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無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

君の名は。

2016-09-09 | 2016日本語映画評


「君の名は。」 新海誠監督 ☓☓

 新海監督によるオリジナルアニメ映画。
 田舎町に暮らす高校生の三葉(みつは:上白石萌音)と東京の高校生瀧(たき:神木隆之介)は時々心が入れ替わります。夢を見ているような記憶しか残っていません。それぞれの友人やバイト仲間は奇妙に思いながらも大きな問題にはなりませんでした。ある時瀧はバイトの先輩奥寺(長澤まさみ)とデートをしたときにある絵画と出会います。それはある田舎の風景を描いたものでしたが、それがきっかけとなり瀧は飛騨高山を訪れます。
 飛騨地方が舞台と思われ、まろやかな方言と、神社の巫女という立場の三葉らが行う「口噛み酒」や美しい組紐のいわれなど、伝統的な文化を織り交ぜ、タイムトラブルの世界とうまくバランスが撮れています。新海監督らしい風景描写の巧みさもお見事です。
 タバコは、奥寺が喫煙し、ご丁寧に若い女性をターゲットにしているタバコをきちんと描いています。「(タバコを吸うことを)やめていたんだけどね。」という言い訳までつけて禁煙者を再喫煙に誘導しています。(☓)また、滝らがお世話になる高山ラーメンの店主も喫煙者で軽トラの車内で未成年者を同乗させているにもかかわらずためらいもなく喫煙していました。(☓)高山ラーメンは食べる気がしないですね。
 また、直接的な問題ではありませんが、「田舎のカフェ」ドリンクの自販機に「BOSS」のパイプをくわえたおじさんがしっかり描かれていました。
 この作品はスタッフにもアジア人の名前も多く国際的にマーケットもひろげることを予測していると思いますが、アジア各地のタバコ規制をきちんと把握していないと「日本の常識」は「アジアの非常識」になりかねません。恥さらしにならないよう気をつけたいものです。


後妻業の女

2016-09-09 | 2016日本語映画評


「後妻業の女」 鶴橋康夫監督 ☓☓☓☓☓

 「後妻」として金持ちの高齢者の財産を奪い取る小夜子(大竹しのぶ)とそれを裏で操る男柏木(豊川悦司)の悪行の数々を一応コメディタッチで描いています。原作は黒川博行の小説です。
 シニアの結婚相談所の所長柏木は資産と持病がある男を小夜子に紹介して遺産相続の権利を得させ、その後はうまく始末してしまいます。今回もうまくいくはずでしたが、娘二人が探偵(永瀬正敏)を使って小夜子の過去を洗い出し逆にふたりは脅されるはめになってしまいます。天罰は下るのでしょうか。
 大竹しのぶが「趣味は読書と夜空を見ること」とロマンチストなふりをしたり、ふてぶてしく居直ったり、表情を自在に操って演じています。それだけ見ていれば「さすが名女優」という評価もあるでしょうが、内容がえげつなさ過ぎて、いくら関西が舞台とはいえ「金目当ての連続殺人事件」をはしゃいで撮りすぎた作品になってしまい、後味が良くないです。大竹の名演技を「感動させる作品」で楽しませてほしいものです。
 タバコは、主役の二人が度々喫煙し(☓☓☓)、永瀬(☓)、娘役の尾野真千子(☓)なども喫煙していました。その点もえげつない作品でした。水上バスでは禁煙マークが1度映りましたが。 


ゴーストバスターズ

2016-09-08 | 2016日本語映画評


「ゴーストバスターズ」 ポール フェイグ監督 ◯

 1980年代に一世を風靡した作品を女性をメインにして復活させたアクション・コメディです。
 大学講師のエリン(クリスティン ウィグ)は昔仲間と出版した「幽霊本」が仇となり、大学を首になってしまいます。仕方なく昔の親友アビー(メリッサ マッカーシー)の研究所を訪れます。アビーの仲間ジリアン(ケイト マッキノン)と地下鉄で幽霊を見たパティ(レスリー ジョーンズ)が加わり4人で幽霊退治をすることになるのでした。一方、あるホテルの作業員の男は昔の「幽霊本」を元にして幽霊を収集していました。科学の力でエネルギーを大きくし、ニューヨークを破壊する計画を進めていたのでした。パワーアップした巨大な幽霊たちを退治することはできるのでしょうか。
 お馴染みの曲が流れると気分はウキウキしてきます。演技はうまいけど主役ではなかった女優たちがのびのびと演じています。緑のスライムまみれになるのはお気の毒でした。騎士役がお似合いのクリス ヘムズワースがお茶目キャラで怪演しました。エンドロールのクリスダンスは見逃さないように。
 タバコは、なし。無煙です。


