ヒスバナアラカルト

香西善行の雑記ドコロ
諸々の感想には具体的内容も含んでいますので、お気をつけくださいね。

「ザ・ムーン」

2009-01-23 20:10:00 | 映画関連
SF好きとしては押さえとかなきゃいかんでしょう。過去の宇宙飛行士のインタビューと記録映像で構成されているこの映画は、正確にはサイエンスフィクションではないがね。とにかく「スターウォーズ」より「2001年宇宙の旅」をSFと定義づけている私の中では今作の中にあるであろうSF的想像力をとても期待してしまうのだ。

さて、まず不満をぶちまけます。
あのタイミングで「ムーンリバー」はない!歌っているH氏のことはこの際置いておこう。しかし歌が入ってきた瞬間、本当にあの瞬間心底がっかりした。むしろ憤慨した。「アース」の時も思ったがなぜ奇跡の瞬間に茶々をいれるんだ。

60年代当時、ソ連とアメリカが競い合い飛躍的に進歩した対宇宙技術。時は冷戦、言うまでもなく夢や未知への探求などといったキレイ事で宇宙を目指していたわけではない。でも現場の人間はね、別だったんじゃないかと思いたい。アポロ計画により月に行った宇宙飛行士、今はもうおじいちゃんのそのインタビューは沁みる。ちょっと眠くなっちゃたりする瞬間もあるけど時代の証人の肉声は貴重。
タイトルでもある月の映像、月からの映像は言わずもがなだが、面白かったのが実験段階のロケットの爆発映像。ロックなBGMに乗せて次々と爆発映像を見せられても……無残さも悲壮感もありゃしない。膨大な金が吹っ飛び、死人だって出ているだろうにさ。苦労とは別に、数多の犠牲の存在を思わせる印象的なものだった。
当時からもう40年経ってるのに、その間誰も月には立っていないんだよね。技術は比べ物にならないほど進歩しているのに。神秘と憧れを保っている由縁はここにもあるんだろうね。

あ、昔月の土地買ったんだけど、今どうなっているんだろう。

「グーグーだって猫である」

2008-10-11 17:20:59 | 映画関連
猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫飼いたい猫買いたいと思ってしまったよ。…やはりね。
ただこの映画、なにもにゃんこと楽しく戯れる話ではない。癒し系でのんびりしててキラキラなモノを求めて映画館に足を運ぶとカウンターを喰らうだろう。勿論、猫の可愛さは描かれていてその魅力は感じるのだけどね。
話の舞台である吉祥寺の風景も見慣れた場所が多く、余計に思い入れが高まったよ。ああ、でも吉祥寺ゆかりのあの漫画家を前面に出してたのは頂けなかったな……。好きな人なんだけど、隅にいてくれた方がきっとうれしかった。それでも絶対目立つだろうから。
 【吉祥寺で、猫を飼って、暮らす】夢のような言葉だな。

リンク:「グーグーだって猫である」→http://www.gou-gou.jp/index.html

「28日後…」「28週後…」

2008-10-04 23:52:47 | 映画関連
全力疾走するゾンビが斬新なSFホラー。
従来の動きの鈍いゾンビがじわりと不気味さを恐怖としているのに対してとにかくこちらのゾンビは走りまくって追いかけてくる。この迫ってくるのが恐怖なんだけれどもホラーというよりはパニックムービーだね。
「28日後…」はゾンビの猛走もさることながら、異常下での人間の怖さも強く描かれていたね。モラルの崩壊と窮地からの突破力という二つの意味で。ただ、いくらイギリスだからといってもレディーファースト過ぎるだろうと思ったりすることもあったけど。DVDの方は劇場公開時と対照的なエンディングにしているようで、公開時の方と見比べてみたけどDVDの方のが良かった。好みの話だけど。
「28週後…」は随分と王道のパニックモノに仕上がっているんじゃないか。予想できてしまうというか、期待を裏切らないというか。私は後者の受け方だけど。親子だったり仲間だったり、前作でもあった情の描かれ方が違う印象。ゾンビになるウィルスの免疫を持っている人物がいるのだけど、その存在意義がイマイチだったのが残念に感じた。それが後の続編へと繋がるのだろうけどね。
……意外に三部作にするらしい。「28月後…」か。

