Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

「Think!キャリアセミナー」のお知らせ

2010-02-12 10:26:46 | work
東洋経済の主催で、MyNewsJapan・渡邉代表とキャリアセミナーを行うことになったのでご報告。
2010年3月13日(土)13:00~、場所は東洋経済新報社になる。

以前、渡邉氏とMNJの会員向けに行ったものと近い内容になるはず。
氏の昨年末、東洋経済・30代キャリア特集の記事をイメージしてもらえればいいと思う。
この話はいっぺん生で聞いて損は無い。
特に20代には強くおススメしたい内容だ。

※エントリーはこちらから

日経WOMAN 3月号

2010-02-11 12:25:43 | work
日経 WOMAN ( ウーマン ) 2010年 03月号 [雑誌]

日経BP社

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特集「ハッピーキャリア2010」にコメント中。

ところで久しぶりに日経WOMAN読んだら、すっかりおひとり様モードになっていてびっくり。
「おうち時間で自分を磨く」というのも完全にそっち向けだし、
「働く女性1200人のリアル恋愛白書」では
「彼氏いない55.5%」で、そのうち彼氏いない歴3年以上が51%とか。

考えてみれば、あれだけ大騒ぎしている子供手当にしたって結婚してないと意味ないわけで、
少子化対策と言うか未婚対策も同時並行でなんとかしないといけないと思われる。
でもハードルがあるんなら制度で支援もできるだろうけど、「恋愛はめんどくさい」が5割くらい
いることからすると、そもそもそういうモチベーションが無い人たちが結構いるわけで、
これは制度云々ではどうしようもない気もする。
こうなるともはや移民しかないのか……。

無縁死の裏には全体主義のリスクがある

2010-02-10 15:30:53 | その他
先月末から、秋葉原通り魔事件の加藤の公判が始まっている。
事件後、会ったこともないのに勝手に「改革が悪い」と便乗していた政治家や活動屋もいたが、
出てくるのは「ブサイクに人権は無い」といった個人レベルの疎外感だけだ。
会社からも疎外されたじゃないかというロジックはおかしい。
雇用に“愛社精神”とか“家族意識”なんて気持ち悪いことを求めるのは一部の日本企業だけだ。

この手の疎外感は、誰でも一定程度は感じているはずだ。会社や学校はもちろん、地域に親しい
人間がいない、家族とも疎遠、というか家族がいないetc...
もちろん、普通の人なら暴発する水準まで鬱積することはない。大なり小なりある多くの感情の
一つとして消化していけるようになっている。

ただし、特定のイデオロギーがあれば話は別だ。それは日常に存在する疎外を、暴発する水準まで
引き上げてしまう。

本書も述べるように、ジハードの聖戦士たちの多くは、中流以上の家庭に育った若者で、911テロの
実行犯にはヨーロッパ育ちの若者が多く参加した。西欧社会の中で彼らの抱く文化的、宗教的な
疎外感に「これは聖戦であり、天国へのチケットである」という誤った教義が加えられたことで、
暴発水準が下がってしまったわけだ。
つい40年ほど前に「革命なのだから殺人も正当化される」といっていた連中が出現した日本人も、
あまり他人事ではない。

むしろ、地域や家庭というコミュニティの崩壊が進み、“無縁死”が話題になるくらいだから、
そういう他者からの“救い”が受け入れられる余地は大きいのではないか。

さすがに左翼はもうないだろうけど、全体主義はありえると思う。
亀井さんはもう年なので無理だけど、もうちょっと若くてカリスマのあるリーダーが登場すれば、
若者の疎外感を膨大なエネルギーに結集してしまうだろう。

考えてみれば、いまどき市場経済嫌いで(郵貯国有化という)統制経済好きの現政権も、
立ち位置的にはそんなに遠くではない。隷従への道は案外と近くにあるような気がする。


官僚は流動化できるか

2010-02-08 14:28:46 | その他
民主党の霞が関改革プランが徐々に明らかになっている。
要するに、従来は天下りによって放出していた中高年官僚を、降格人事によって定年まで面倒
みますよということだ。
組織内に一定の流動性を実現するので、方向性としては間違ってはいない。
ただ、現時点で感じている疑問もいくつかある。

1.人事制度自体の改革が見えてこない。
天下り禁止をにらんだ布石だろうが、どんな組織にも成果の目に見えやすいポストとそうでない
ポストがあるため、すべてのポストを流動化なんて非現実的だ。
そもそも「ポストで報いる」という発想に無理があるわけで、ポストにかかわらずボーナスや
年俸で報いるシステムにシフトする必要がある。要するに、序列と報酬の切り離しだ。
だが現政権がそこまで考えているようには見えない。