シン・ゴジラ

2016-08-26 | 2016日本語映画評


「シン・ゴジラ」 庵野秀明監督  ◯

 かつてのゴジラシリーズからは独立した作品でその意味では「新ゴジラ」です。
 東京湾から新生物(後にゴジラと命名)が上陸し暴れます。内閣総理大臣を筆頭に対策を練りますが、人間の思惑をあざ笑うかのようにゴジラは時とともに進化していきます。科学者たちはゴジラが放射性廃棄物を餌にして成長し、放射能を拡散していることを掴みます。防衛大臣(余貴美子)の進言のもと自衛隊の最新兵器が投入されます。しかし、どのような攻撃にもびくともせず都内の破壊が進みいよいよ霞が関も危なくなるのでした。
 完全CGのゴジラの登場でその意味でも「新ゴジラ」です。モデルは野村萬斎ということでさすがに動きが神がかっていました。そういう意味では「神ゴジラ」です。ゴジラ自体は期待を裏切らなかったのですが、対応する人間たちは登場人物が多すぎて把握しきれず、科学的な話にはあのテンポでは一般人はついていけず、後半のオリガミ論はさっぱりわかりませんでした。ただ、放射能を原因にしたことはどう考えても福島原発が結びつき、特にラストのゴジラ像は人の屍のようで、その点だけは評価できます。その意味では「SIN(罪)ゴジラ」と解釈できます。期待程ではなかったのですが、ハリウッド版よりは良く出来ていました。
 タバコは、なし。無煙です。ピエール瀧が自衛隊員で登場している場面では「いつタバコを出すか」そればかり気になりましたが、今作ではタバコを吸いませんでした。(◯)


秘密 THE TOP SECRET

2016-08-26 | 2016日本語映画評


「秘密 THE TOP SECRET」 PG12 大友啓史監督 ☓☓
 
 清水玲子原作のミステリーコミックを「るろうに剣心」の大友監督が実写映画化しました。
 死者の脳に記憶された映像を再現することし犯罪捜査に役立てようと準備された科学捜査室通称「第九」は薪(生田斗真)を室長に正式に設置されることを目指し、難事件の捜査にあたっていました。新任の清水(岡田将生)は薪とともに露口家殺人事件の犯人として死刑が執行された露口(椎名桔平)の記憶をスキャンします。そこには意外な事実が隠されていました。死刑執行後行方不明となっていた露口家の唯一の生き残り娘の絹子(織田梨沙)が記憶を失って保護されます。一方、薪は連続殺人事件の犯人で自殺した貝沼(吉川晃司)の記憶を見たことで仲間の鈴木(松坂桃李)を自殺に追い込んでしまったというトラウマを抱えていました。絹子が現れてから奇妙な自殺事件が相次いでおき、現場の刑事眞鍋(大森南朋)は「第九」の情報などから絹子が犯人であると追求します。大量殺人の方法を考えると貝沼の影響が考えられ封印されていた貝沼の記憶を共有した鈴木の記憶を見ることで絹子と貝沼の接点を探るのでした。
 発想は面白いミステリーですが、制作の意図はどこにあるのかわかりませんでした。「ラストの人間社会はそれほど悪くもない、」ということを伝えたかったのでしょうか。それにしては大掛かりで奇抜な物語でした。登場人物の誰にも感情移入できず、ただ画面を追っていただけでした。見終わって何も残らない作品というのも珍しい。
 タバコは、刑事の大森南朋が喫煙していました。(☓)高級レストラン等でも平気で喫煙していました。(☓)


