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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

悪の教典

2012-11-14 | 2015以前の映画評


「悪の教典」 三池崇史監督 ××

 高校の英語教師蓮実聖司(伊藤英明)は生徒からの人気も高く他の教師からも信頼されていましたが、実は生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)でクラス全員の殺害を企てていたのです。計画のじゃまになる者は遠慮なく残忍な殺人で消し去っていったのでした。
 主役の伊藤は、「海猿」では人命救助のために鍛えていましたが、今度は殺人のために肉体を鍛えるという悪役に挑戦しました。優しい表情から冷酷な殺人鬼の目になる瞬間などはイケメンなだけによけい恐ろしいです。高校生役の若い面々もよかったのですが、もう少し髪型などで個性を出してもらわないと「あれっ、この子誰だっけ?」と混乱します。次回(続くらしい)はそのへんよろしく。殺人鬼物の傑作「羊たちの沈黙」を彷彿とさせる作品です。
 タバコは学校に「娘がいじめを受けている。」とたびたびクレームをつけてくる父親が学校の応接室で常に喫煙します。(××)携帯灰皿持参。そして結局、彼は自分の捨てたタバコの火が原因で火事を起こし焼死します。(実は蓮実が仕組んだのですが。) 警察が学校に事情を聴きに来ると「いつもタバコを吸っていました。」と校長が証言し、「タバコは火災の原因」という印象を与えています。高校生たちは喫煙せず、三池監督にしてはタバコは少なかったですね。でも、こんなことも言っています。「今は自由な社会だというけど、これもうそですよね。煙草が吸えなくなってしまった。」(キネマ旬報11月下旬号) そうなのです。受動喫煙の害を与える自由はないのですよ、三池さん。


カミハテ商店

2012-11-14 | 2015以前の映画評


「カミハテ商店」 山本起也監督 ××

 山陰の小さな港町「上終 かみはて」。自殺の名所となっている断崖絶壁の近くに「カミハテ商店」はあります。60歳の千代(高橋惠子)はひっそりと店を営んでいます。自殺をする人は千代が焼くコッペパンと牛乳を飲んで断崖へ向かうのです。千代は残された靴を黙って持ち帰るのでした。一方、千代の弟良雄(寺島進)は都会で自転車操業の会社を経営し、借金をしながらもなんとか生活しているのでした。ふたりの周囲には見下されたり哀れに思われたりしながらも生きている人々がいます。大きな事件は起きませんが小さなことで人と人はつながっていくこともできるのです。
 暗いトーンの作品で高橋惠子の美貌が生かされずもったいないと思いましたが、ラストでやっと彼女でなければ表現できない表情を見せます。23年ぶりの主役の意味がわかります。
 タバコはセリフの数は少ないけれど重要な一言を言うバスの運転手(あがた森魚)が折り返しの休憩の度に喫煙(×)、寺島進がいつものように喫煙(×)しました。ふたりともそろそろドクターストップがかかりそうですが・・・。

のぼうの城

2012-11-03 | 2015以前の映画評


「のぼうの城」 犬童一心、樋口真嗣監督 ○ ☆

 1590年、天下統一を狙う豊臣秀吉は残る関東の北条の城を一斉に攻めようとしていました。忍城(おしじょう)もその一つでしたが、そこは農民から「のぼう様」と慕われている成田長親(野村萬斎)が治めていました。2万の大軍を率いて相手をなめきった態度の石田三成(上地雄輔)軍に対し、たった500人の長親勢は「戦いまする」と受けて立つのでした。石田軍は今も残る「石田堤」を築き水攻めにしますが、「のぼう様」を慕っていた農民たちが城を守るのでした。
 真のリーダーの条件とはなんなのかを考えさせられます。時代考証や戦術などもよく研究されています。セリフ回しが今っぽいという批判もあるようですがテンポが良くて効果的です。娯楽時代劇の新しいジャンルを築きました。
 また、野村萬斎演じる「のぼう様」のひょうきんな動作はさすがです。そして、敵方に乗り込み、船の上で演じる舞は彼ならではの見せ所です。
 タバコはなし。無煙です


