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日本史を疑え(本郷和人著 文春新書)

2023-06-11 16:41:33 | 日記

日本史を疑え(本郷和人著 文春新書)

 日本史に限らないけど疑わしいことは教科書にも一杯ある。ヨーロッパは本当に香辛料が欲しくてインドや南アジアに出たのか?あれだけが目的で船団を組んで出ていくのはちょっと儲けが少なすぎないか。もっと他にほしいものがあったんじゃないか。日本史でなら、大福やおはぎがあったんだから砂糖は大量に輸入されていたはずで実は「鎖国」になってなかったんじゃないのか。など不思議は一杯ある。

 そうだったのかと思わずヒザを打つことにこの本で何度も出くわした。例えば山岡荘八でも司馬遼太郎でも比叡山焼き討ちは宗教勢力の腐敗を信長が嫌ったためと説明されていた。ヒトの腐敗なんかこっちに害がない限り笑い者にはしても軍を動かすような面倒くさいことはしないはずなのにと当時思いながら読んでいた。

この本には納得のできる説明があった。比叡山は京に入る物資に税金を課していたので信長は焼き討ちしたという。課税権という利権争いならそれは軍隊を動かしてでも勝とうとするだろう。あとで入ってくる税金を思うと軍を動かす費用は安いものと判断したのだろう。

 歴史のことでも今の現実の政治の説明であっても、こういうそろばんに載る説明が欲しい。果たしてヒトは本当に理想で動いているのか、理想を考えているのか、わたくしはそこをいつも疑っている。いつもそろばんを弾いて得なほうをとりたいと思っているんじゃないのか、わたくしと同じようにである。