「崖の上のポニョ」

2008-10-03 23:50:11 | 映画関連
夏から観たいな~と言い続けて、やっと、というか今さらながらポニョ観てきたよ。
この映画かなり面白いね。正直期待以上だった。あまり予備知識は仕入れないでいたから、けっこうほんわかなイメージを持っていたんだけどとんでもない。大スペクタクル映画じゃないか。しかものっけから最後まで次から次へと前のめりにさせられる要素を繰り出してくる。ナイススピード感。
あれこれ考えず単純に物語を楽しめたのも久しぶりだと思う。舞台はどこかにありそうな港町だけど、奇妙な出来事を「変だよ!」と突っぱねない世界。このあたりが観ているこちらの心も素直なものにさせてくれたんだろうね。
主人公「そうすけ・ポニョ」の五歳の心をおっさんは体験した気分になったよ。

クローバーフィールド/HAKAISHA

2008-04-24 11:13:33 | 映画関連
予告編を観ると、自由の女神の首がぶっ飛んできたり、派手な爆発や人々が逃げ惑う姿から一種のパニックムービーの印象を受ける。
間違いなくパニックムービーではある。が、爽快感などはない。乗り物酔いのような症状を警告する紙がポスターに堂々と貼られてたことからも、不快な映像であることは間違いではない。問題はその不快の是非。
この映画の特出しているのは徹底的に体感にこだわっているところ。「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」よろしくハンディカムで撮った映像で全編構成されているが、カメラをまわしている当事者とそのお仲間だけの閉じた空間ではなく、日常を含めた生活圏を映しているので異国の風景も実感的に捉えてしまう。
ただ、他人事な時は寝てしまうほど退屈だけど。そんなに他人に干渉したがりな性格でないからね私。
そんな他人事の退屈を一気にわが身に引き寄せる“何か”の登場で、そこからはジェットコースター。息がつまり、息を殺し、鼓動の加速を感じながら発狂を押さえ込み怒涛のパニックを体感する。
所詮私は正義の味方の姿を見ることもなく散りゆく一般人にすぎない。

「明日への遺言」

2008-04-14 05:09:39 | 映画関連
原作は「ながい旅」大岡昇平著。
元東海軍司令官岡田資(おかだたすく)中将はB級戦犯として連合国の裁判を受ける。名古屋空襲の際、捕虜になったB29搭乗員を略式裁判にて処罰したことに関する裁判であった。論点は、充分な審理なく処刑された搭乗員がジュネーブ条約の定める捕虜であったのか、それとも無差別爆撃を行なった戦争犯罪人であったのかという事。岡田中将は米軍の無差別爆撃を批難し、そして処罰した責任は部下になく司令官の自分にあると主張した。その態度は連合国からの弁護人、検察官、裁判委員にも心打つほどのものであった。

第二次世界大戦後の東京裁判といえば市ヶ谷で行なわれたA級戦犯の裁判をすぐ思い浮かべるが、この映画の舞台は横浜地方裁判所。全くの未知なものであった。
岡田中将の確固たる信念。それは今のご時世ではもはや理想の中だけに追いやられているものに感じる。責任転嫁と保身に走り回る人、企業、国。礼儀を欠き利己的な風潮は今に始まったことでもないだろうが、最近特に気になる。
この映画を観ていてとても美しく思う所作があった。お辞儀である。相手への敬意、感謝、加えて慎みの気持ちが頭を下げる動きに凝縮されている。こんなことを気づかされる自分はいかに普段空っぽに生きているのか空恐ろしくもなったが、日本人らしさを一つ思い出した。
日本人らしさといえば、拘置所内の風呂場に所狭しと、でも楽しそうに大勢が入浴している場面があった。欧米人の見張りの中、裸の付き合い。服と一緒に地位や立場も脱ぎ捨て背中を流し合う。賑やかな中、不意に岡田中将が「故郷」を歌いだし、次第に全員の大合唱になってゆく。慕う気持ちだけが成せることで、それが責任に回帰していくんだろうなと。人が支え合いによって歩んでいけることに改めて感動する。こんな生き方忘れないようにしたい。
映画館を出るとそこは夜の銀座。明るさが少しうるさく感じたがすぐに慣れ帰路につく。

バベル

2008-03-05 02:54:42 | 映画関連
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督。カンヌで賞獲ったり、菊地凛子氏がアカデミー賞ノミネートされたりと話題になった作品。
やっと観た。
モロッコ、メキシコ、東京での物語が交錯しつつ、国柄やコミュニケーションの問題が浮彫りにされていてなんとも胸に迫るものだった。
言葉や気持ちの不通ってのはなにも人種間だけのものではなく、個と個の間に歴然と存在し、誰もが大きく小さくいつも躓いているんじゃなかろうか。結局のところ、その不通の溝を埋られるのは一つしかないと、この映画では言っている様だった。
時間軸のずらせ方も面白く、つい二度観てしまうほど。もちろん、内容の奥深さあってのものだけど。人生とつながりの奇妙さを感じたり。
不安定な弦の揺れと、力強いピアノの音色の重なりが切なく、風景に怖ろしいほどに合っていた。