北のカナリアたち

2012-11-03 | 2015以前の映画評


「北のカナリアたち」 阪本順治監督 ×× ☆

 北海道の離島にある生徒数6人の小さな分校に赴任した川島はる(吉永小百合)は一人の生徒の歌の才能を発見します。はるは生徒全員に合唱を教え、その歌声は島の人々まで明るくしていくのでした。しかし、ある事故がきっかけにはるは島を追われるように出て行ってしまいます。20年後、生徒の一人が殺人事件の重要参考人となります。そのことに衝撃を受けたはるは当時分校にいた一人一人を訪ねるのでした。あの事故はいったいなんだったのか、一人一人がそれぞれ抱えていた秘密が明らかになっていきます。あの歌声はかえってくるのでしょうか。
 「カリンカ」や「クリスマスイブ」などの旋律が泣かせます。最近の吉永の主演作の中でもこの作品は彼女の魅力が最もよく出ていたのではないでしょうか。期待の水泳場面もあったし、20年経ってもあんまり変わってないという批判もあるようですが、そこは「吉永小百合」ですから大目に見てもいいのではないでしょうか。
 また、成長した6人のうち、森山未来が秀逸の演技で泣かせます。
 タバコははるのうわさを広げる女が喫煙(×)、刑事の石橋蓮司が1回喫煙(×)しました。


黄金を抱いて翔べ

2012-11-03 | 2015以前の映画評


「黄金を抱いて翔べ」 井筒和幸監督 × PPセブンスター

 トラック運転手の北川(浅野忠信)は友人の幸田(妻夫木聡)を誘って銀行の地下3階に眠る金塊強奪計画を立てます。そして、この計画を成功されるためにギャンブル依存症の弟春樹(溝端淳平)、国家スパイで爆弾工作員のモモ(チャンミン)やエレベーター技師のジイちゃん(西田敏行)などを仲間にします。しかしそれぞれが問題を抱えていて、その上やくざやスパイ、過激派までも絡んできます。北川と幸田はそれらに翻弄されつつも計画実行に向かっていくのでした。
 コンピューターで完全に制御されている鉄壁の防護を破るにしてはちょっとずさんな計画なんじゃないかと思いますが、犯罪なんてこんなものなのかもしれません。強奪計画よりもそれぞれの人間ドラマの方が面白かったです。
 タバコは喫煙したのは浅野忠信が1回だけですが、くわえたりもてあそんだりする場面は何回かありました。以前の作品と比較するとタバコ煙の暴露は少なくなりました。


伏 鉄砲娘の捕物帳

2012-11-01 | 2015以前の映画評


「伏 鉄砲娘の捕物帳」 宮地昌幸監督 アニメ □

 桜庭一樹原作「伏 贋作・里見八犬伝」をアニメ映画にしました。伏姫と犬の化身八房の間にできた子どもたちの血脈は連綿と引き継がれていました。そして今、江戸を恐怖に陥れているのは8匹の伏でした。伏達は人間の生球(いきだま)を狙っていたのです。そこへ山で猟師をしていた少女浜路は兄に呼ばれ伏退治に江戸にやってきましたが、見るもの聞くもの初めてづくしで驚くことばかりでした。そして、犬の面をつけた青年信乃と出会います。一方、兄は賞金目当てに伏を探し回りますがはたしてうまく退治できるのでしょうか。
 少女浜路がたくましく魅力的です。「この世に無駄な生物はいない」というメッセージは現代性があります。大島ミチルの音楽も躍動感があり、浜路のイメージにぴったりで物語にぐいぐい引き込みます。
 タバコは船頭とか甘味処の店主などがキセルを持っていました。(□)