
「悪の教典」 三池崇史監督 ××
高校の英語教師蓮実聖司(伊藤英明)は生徒からの人気も高く他の教師からも信頼されていましたが、実は生まれながらのサイコパス(反社会性人格障害)でクラス全員の殺害を企てていたのです。計画のじゃまになる者は遠慮なく残忍な殺人で消し去っていったのでした。
主役の伊藤は、「海猿」では人命救助のために鍛えていましたが、今度は殺人のために肉体を鍛えるという悪役に挑戦しました。優しい表情から冷酷な殺人鬼の目になる瞬間などはイケメンなだけによけい恐ろしいです。高校生役の若い面々もよかったのですが、もう少し髪型などで個性を出してもらわないと「あれっ、この子誰だっけ?」と混乱します。次回(続くらしい)はそのへんよろしく。殺人鬼物の傑作「羊たちの沈黙」を彷彿とさせる作品です。
タバコは学校に「娘がいじめを受けている。」とたびたびクレームをつけてくる父親が学校の応接室で常に喫煙します。(××)携帯灰皿持参。そして結局、彼は自分の捨てたタバコの火が原因で火事を起こし焼死します。(実は蓮実が仕組んだのですが。) 警察が学校に事情を聴きに来ると「いつもタバコを吸っていました。」と校長が証言し、「タバコは火災の原因」という印象を与えています。高校生たちは喫煙せず、三池監督にしてはタバコは少なかったですね。でも、こんなことも言っています。「今は自由な社会だというけど、これもうそですよね。煙草が吸えなくなってしまった。」(キネマ旬報11月下旬号) そうなのです。受動喫煙の害を与える自由はないのですよ、三池さん。