Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

労働市場という宝の山

2010-06-11 11:22:07 | その他
よく、テレビなどで日本型雇用か年俸制かという話をすると、
「でも年俸制だといろいろと厳しくて大変でしょう」なんてことを言われる。
でも、先ごろ発表された調査調査によれば、実際に厳しいのは日本型雇用の方かもしれない。
組織への愛着、ワークライフバランス、職場の人間関係、報酬の妥当性
にいたるすべての項目において、日本はアメリカに劣っているのだ。


一言でいうと、日本人サラリーマンは仕事に愛着も満足感も抱いちゃいないということだ。
それでいて実労働時間だけは先進国一長いわけだから、もうほとんど人生=拷問みたいな
ものである。

まあ職務給ではなくて年功序列給なので「給料が割に合わない」と思う人が多いのは
当然なのだけど、それにしてもワークライフバランスや人間関係でも全敗、満足度も
ほぼ半分以下とは驚きだ。なんてひどい国なんだろう。
まだまだ先が長いという人はご愁傷様です。

普通、労働市場では、満足度って何かとトレードオフの関係であると思うのだけど、
何一つメリットがなくて不利益だけついてくるっていうのはある意味凄い。
いや、安定性という意味ではメリットらしきものもあるのだろうけど、それは大手だけの
話だし、大手にしてもいっぺん落ちてしまうと長期失業という形でロックされてしまう
わけで、日本型雇用のメリットっていったいなんだろうか。

今は亡きソ連は、労働者の国なのに生産性も賃金も低くて、しかも全然楽しそうに見えない
という不思議な国だったが、意外と日本も海外から見れば同じようなものかもしれない。
要するに、ソ連も日本も規制が強すぎて労働市場が機能していないというわけだ。

ただし、これは逆に言えば、新たな成長産業なんか見つけなくても、一定の流動性さえ
労働市場に導入できれば、ずいぶんと国民の閉塞感は低減できるということでもある。
「成長よりも成熟した社会を」という人も、これならまんざら悪い話でもないだろう。
言いかえれば、労働市場というのは政治家にとって宝の山みたいなものだろう。

へんな事業に税金つぎ込む前に、新政権には足元を見渡してみることをおススメしたい。