
「アイネクライネナハトムジーク」 今泉力哉監督 ☓☓
伊坂幸太郎のベストセラー小説を映画化しました。
ある理由から仙台駅頭で街頭アンケートをさせられている佐藤(三浦春馬)は誰にも相手にされずうんざりしていました。大画面ではヘビー級ボクシングのタイトルマッチ戦が白熱する試合を放映していました。ダメ元で声をかけた若い女性が快くアンケートに答えてくれました。それがきっかけでその女性紗季(多部未華子)と付き合うようになります。一方、学生時代からの友人夫婦由美(森絵梨佳)と一真(矢本悠馬)はすでに二人の子どもを育て佐藤の出会いをあれこれ助言するのでした。時は流れ10年後、由美夫婦の娘美緒(恒松祐里)は男子の憧れで正義感の強い高校生になり、佐藤は交際10年を機に紗季にプロポーズするのですが・・・。
原作ファンのひとりとしてはイメージを壊すこと無くそつなくまとめたとは思います。スポーツ選手の勝敗を自分の人生に置き換えるという「他力本願」には好みではありませんが、誰かが頑張っている姿はパワーを与えるのでしょう。三浦の10年の年齢差の表現が大変自然でした。
タバコは、学生時代バイト先の居酒屋の外で一真と佐藤が喫煙しました。(☓)原作では喫煙していません。また、10年後のエピソードの中で家族でファミレスに入店する場面で「おタバコは?」と聞かれ母親役の濱田マリが「吸います。」と答え喫煙席に行きましたが、未成年の息子を伴っている客を喫煙席に通すレストランはありません。虐待です。同じように息子の高校生が先に席を取りに入店した場面で未成年者を喫煙席に案内することもありえません。(☓)
映画関係者のような文化の先端を担っている人々のレストランとタバコの関係の意識が昭和レベルで2020のオリンピックで「おもてなし」なんてできるのか、不安です。藤間さんのセリフにあったように「小さな悪いことを積み重ねるといつか大きく膨らんで爆発する。」(原作では101ページ)
映画とタバコのルールもきちんと守る習慣をつけておかないといつか風船が膨らんで「バン」となるかも・・・。
映画を見たあとで原作を読み返しましたが、やっぱり原作はずっと深かった。健闘はしたけれど、原作の足元にも及びませんでした。期待していただけにちょっと残念。