かんとりーどーろ

2016-08-18 | 2016日本語映画評


「かんとりーどーろ」(自主上映作品)大内靖監督 ☓

 茨城を舞台にご当地映画を撮っているカミスガフィルムクリエイトの5作目。
 都会で自転車便をしているハジメ(川崎優太)は、元仲間が帰った福島へ自転車で向かったところ茨城で迷子になります。拾ってくれた軽トラの助手席には可愛い子がいました。そこでハジメはその村へ「田舎暮らし応援隊」として住み着くことになります。父親が議員をしているタケルの協力もありあれこれイベントを企画しますが、はたしてうまくいくのでしょうか。
 この作品はそのものが「地域おこし」になっているらしく地元の人々がボランティアで出演しています。しかし、どんな趣味道楽もお金がかかるのは当たり前で「近所のおじさんが出ているから見に行こう」とわざわざ会場に足を運んでくださるお客様には普通は手土産がつきものです。ところがこの作品はなんと前売りで1200円も料金を支払わなければならないのです。演技とも言えないようなやり取りに2時間も付き合わされるとは・・・。百歩譲って内容に説得力があるのなら未熟な演技もご愛嬌にもなりますが、結局何を伝えたいのやら全然わかりませんでした。ただひとつ学ばせていただいたのは「プロの俳優はすばらしい。」ということです。
 タバコは、原作と製作総指揮の菊池一俊が俳優としても登場していて、なんと彼だけが喫煙するのです。それも狭い車内でも平気で喫煙していました。(☓)他の場面では居酒屋などでも無煙だったのに「なんでお前だけがタバコを吸うんだよ。」社会の変化をもっと勉強しなさい、と言いたい。
 

リップヴァンウィンクルの花嫁

2016-07-26 | 2016日本語映画評


「リップヴァンウィンクルの花嫁」 岩井俊二監督 ◯ ☆☆

 岩井監督自身が主演の黒木華をイメージして脚本を書いたオリジナルストーリーです。
 派遣で非常勤教師をしていた七海(黒木華)はSNSで知り合った男性と憧れていた結婚までこぎつけます。結婚式の招待客の数合わせのため何でも屋の安室(綾野剛)を頼ります。その後、夫の浮気が疑われ調査を安室に依頼しますが、奇妙な経緯で七海が悪者になってしまい、離婚されてしまいます。路頭に迷った七海は再び安室に頼ります。いくところもない七海に住み込みのメイドの仕事を紹介し、そこで以前安室の紹介のバイトで知り合った真白(Cocco)と再会します。女優の仕事もしている破天荒な真白と七海は仲良くメイドの仕事をするのですが・・・。
 生徒から「声が小さい」とバカにされたり、安室の勢いに流され続けている七海ですが、ラストにはしっかりと自分の意志が育ってゆく「ふわふわと生きていた若い女性がさまざまな困難に振り回されながらも成長していく物語」です。黒木、Cocco、綾野がそれぞれ好演していますが、なんといっても体を張って演技したリリイの怪演がお見事でした。(☆)
 「コミック」原作が多い邦画界ですが、やはり監督が自身で「撮りたい」と考えた脚本は予想できない展開の面白さがあり、これこそ映画でしょう、と映画の面白さを再確認できる作品です。(☆)
 タバコは、なし。無煙です。(◯)無煙映画賞候補です。
 

つむぐもの

2016-07-22 | 2016日本語映画評


「つむぐもの」 犬童一利監督 ◯

 福井県越前和紙の頑固な職人と、韓国人のヘルパーが出会ったことで起きるさまざまな問いかけを描きました。
 職人の剛生(石倉三郎)は妻亡き後ひとりで頑なに工房を守っていました。しかし、病で半身不随となり一人での生活は困難になります。一方、韓国(かつての百済)では大学卒業後仕事が続かず家でぶらぶらしているヨナ(キム コッピ)に別居している学者の父親が「日本で働いてみないか」と勧めます。深く考えずに来日したヨナを迎えたのは、心を開こうとしない剛生と堅苦しい介護福祉士でした。型破りなヨナでしたが、体は動かなくても必死になって和紙作りに取り組む剛生の姿や、「まあまあ、剛生さんは頑固だからお手柔らかに」とヨナを庇ってくれる和紙組合の仲間や見習いの職人などに励まされながら少しずつ打ち解けていくのですが・・・。
 韓国人差別、介護現場のさまざまな問題、伝統工芸の後継者育成の取り組みなどを絡ませ、「なぜ韓国人が嫌いなのか」「介護現場の虐待はなぜ起きるのか」「後継者を育てるには」と。この作品なりの回答が用意されています。ご当地映画でありながら観光案内にとどまらず社会性のある内容にしたことは評価できます。
 タバコは、なし。無煙です。(◯)


FAKE

2016-07-09 | 2016日本語映画評


「FAKE」 森達也監督 ☓!