2.改革の目的は?
仕分け会議を見ていて感じたことだが、今回の改革にも、「官僚に対する支配権の確立」という
気負いが混じっているのかもしれない。
ずっと政治主導を掲げて政権とったわけだし、「頭は我々、官僚はただ手足となって動けばいい」
という考えもわからないではない。
でも、これをやるということは、霞が関のシンクタンク機能を全否定し、政党が担うことになる。
民主党にそんな能力があるのかというと、ちょっと微妙な気が…。

人事制度というのは、求めるものがイノベーションであれ滅私奉公であれ、そのためのモチベーション
を引き出すシステムだ。現在の天下りシステムは、滅私奉公させるという点で申し分ないが、
「それだけでは行政が上手く回らない」&「改革の足を引っ張る」という弊害が出てきたために
見直しが必要となったにすぎない。

逆に言うと、バーターでそういった中期ビジョンを示さないかぎり、骨抜きにされてポイされる
に決まっている。
民主には官僚OBが多いのだから、彼らにたたき台を作らせることで、より実のある改革プラン
になるのではないか。

(既得権に)しがみつかない生き方

2010-02-05 09:12:51 | その他
「日本企業にはカンパニー制度は合わなかったんでしょうか?」というような質問をたまにされる。
大手メーカーなどで2000年前後に流行ったもので、事業ごとの独立採算制のことだ。
導入して何が具体的にどうなったという話はあまり聞かないし、NECや味の素のように導入した
けれどやめる企業も多い。
同じような話は20年も前からあって、「選択と集中」だのリエンジニアリングだのGE方式だのと
定期的に流行りはするが、身になったという話はあまり聞かない。

こういった新システムが機能しない理由は、実はとっても簡単な話で、
要するに人を切れないから。

たとえば会社発展の基礎を築いた○○本部をつぶそうとすると、必ず「聖地を守れ」というアバター
みたいなのがいっぱい湧いてくる。ついでにいうとポストが無くなる本部長以下も大反対だから、
労使から反対されることになる。

じゃあしょうがない、というわけで、とりあえず事業部名を変えてみたり、似たような部門同士を
くっつけてみたり、管理部門がものすごく頑張って職種転換くらい。
ぜんぜん選択もしていないし、集中にもなっていない。
某企業では、5年で3回も事業部門間を行ったりきたりした事業部がある。
わけを聞くと「一円の利益も生まないお荷物部署を押し付けあっている」らしい。
要は存在意義を既に失っている事業部で、独立採算制になったのでどこも引き取り手がないのだ。
仕方なく役員の力関係で押し付けあってるので、役員人事で力関係が代わるごとに投げ合っている
ということらしい。
似たような話はどこでもあるし、別にトップがアホなわけでもない。
日本型雇用では、そういうギャグみたいなことをみんなで続けるしかないのだ。

個人の昇給という観点でも、必要なのはメリハリだ。
サムスンに転職して1000万以上貰えるのは、要するにメリハリをつけ、低パフォーマンスの人間を
切っているため。
もう全世代横並びで昇給するなんてことはありえない。そんな規模の成長は続けられない。
高い賃金を手にしたければ、労働市場の全面的な流動化によってメリハリをつける以外にないのだ。

競争の無い共産圏は、国際競争力を失い、資本主義国に淘汰された。
世代間での競争の無い日本企業も、このまま行けば競争力を失うだろう。

まあ「昇給や競争にしがみつかずに生きましょう」という価値観もあるのかもしれないが、
現実にはこういう人は既得権にしがみついている場合が多いので説得力がない。
本当にそんなご立派な価値観をお持ちなら、医療・年金といった社会保障も含めて流動化しないとね。


格差よりも、問題はパイの総量だ

2010-02-03 14:17:31 | その他
これから労働市場の流動化が進もうが進むまいが、一つだけ確実なことがある。
それは、今後は格差がいっそう拡大するということだ。
具体的にいえば、ポスト工業社会に対応してむしろ給料の上がる人間と、キャリアがデフレ化
してどんどん中国に近づいていく人間の二極化である。

こればっかりは鎖国でもしないかぎり、もうどうしようもない。
そういう意味では、流動化とは、労働市場の効率を高めて前者を増やしましょうということになる。
個人レベルでいうなら、自主的に努力してキャリアの付加価値を高めましょうということだ。

