軽井沢ル・ボン・ヴィボン

フュメ・ド・ポワソンの話。

先日、と言っても2月の話ですが、
お魚の仕入れ先の新規開拓の打ち合わせをすべく、
南房総・千倉の水産業者さんを訪ねました。
以前に比べると、館山までは高速道路も繋がり、格段に行きやすくなった印象です。

そこで、
お魚や地域漁業の事などにとても関心の高い熱心な担当の方と
色々なお話をしました。

当日上がったお魚はすべて、そこで活〆(かつじめ)で、
その締め方にも、相当なこだわりがあります。

これはお魚に限らず、家畜もジビエも、野菜も果物も、生き物全てに当てはまる話ですが、
その締め方によって、食味は相当に変化し、日持ちも変わってきます。

この所、仕入れている新潟の村上漁港の漁師さん(こちらはなんと船上〆)の魚もそうなのですが、
締め方の上手な魚は本当に美味しく、長持ちします。
これは海のない軽井沢で仕事をする上で、大いなる強みを発揮します。

話を戻して、千倉で一番耳に残ったお話が
「食材を大切に使い切って欲しい」と言う話でした

命あるものを頂くわけですから、
その心得は大切です。

和食では魚のアラはアラ炊き、アラ汁などに。
魚の頭は兜焼きや兜煮でしょうか。

フレンチで魚のアラは「フュメ・ド・ポワソン」になります。

要は、お魚の出し汁です。
日本のカツオや昆布のように、乾いた風味を感じるダシとは違い、
野菜の青さを感じる、しっとりとした出し汁です。
ゼラチン質が出て、冷えるとプルプルに固まります。

このフュメドポワソンを使って作る「スープドポワソン」や「ブイヤベース」は最高です。
良き魚はダシまで違う事を大いに感じます。

私たちのお店では、お客様に贅沢を楽しんでいただきたいと思っていますから
魚のアラや頭をそのままお皿に載せるわけにはいきません。
だけど、無駄なく使い切って、
一匹の魚、一つの命を「凝縮して」一皿に仕上げる。
これが僕が考える贅沢の一つの形です。

今。この概念は形骸化し、失われつつあります。
とても残念なことです。 

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