earth アース<吹き替え>@池袋ヒューマックスシネマズ

2008-01-16 23:52:53 | 映画関連
地球。ですね。
壮大、雄大、驚異、畏敬、奇跡、……まあ、こんな言葉たちも景色の前では全く意味を成さないわけで、ただただ確かにある地球の一部を見た。
北極から南へと地球が切り取られ映されてゆく。人はもちろん人工物は何一つ見られない。地球ってこうだよな……そんなことを思った。残念ながらそんな地球らしさを目の当たりにする為には相当な労力を必要とする。
出てくる動物たちは皆必死に生きている。当たり前だ、必死じゃなけりゃ生きていけないんだから。正しく自然なのだ。
ナレーションは必要なのだろうか?特に最後は蛇足に感じた。映される景色は全て物語っていたと思うが。
地球に対する人間の存在を暗に表していたのかな。

「アイ・アム・レジェンド」@バルト9

2007-12-30 23:59:17 | 映画関連
2012年の世界。ニューヨークには一人の男しか住んでいなかった。昼は飼い犬と探索し、夜はひたすら家に閉じこもるこの男はすでに廃墟と化した街を出て行けない理由があった。

原作は「吸血鬼」(リチャード・マシスン著)。過去二度映画化されており、今上映されているのは三度目のリメイクとなる模様。

年末だし、とたまには派手な映画が観たくなり出かけた。CM見るたびに気になってたんだよね。なんで一人なの?最後どうなるの?って。まんまと。
観たあと期待していたカタルシスは得られなかったけど、間違いなく楽しんだ。乱暴な言い方すればハリウッド的の一言で終わるんだけど、そこがね、いんですよ。今はそれが欲しかったから話とか二の次でいいやってなっちゃう。体緊張しっぱなし、驚かされっぱなしなんだから、楽しいよ。
原作はまだ読んでないけど“吸血鬼”っていうのはずいぶん現代風に変えられてるね。そして猛烈に進化する現代文明に対しての警笛も感じる。100分くらいだったけど、あと20分増やしてでも消化不良を拭って欲しかったかも。

オリヲン座からの招待状@上野スタームービー

2007-11-19 17:45:29 | 映画関連
京都の町中にある映画館“オリヲン座”。職人気質な映写技師の夫と献身的に支える妻の二人で切り盛りしていたが、ある日一人の青年が映画を観たあと突然、働かせてくれと頭を下げてくる。

映画は映画館で観よう。
今続編も公開中の某映画の影響も手伝い昭和三十年ブームはまだ続いているのか、この「オリヲン座からの招待状」もそんな戦後から高度成長期に向かう狭間の時代の話がメイン所である。ただ、時代の郷愁を感じるとかではなく、焦点のオリヲン座という映画館の全盛から衰退の軌跡、そして想いが時に痛々しく表されていることにこの映画の面白味はあると感じた。加えるなら、これを見た劇場「上野スタームービー」がオリヲン座とそっくりなことも感情移入に拍車をかけた。東京の方、この映画を観るならここをお薦めします。
大きくない劇場に満員の観客が笑い声を立てるシーンを見ていると、今自分がやっている演劇の景色とダブったり。演劇に感じている魅力が、昔の映画にはあったのかなと思う。なんだろう。その状況に対するエネルギーというか、作品も観客もお互いに発している感じ。熱。だから余計にテレビの台頭は観ていてショックだった。笑顔の人の裏には涙の人がいるものだと。現代だって便利や簡単や進歩やもろもろ一概に浮かれてもいられないかもね。
タイトルにあるように招待状が送られてくるのだけど、その受取人のきらきらした過去に涙してしまう。子供の純粋さというかね。

邦画の人気が上がり、シネコンの増加も騒がれはしているが実情はどうなのだろう?舞台挨拶で満員になった劇場は果たして何日その動員を維持しているのだろうか。武道館で映画観て楽しめるのだろうか。まあ、それはどうでもいいか。映画を観終わって興奮気味にPRする観客にサクラが混じっているのは周知の事実だ。
私がこれを観ていた時、観客は二十人弱だった。貸しきり状態だ。劇中でオリヲン座から客足が遠のいて行くシーンとうりふたつで寒気がした。
芝居が板の上で上演される事ありきで作られているように、映画だって映画館で上映される為に出来ているんだよね。つまり足を運んだ方が楽しいはずなんだ。