1月から始まったヨーロッパでの国際大会も一段落。この後、選手達は4月の選抜体重別、全日本選手権に向けて調整をしていく。大会を全般的に振り返ると女子は全ての大会、ほとんどの階級において納得のいく結果を残した。結果を残した選手が多かったが為に、誰を世界選手権の代表に選ぶかが難しくなったともいえる。嬉しい悲鳴ではあるが、何度も言っているように、大会前にある程度の選考基準を明らかにしてほしい。日本においても今後は国際大会の成績でランキング制を採用し、その順位によってシードを決めていくなど、今後は検討されていくべきだろう
女子に比べて男子は予想通りではあるが、厳しい戦いが続いている。日本の男子は私の時代には、3番手、4番手であってもメダル争いに絡んでくるのがほとんどだった。ところがここ数年、1番手であってもメダルに絡めないことも多く、2番手以下では勝負にならないといった状況である。原因については様々な見解があるだろうが私なりに分析してみた
現在でも技術でいけば、選手層は日本男子が世界に抜きん出ていると思う。海外のチームが日本に来て、いずれのコーチも言うことは「日本には素晴らしい選手が多い。あれが日本で5番手?なんて信じられない。連れて帰りたいよ。」
優れた選手は多いのになぜ試合で勝てないのか?ということを考える必要があるだろう。
一つの理由に、強い選手が集中しすぎているのではないだろうか。強化を図っている大学は多くの選手をとっており、時には同じ階級の選手(その年のインターハイなどの上位選手)が複数入学するケースもある。もちろん、学内で切磋琢磨して強くなることもあるが、馴れ合いになってしまってどちらかが沈んでしまうことも多い。大学選手権などをみると上位は関東圏に集中しており、常連校は決まっている。選手が数カ所に集中してしまっていることはもしかしたら競争力を低下させているのではないか。ドラフトとまではいかなくても、強い選手がある程度分散し、学内ではなく国内大会で競い合えるようになれば、競技の面白さも増す。
強い選手がたくさんいると、監督、コーチも集中した指導ができないのかもしれない。数いる中で揉まれて出てきた選手が強いのだから、待っていれば良いという考え方もある。しかし、本当にそうだろうか?外国選手が強いのは、少ない種を熱心に集中的に育てるからである。育てられた選手は自分が期待されているという自覚も自信も芽生える。優秀な選手が多すぎて育てることが難しいというのは皮肉な話だ
次に、大学によっては強い選手に対して授業料免除、寮費免除などの待遇をしている。経済状況が悪化していることもあり、地方から関東圏の大学に進学させる負担は大きい。その点から見れば、こういった制度はありがたい。しかしながら、選手自身がこういった優遇に甘えることなく、目標に向かって研鑽を積まなければ生きた制度とはいえない。親が苦労して出してくれていると思えば「なんとか頑張ろう」との意欲もより強くなるのだろうが、学校が出してくれている場合には「自分はこの大学に入ってやった」ぐらいの選手もいるのではないだろうか。選手もそうだが親にもそういった勘違いをしているケースがみられる。制度の趣旨はよくてもそれを生かすのは選手自身である。恵まれた環境を選手達が生かしきっていないような気がする。
負け癖も一因だろう。少し前までは、国際大会において負ければ「外国人に弱い」ということで二度とチャンスを与えられないこともあったという。最近では「負けても当たり前」「自分だけではない」といった雰囲気があるように思う。国際大会の数もジュニアを含めて飛躍的に多くなっているので負けても負けてもつかってもらえる安心感がある。選手の試合後の反省文などをみると、毎大会で同じことを言っている選手も少なくない。つまり、負けたことが薬になっておらず、進歩がない
ではどうしたらよいのか?ということになるのだが・・・。
おそらく今までのように「放っておいても強くなる」という訳にはいかないのだろう。技術も身体能力も全体的なレベルは落ちてきているようにも感じる。外国の選手がどうのこうのというよりは、もう一度国内の指導体制や強化方法、システムを見直すことが大切である。高校、大学など現場の先生方との理念の共有と協力体制の構築も急務である。豊富な強化資金をただ全日本の合宿や国際大会に派遣するといった安易な方法に使うのも考えものだ。これまで名選手を輩出してきた先輩の先生方などの意見を聞くことも有効だろう。柔道はどこまでいっても柔道であり、ルールがどんなに変わっても強い人間は強いはずである。世界を意識しすぎるあまり、国内の問題や競争力がおろそかになってはいけない。
