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小説 徐福と童男童女3000人の子孫⑨

2022-09-12 12:38:00 | 日記

小説 徐福と童男童女3000人の子孫⑨

 私が長安の青竜寺で恵果のもとで密教を学んだのは皆さんご承知の通りです。これがヤマト王権の取り入れた仏教とは少し系統が異なること。言葉で語られる思想の部分よりも、師より伝えられる何ものかを重視すること。従って私の入滅後も変化することなくそのままの形で伝わっていくだろうこと。そのような魅力もあったのですが、なによりこの宗派はインド西北部の裕福な商人に支持された宗派です。アラビアの錬金術を教えてもらうには大変恵まれた立ち位置にあります。私は、恵果師のもとで勉強に励みながら、錬金術などの勉強もやって帰りました。

 キンの精錬には炉の温度の管理が大事で、これは徐福と名乗っていた時期に不老不死の仙薬をつくろうと散々勉強したことです。仙薬は出来っこありませんが、あの時の勉強は役に立ちました。後の世でニュートン氏が黒魔術の研究中に近代科学の礎になる運動方程式を作ったのと同じようなことです。

 私は一瞬でお経を覚える術を会得しているのです。師より教わるべきことは一瞬で理解でき記憶できます。10年も20年もここに居ては日本に帰ってからの事業を始める機会を失いかねません。私はありったけの砂金を提供して一宗派を開くに十分な道具を買い求めたあと短期で日本に帰ることにしました。この短期で帰ったことが問題にされて、帰国後長いこと畿内に入ることを許されなかったことは皆さんよくご存じのとおりです。

 最近、私はとんでもない能力が備わっていて長安で雲を呼び雨を降らせたり、上空高く舞い上がったり、はては悪人を取り押さえたりしたような映画がつくられたようですが そんなことないことはこのことでわかるでしょう。そもそもそんな自然でない常識にないことは誰にもできないのです。超能力なんてないのです。ヤマト王権の命令に私はおとなしく従っていたのですから。私はただお経を一瞬で覚えることができるだけなのです。そんな人は何時の時代でも一杯います。しかもあの虚空蔵求聞持法を百万遍唱える苦行をしなくても生まれつきごく自然にです。私はごくありふれた人間なんです。

 でも、ヤマト王権とはつかず離れずの関係を持つ自分の王国を建設できるかもしれない立場にあったのです。しかも私の中に入り込んでいる徐福さんは、むかし我が国に自分の王国をつくることを夢見てきたのです。ここは、ヤマト王権に従い他日雄飛するまで辛抱の日々なのです。