Joe's Labo

城繁幸公式。
というか避難所。移行か?
なんか使いづらいな・・・

色褪せる民主党

2010-06-21 09:47:26 | 経済一般
先週末出そろった各党マニフェストを読み比べてみると、色々と面白いことに気づいた。
全般的に民主党の政策に元気がなく、みんなの党など改革を売りにした新党と比べると
地盤沈下が著しい。
一方、死に体だとばかり思っていた自民党が、「法人税引き下げ、消費税引き上げ」を
明記するなど、意外な進歩を見せている。

たとえば公務員制度改革について、自民党は、天下り根絶+あっせんに刑事罰と明記する
など鼻息が荒い。みんなの党の公務員に対するシビアな姿勢についてはあらためて
言うまでもないだろう。

ところが、民主党マニフェストからは、とうとう「官僚の天下り完全廃止」という文字が
消え、「各種公法人の廃止を含めた改革に取り組む」というきわめて穏当な霞が関文学に
落ち着いている。

この温度差は全般的に見られるが、特に差が出てしまったのが雇用だ。


みんなの党、自民ともに労働市場の流動化に舵を切り、
自民党に至っては解雇規制緩和を明記する一方で、
民主党は新卒者の採用奨励金など、まったく中身の伴わない
バラマキに終始し、連合べったりの限界ぶりを露呈してしまっている。

もっとも、実行責任のともなう政権与党が保守化し、当面はやってみせる必要の無い野党が
言ったもん勝ちになるのは当然なので、これをもって単純に
「自民が政策において民主を逆転した」というのは時期尚早だろう。
彼らは党人事や選挙活動を通じて、自分たちの本気度を有権者に訴えていく必要がある。
もう10年以上も有権者を裏切り続けてきたわけだから。

それにしても「同一労働同一賃金って共産主義ですか?」と言っていた一年前に比べれば
ずいぶんと進歩したものだ。
以前も書いたように、雇用政策は民主党最大のネックであり、労働組合という余計な足枷を
もたない他党にとって、雇用は心おきなく使用可能な最大の武器である。

みんなの党はそれに気づいて(今のところ公務員限定ながら)積極的にこの武器を使い、
第三極と言われるまでに党勢を拡大した。
今さらながら、自民党もこの武器の破壊力に気づいたということだろう。

今回、自民党は消費税10%という数値を打ち出し、増税というタブーに踏み込んだ。
有権者の意識が財政危機という現実に追いつき、増税がタブーではなくなったということだ。
同様に、日本の凋落という現実に直面することで、「正社員の既得権」もタブーでは
なくなりつつあるのだろう。

選挙戦では「新規採用4割減による国家公務員人件費2割カット」なんてつついてみると
面白いんじゃないかな。
“第三の道”なるものの中身の無さがむき出しになるだろう。