ここで一点、とても重要なことを確認しておきたい。
昔の貴族階級は打倒すれば庶民は豊かになれたかもしれないが、こういう状況で金持ちを締め上げても
貧乏人は豊かにはなれないということだ。

ここでいう格差というのは、つまるところ、担当業務の付加価値が高いか低いかということなので、
稼ぎ手を規制なんてした日には(税収が減るわけだから)むしろ貧乏人はもっと貧乏になるだろう。

処方箋としては誰がどう考えても以下しかありえない。

1.規制緩和で付加価値の高い仕事を増やす努力をする。
2.労働力もスムーズに移動できるように労働ビッグバンを実施する。

共産党なんて、この真逆をやろうとしているわけで、
僕に言わせれば貧乏人に追い込みかけているようにしか見えない。


まあ共産党みたいな泡まつ政党は別にどうでもいいのだけど、問題は政権与党も認識として
五十歩百歩なことだ。
こりゃホントに「あらたなる失われた15年」が始まるかもしれない。
まあそろそろタコさんの足も食いつくされるだろうから、イヤでも現実に向き合うことに
なりそうだけど。

『不況に勝つ!若手・新人力』セミナーのお知らせ

2010-02-02 13:47:48 | work
沖縄県キャリアセンターさんとの合同で若手向けのセミナーを行うことになったのでお知らせ。
ちなみに、沖縄に行くのはプライヴェートも含めて初めてだ。

そんなにややこしい話はせずに、一般的なキャリア論について話をする予定だ。
突っ込んだ話が聞きたいという人は、終わった後にでも声を掛けてほしい。

スノーボール ウォーレン・バフェット伝

2010-02-01 18:26:21 | 書評
スノーボール (上) ウォーレン・バフェット伝
アリス シュローダー
日本経済新聞出版社

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ウォーレン・バフェット唯一の公式伝記と銘打った本書。
現役の人物の伝記に対して上下巻計1300p以上という分量はちょっと冗長すぎる気もするが、
なかなか示唆に富む本に仕上がっている。

バフェットというのは“オマハの賢人”として知られる著名な投資家で、オバマ政権の閣僚
入りするのでは、という噂もあったくらいの大物だ。
投資家と聞くとこのご時世、金融資本主義の負の面を連想する人もいるかもしれないが、
バフェットは“そちら側”の人間ではない。金融工学で派手な勝負を繰り広げるウォール街
に常に批判的で、「自分の理解できないものは買わない」というルールからIT銘柄にも
手を出さない。もちろん、仕組みの複雑すぎる金融商品にもだ。
「バフェットも衰えたな」と笑うものは多かったが、今も変わらずマーケットに立ち続けて
いるのは彼のほうだ。

本書は、投資に関する指南書ではなく、あくまでも彼の伝記にあたる。ノウハウが知りたい
人には物足りないかもしれないが、その分、彼の人間性が垣間見られて面白い。
この人はかなりの変人で有名で、大金持ちなのに酒は飲まず、ハンバーガーやポテトといった
アメリカンなフードが好物で、というか基本それ以外は食べない。
ソニーの盛田昭夫氏に招かれたディナーでは、選り抜きの板前が作った日本料理に最後まで
箸をつけなかったが、もちろん悪気があってのことではない。ビル・ゲイツに
「当社で一番美人なスタッフを(PCのセッティングに)派遣しましょう」と言われて断った
時と同じく、好きじゃないからいらないというだけの話だ。
(結局、オンラインでブリッジがやりたくて使うようになったが)

そんな彼の行動原理は、いたってシンプルなものだ。
「人がどうふるまうかを大きく左右するのは、内なるスコアカードがあるか、それとも
外のスコアカードがあるかということなんだ。内なるスコアカードで納得がいけば、
それが拠り所になる」

これは僕自身もつとに感じていることで、「あーこの人は充実してるな」と感じられる人
というのは、自分の中に何らかの絶対的基準があり、諸事それに照らし合わせて生きている
ように見える。

面白いのは、アウトサイダーかどうかには関係無い点。ばりばり年俸制の企業で稼いでいても、
常に他者との相対的比較でしか自身を測れない人というのは、どこか余裕がない。
“相対的レース”に終わりはないからだ。

レールの完全に崩壊した社会で幸せな人生を送るカギというのは、資格や学歴ではなく、
自分だけの絶対的な基準を見つけることではないか。
「お金をいっぱい稼ぐ方法」的な啓発本なら他に手頃なのがたくさんあるわけで、この分厚い
伝記がベストセラーになっている現実をみると、意外にアメリカ人も自分の立ち位置に
悩んでいるのかもしれない。