落ち着いた町並みと、丁寧に仕立てられた一点ものの服の数々、大人だけが楽しむ夜会などどの場面も美しく目の保養になりました。(☆☆)中谷の凛とした佇まいも良かったのですが、三浦貴大が存在感を出していました。ある表情が山口百恵さんそっくりでこちらも二代目でしたね。
 タバコはなし。無煙です。美しい映画に汚いタバコは似合いませんね。

龍三と七人の子分たち

2015-05-12 | 2015以前の映画評


「龍三と七人の子分たち」 北野武監督 ☓☓☓☓☓ PP缶ピース他多数

 元ヤクザの龍三(藤竜也)がオレオレ詐欺に引っかかりそうになったことがきっかけで、昔の仲間が集合し、暴走族上がりの若造たちと因縁の闘いを繰り広げるのですが・・・。
 平均年齢72歳というベテラン俳優たちがちょっとコミカルな役どころを楽しげに演じています。それに対し、若造一派にもう少し凄みが欲しかったけれど暴走族上がりはあの程度ですかね。
 たけし流の笑いが満載というほどでもなく、差別用語は平気で使っているし、健康上問題がありそうな藤や近藤正臣に何度もタバコを吸わせて宣伝させているし、スカッとした気分にはなれません。年金受給世代の俳優に仕事ができただけでも社会貢献しているのかな。
 タバコは前述のように藤と近藤がほとんどの場面で喫煙、パチンコ店の場面では相変わらず他の客も喫煙していました。蕎麦屋でも平気で喫煙し、口にくわえたタバコを五寸釘でふっ飛ばしたり、ステッキに仕込んだ刀でタバコの吸い殻を拾って吸ったり(桶浦勉)とやたらにタバコネタが多く散りばめられていました。こういう作品に文化庁が補助金を出すのはどうかと思います。


脳内ポイズンベリー

2015-05-12 | 2015以前の映画評


「脳内ポイズンベリー」 佐藤祐市監督 △

 7歳年下のフリーターに恋をした櫻井いちこ(真木よう子)の脳内の賑やかな会議風景を描いています。
 いちこは年下の早乙女(古川雄輝)に恋をしますが、過去に深いキズを持ついちこの脳内では、理性(西島秀俊)ポジティブ(神木隆之介)ネガティブ(吉田羊)衝動(桜田ひより)記憶(浅野和之)が、あ~だこ~だと話し合いを繰り広げます。いちこの仕事上の頼れる担当者越智(成河)からも好感触な反応があり、二人の間を揺れ動くのでした。
 脳内を5人の別々の俳優が演じるという発想が大変面白く、脳内と真木よう子の表情のつなぎがとてもうまく表現できていました。大笑いできる作品ですが、いちこのキズを知ってしまうと笑うというよりは泣ける場面もあり、物に対して暴力をふるう早乙女とはきっぱり決着をつけるという女性の生き方を探るラストも好感が持てました。越智と早乙女が以前関わった女性とのエピソードはいらなかったのではないでしょうか。
 タバコは、友人宅で友人の夫がタバコを吸う意味のない喫煙場面が一瞬ありました。(△)実際には子役の前では吸っていないと思いますが、小さい子供がいる両親のタバコは虐待になりますね。また、タバコの自販機前での場面が何回かありました。駅のホームなどには禁煙マークもありました。
 タバコだけでなく、さまざまな商品をプロダクト・プレイスメントしていて制作資金はたっぷり集まったのではないかと思います。でもちょっと宣伝し過ぎでした。