「現代のベートーヴェン」とメディアに持ち上げられた後いきなり、真実を無視されて悪役に貶められてしまった作曲家の佐村河内守さんを追ったドキュメンタリーです。
 感音性難聴でありながら佐村河内さんはあふれるばかりの音楽を頭のなかで奏でています。相棒として新垣さんがそれを音符にして発表していたようです。すべてが嘘だったような報道をしている(今もし続けている)メディアを告発しています。最もみっともないのはテレビ出演を依頼に来た某テレビ局のスタッフです。彼らを見ていて「我が家にはテレビが無くて良かった」としみじみ思いました。本当の「偽物」はテレビや雑誌といったメディアなのではないでしょうか。アメリカの雑誌記者の鋭い質問を少しは見習ってほしいものです。 
 手話で淡々と通訳をしている妻の存在が大変大きい作品です。彼女のストレス対策はケーキでしょうか。どれもおいしそうでした。
 内容的には大変興味深く見応えがありましたが、手持ちカメラの撮影のためか画面がブレて途中映像に酔ってしまいそうでした。ドキュメンタリー映画では時々ブレても構わず映し出していますがもう少し、工夫をして欲しいです。
 タバコは、「全館禁煙」のマンションでも、ベランダ喫煙は大丈夫なのでしょうか。佐村河内さんと森監督がベランダで喫煙する場面がありました。後半になって森監督が映画完成の願掛けなのか「タバコやめる。」と宣言し、その後は喫煙していなかったようです。禁煙のおかげで願いが叶い、その上大ヒットしてよかったですね。禁煙はこれからも続けましょう。
 タバコ問題で気になったのは、佐村河内さんの聞こえのことですが、喫煙と聴力はかなり関係が深いように思います。禁煙すれば聴力も少なくともこれ以上悪くなるリスクは減るのではないでしょうか。

日本で一番悪い奴ら

2016-07-06 | 2016日本語映画評


「日本で一番悪い奴ら」 R15+ 白石和彌監督 ☓☓☓☓PPマルボロ自販機

 「日本警察史上最大の不祥事」と言われている北海道警察で起きた事件を題材に描きました。
 柔道の腕を見込まれて北海道警察の刑事になった諸星(綾野剛)は、まじめに職務をしているもののなかなかうだつが上がりません。そんな時、先輩刑事の村井(ピエール瀧)から検挙率を上げるためには裏組織にスパイを作れ、と言われます。言葉通り情報提供者を勧誘し、いつのまにかヤクザまがいの言動を取るようになっていました。そしてその行動はますますエスカレートし抜き差しならないことになっていくのでした。
 拳銃をカネで買って検挙率を上げたり税関とグルになったり、常識的な市民の目から見れば何をやっているのだか信じられません。真面目なだけの柔道青年からでヤクザ以上に堕ちていく諸星を綾野剛が 体当たりで演じています。娯楽映画ではありますが、ラストで、警察内部の人間は諸星以外は一人も罰せられていないと告発しています。
 タバコは、刑事になった時には喫煙習慣がなかった諸星が喫煙者の村井の影響もあり、むせたり咳をしたりしながら吸い始め結局はニコチン依存症に、その上薬物にも依存してしまいます。まさにタバコがドラッグ依存へのゲートドラッグになっています。警察内部でも多くの職員が喫煙していてモクモクの作品でした。女性の喫煙場面も多かったです。(☓☓☓☓☓)昭和の自販機なども登場していました。歌舞伎役者の中村獅童が諸星と「兄弟関係」のヤクザの役でしたが何度も喫煙していました。それでなくても病気に倒れる歌舞伎役者が多いなか、獅童まで倒れたらどうするのでしょう。歌舞伎界はもっとタバコの健康被害を勉強しタバコ対策をして役者をタバコの害から守ってほしいものです。