山口 香の「柔道を考える」

柔道が直面している問題を考え、今後のビジョン、歩むべき道を模索する。

明日は注目

2009-03-12 07:38:35 | Weblog
 明日はいよいよ講道館で理事会・評議員会が行われる。現館長がすでに3月末日を持って館長を辞すことを表明しておられるので、明日の会議では時期館長についての討議がおこなわれるはずである。

 財団法人講道館は寄付行為(運営における決めごと)によって運営されることが決まっている。(当たり前!)以前も紹介したが改めて大事なポイントをおさらいすると

*本財団は20名以内の理事をおき、内1名は本財団を代表する講道館館長とする。
*講道館長は維持委員会において選出し、その他の理事は評議員会にて互選する。
講道館長故障のとき又は欠けたるときは予め講道館長の指名した理事これを代理又は代行する
*講道館長はその任期を7年、理事の任期は3年、いずれも再任を妨げない。
(ちなみに理事は4名しかおらず、評議員は数十名。10段の3人の先生方も評議員で館長の資格を有さない。このバランスも非常に悪い。)

 現館長は昨年再任されているので任期はまだ6年残っている(任期が7年というのにはびっくり!)ので、講道館長が指名した理事がこれを代理又は代行するとなるはずである。

 ということは理事の一人である上村氏(現在全柔連専務理事)が報道のように館長代理に就任されることが予想される。そうであれば特に問題はない。(館長でなく、代理であれば)

 以前された報道では、「館長の後任」とでたがおそらくこれは間違いであろう。なぜなら、寄付行為に則って館長の人事・人選が行われるのは当然のことで、これを無視することはできない(はずである)。

 万が一、この条項を無視して館長が交代するようなことが起これば驚きだ!寄付行為の条項を無視して人事を行うようなことが許されれば、講道館という団体が「ルールはあっても守らない、いい加減な団体」と世間に示すようなものだからだ。

 また、理事・評議員には企業役員の方々、高段者、地区会長など錚々たるメンバーがそろっているのであるから、そういった提案がなされたとしても「条項に則って粛々と行うべき」という意見が出るであろうと予想される。

 万が一、このような正当な意見も出ずにあっさりと後任が承認されるようであれば、自己管理能力のない、行き当たりばったりの団体だということを証明してしまう。

 正常な団体であれば、こういった事態がおこった場合には、とりあえず代行をおき、その間に条項を改正した上で行うのが筋である。

 マスコミの方々にはこういった観点から取材をお願いしたいものである。「世襲制が終わって次の人に引き継がれる」という単純なものではなく、オーバールールが適用されるかどうかという点が重要だということ。通り一遍の館長交代という論調にはなってほしくない。口幅ったいが事実を報道することと、批評、批判があってこそのジャーナリズムではないか?館長が後任を指名できるといったシステムはありえないし、どこぞの共産圏か独裁政治である。

 このブログでも紹介したが、雑誌柔道(講道館発行)で柔道界の外で活躍される方、柔道を応援してくださる方などにインタビューを行う企画を担当してきた。コマツの坂根会長、外務省の小川大使、福田敬子氏と3回続いていた。外部の方にご意見を伺うのは非常に良いことだと考えていた。しかし、この企画が打ち切られる。

 理由ははっきりしないが、「このブログをみて館長が怒っている」ということらしい。館長が読んでくれているということは、驚きでもあり、喜びでもある!釈然としないのは、なぜ、怒るのだろうか?確かに、講道館や全柔連のあり方やシステムについて私なりの意見を述べてきたが、すべて「柔道の将来を考えて」のことである(と私は思っている)。

 当然、批判もあるだろうと予測はしたが、誰かがいわなければ変わらないし、地方の人たちには中央で何が起こっているのか知る由もない。敢えて実名で書いているのもリスクを背負う覚悟を持って訴えたいという気持ちからだ。

 日本柔道が世界で権威を失ってきた一つの要因はここにある。国内外にある「柔道を少しでもよくしよう」と考えてのアイデアや提案に耳を傾ける姿勢がない。

 世界の国々は、「日本の意見など聞いても仕方がない。どうせ、反対するだけだ。」と日本を外すようになり、国内では「自分の考えなど述べないイエスマン」だけが残っていけるシステムである。極めて官僚的で保守的!

 私の意見が悪いのであれば、批判は甘んじて受けるが、意見を述べるものを外していくような組織に将来はない。また、論理的な思考の裏付けがなければ大きな組織をまとめていくことは不可能である。私の意見が間違っているというのであれば、論理的に打破するべきである。

 全く可能性がないのはわかっていても、できることであれば講道館館長に立候補したいぐらいだ!何人かの立候補者が出て、全国各地で柔道家を集めて公開の討論会を行い、講道館の将来に向けたビジョンを語り合う。会場からの質問にも答える。その上で、館長が選ばれれば、すべての柔道家が理念を共有し、同じ目的に向かって夢を持って進んでいけると信じる。

 嘉納氏が辞意を表明したのもマスコミの報道のみで、それぞれのホームページにおいては一切触れられていない。「下々のものには説明する責任などない」ということか。「決まったら黙ってそれに従え」民主的な考えからはほど遠い。

 ともかく明日の会議の行方に注目しよう。そして、どうやって報告されるかを見守ろう。