女子に比べて男子は予想通りではあるが、厳しい戦いが続いている。日本の男子は私の時代には、3番手、4番手であってもメダル争いに絡んでくるのがほとんどだった。ところがここ数年、1番手であってもメダルに絡めないことも多く、2番手以下では勝負にならないといった状況である。原因については様々な見解があるだろうが私なりに分析してみた
現在でも技術でいけば、選手層は日本男子が世界に抜きん出ていると思う。海外のチームが日本に来て、いずれのコーチも言うことは「日本には素晴らしい選手が多い。あれが日本で5番手?なんて信じられない。連れて帰りたいよ。」
優れた選手は多いのになぜ試合で勝てないのか?ということを考える必要があるだろう。
一つの理由に、強い選手が集中しすぎているのではないだろうか。強化を図っている大学は多くの選手をとっており、時には同じ階級の選手(その年のインターハイなどの上位選手)が複数入学するケースもある。もちろん、学内で切磋琢磨して強くなることもあるが、馴れ合いになってしまってどちらかが沈んでしまうことも多い。大学選手権などをみると上位は関東圏に集中しており、常連校は決まっている。選手が数カ所に集中してしまっていることはもしかしたら競争力を低下させているのではないか。ドラフトとまではいかなくても、強い選手がある程度分散し、学内ではなく国内大会で競い合えるようになれば、競技の面白さも増す。
強い選手がたくさんいると、監督、コーチも集中した指導ができないのかもしれない。数いる中で揉まれて出てきた選手が強いのだから、待っていれば良いという考え方もある。しかし、本当にそうだろうか?外国選手が強いのは、少ない種を熱心に集中的に育てるからである。育てられた選手は自分が期待されているという自覚も自信も芽生える。優秀な選手が多すぎて育てることが難しいというのは皮肉な話だ
次に、大学によっては強い選手に対して授業料免除、寮費免除などの待遇をしている。経済状況が悪化していることもあり、地方から関東圏の大学に進学させる負担は大きい。その点から見れば、こういった制度はありがたい。しかしながら、選手自身がこういった優遇に甘えることなく、目標に向かって研鑽を積まなければ生きた制度とはいえない。親が苦労して出してくれていると思えば「なんとか頑張ろう」との意欲もより強くなるのだろうが、学校が出してくれている場合には「自分はこの大学に入ってやった」ぐらいの選手もいるのではないだろうか。選手もそうだが親にもそういった勘違いをしているケースがみられる。制度の趣旨はよくてもそれを生かすのは選手自身である。恵まれた環境を選手達が生かしきっていないような気がする。
負け癖も一因だろう。少し前までは、国際大会において負ければ「外国人に弱い」ということで二度とチャンスを与えられないこともあったという。最近では「負けても当たり前」「自分だけではない」といった雰囲気があるように思う。国際大会の数もジュニアを含めて飛躍的に多くなっているので負けても負けてもつかってもらえる安心感がある。選手の試合後の反省文などをみると、毎大会で同じことを言っている選手も少なくない。つまり、負けたことが薬になっておらず、進歩がない
ではどうしたらよいのか?ということになるのだが・・・。
おそらく今までのように「放っておいても強くなる」という訳にはいかないのだろう。技術も身体能力も全体的なレベルは落ちてきているようにも感じる。外国の選手がどうのこうのというよりは、もう一度国内の指導体制や強化方法、システムを見直すことが大切である。高校、大学など現場の先生方との理念の共有と協力体制の構築も急務である。豊富な強化資金をただ全日本の合宿や国際大会に派遣するといった安易な方法に使うのも考えものだ。これまで名選手を輩出してきた先輩の先生方などの意見を聞くことも有効だろう。柔道はどこまでいっても柔道であり、ルールがどんなに変わっても強い人間は強いはずである。世界を意識しすぎるあまり、国内の問題や競争力がおろそかになってはいけない。