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映画 無名

2024-07-25 09:18:22 | 日記

映画 無名

 多分 香港中国日本の合作映画だけど、資本は中国ではないかと思われる。旧日本軍のことをかなり悪く描くから日本では絶対ヒットしないだろう。フィルムノワール(黒映画)の分野に分類される映画で、私はイライラするときストーリーは何でもいいから黒映画を見たくなるのでこれを見に行った。抑えた色調の引き締まった映像と音楽と俳優の演技によって観客を酔わせるもので、ストーリーに何かの思想考え方を盛り込んでおいてこの考えかたいかがですかと問いかける映画ではない。演歌でも交響曲でもいいがよい音楽を聴くと頭がすっきりする、それと同様の効果がある。

中国映画は本来もっと面白いものだと思うが、いいものが日本に輸入されないからかそれともいいものを作らなくなったせいか近頃いいものを見ない。この「無名」もそんなに力こぶの入った映画でもなく、はじめからB級映画を狙っているようだが、B級としては大成功した映画とみられる。ちょうど980円のラーメンを頼んだところ1500円くらいの値打ちのラーメンが出てきて大喜びした感がある。ラーメンだったら次の日また同じお店に行ってということはできるが、映画はそういう訳に行かないところが観客興行主ともにつらいところである。

国民党と共産党と日本軍のスパイ合戦で、ストーリーは複雑だからどうでもいいつもりで見ていた。(これからどこかへ行ってスパイ稼業をしないといけないヒトは理解する必要があるのかもしれないが、そのつもりのないヒトは気楽に見て一幅の絵画を鑑賞するのと同じ気分で見るのが良いと思う。)

見ながらこう考えた。自分のしたいことは「竹林の七賢」のようになって、「清談」でもしてのんびり日を送りたいのである。なんで大きな組織に忠誠を誓わされてきつい仕事(しかも仕事の中身については手かせ足かせで自由に決定できない。)をしないといけない羽目に陥ったのか?「竹林の七賢」みたいになるのはちょっと無理としても、せめて仕事の段取り位は自分で決めたいものだ。(これについて面倒くさいことを言ってくる上司同僚は本当に嫌だ。)それに忠誠を誓う相手も、自由に決めたいもので現状極めて不自由だ。こんな現代人にぴったりの映画がフィルムノワール(黒映画)ではないか。

スパイだから仕事の段取りは自分で決められる。どうしても二重スパイみたいになるから組織に対する忠誠はあるのか無いのか自分でも分からなくなる。鬱陶しい上司同僚は血だるまにしてしまう。ついでに謎めいた美女も出てくる。

これを見ると大抵の現代人は頭すっきりするはずである。ただし今の生活仕事に大満足している人は何が面白いのか理解に苦しむであろう。私は頭すっきりしたから不満が一杯の方に分類されそうである。



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