いきなり!? ロードバイク

ママチャリにも乗らなかった40代働く主婦
何故かロードバイクに乗る羽目に…
今日はどちらへ?もちろんおもしろい方!

BRM606静岡600km-夜と峠

2009-06-11 21:44:55 | ブルベ
PC2ではドロップバッグがあったので、バッグには靴下、レインウエア、補給食、携帯のバッテリー、アミノ酸やビタミン剤ビオフェルミンを入れたピルケース、交換用のミニタオル小物を入れたいつものリュックもここまで持ってきてもらった。
PC2からはリュックを背負うことにした。
ゼリーをBENTBOXに入れた。
雨で濡れた靴下を交換、ほっ
靴の方はかなり乾きかけていたので、靴下の交換だけで大丈夫だった。
で、着てきた重いレインウエアの上下。
ものすごく悩んだが、天気予報と雨雲レーダーを見て、ここでバッグに入れて持って帰って貰う事にした。
なにぶんまだまだ登るので、軽量化優先。
ただし雨具は百均の小さなレインウエアだけ持つ事にした。

PC2でかなり悩んで準備してるとき…
しのさんが姿を現した!

あれ~っ??
なんで~ここにおるん~???

PC1で…
スタートする姿を見かけて、本気で16時ゴールを目指してはるんやー!

「今度しのさんに合うのは再来週の朝練やなぁ~
来週は私らは、しんどーて朝練いかれへんもんなぁーきゃはははは

と言いながら、おにぎりを食べながら背中を見送ったのだった。



とりあえず、ごはん食べましょー!
というともう食べたとおっしゃる。
ワタシ達はこれからまた登るので、ここで食べないと…。

道の駅の向かい側に小さな手作りのパン屋さんがあった。

あんパンとか種類は少なくて素朴だが…
買ったパンのほとんどがまだ焼きたてで温かくてめちゃめちゃ美味しかった。
パン屋さんのおねいさんも気安い方でなんやかんやおしゃべりできてうれしかった。
写真をちゃんと撮ればよかった~。


で、しのさんはリタイヤするだとかおっしゃる。

「またまたぁ~
1000kmも悠々走ってこられる方がリタイヤなんてジョーダンでしょー!!あはは」

なかなか信じられなかったが、食事をされた後なのに、時間の無駄遣いばかりしる私たちにつきあってパン屋さんに行ったりするのでまんざら冗談でもなさそうな。

ひざが痛いとおっしゃった。
いつものにこやかな表情は変わらなかったが、時折かげりを見せたので本当だろうか。
でもまさかまさか…


ワタシもフレッシュと沼津400kmは途中からひざ痛を抱えながらどうにか完走できた。
たぶんワタシの場合は欲張って速く走ろうとしたのでペダリングが失敗だったのだ。
パンを食べながらその時の自分なりのどうにか走りきった方法をいくつか披露した。
ひざに負荷が掛かっちゃったのだから、負荷が掛からないように走ればいいだけだ…
あははははっ
そんなんでわかるかー!

でもしのさんの真剣な表情を見てるとやっぱり痛そうだ。

あの400kmの寒く痛く暗く苦しい富士見峠を思い出した。
1000m付近の気温の低さと雨の冷たさが一層ひざに応えるんだった。
あれは本当に辛かった。



しのさん~!
がんばれ~!!

PC2を一緒にスタートする。
ひざに負担が掛からないようなペダリングを探るんですよ!
がんばってー!!




今度は3人でまたのんびりと峠を登る。
今度は治部坂峠。

峠を少し下って、コンビニで休憩した。
我々がビリだとばかり思っていたら、
白いリドレーの人がいらっしゃった。
ほっとして声を掛けたら…

なにやら700円分を買ったら三角くじでアイスクリームが当たったとか。
笑っていらっしゃった。
時間に追われて大量補給の上にアイスクリームって…
それでタイムアウトしちゃったら、ラッキーだかアンラッキーだかわかりませんねーきゃはきゃは笑った

次の峠からはすごい下りがあります!
としのさんが言う。

わ~いわ~い
と喜ぶと…
「危険ですからくれぐれもスピード出しすぎないように!」
100km/hチャレンジする人もおられるそうな。

「わ~いわ~いワタシもチャレンジするぅ~
と浮かれたら「段差あるから気を付けて下さい」真顔で注意された。
…はい


ん~で、またがんばって…
というのもどれくらいがんばったのか良くおもいだせませんけどね。
全部登りばっかりだったからね。

で標識は7%の7.5kmの下り!

ひゃっほ~!!やったぁ~!くだりさいこー
あぁがんばって登って良かった!
7%の7.5kmの下りって最高やん~きゃ~

がんばって登った甲斐があるなぁ~


しのさんの足はどうだろうか。
ひざの痛みって不安やろうなぁ。
「コレでワタシのブルベチャレンジは永久に終わりかなぁ。」と鬱々としたもんなぁ。
ひざの痛さと一緒にメンタルへのダメージも来るから一層辛いなぁ…。


しのさんがゴールへ向かう気持ちを持っている限り一緒に行こう!
と、このときそう考えていた。
もうクローズ時間気にしないで、しのさんと一緒にゴールしよう。


きっとヒロさんも同じ事を考えてるはず。
時間内完走出来なくてもしのさんと一緒にゴールしよう。って。

だから、しのさんがんばって!


だんだん夕暮れが迫る時間。
下りきってりんご園や果樹園のある町々を抜ける。
かすかに下ってるが、向かい風が強くなってくる。

向かい風と下りの段差はひざに応えるやろな…



夕暮れにみんな疲れて少し無口になってくる。


とうとう。

「体と相談しながらゆっくりいきますんで、先に行って下さい。」
いつになく凛としたしのさんの声が後から聞こえた。

ヒロさんもワタシもうろたえた。


あぁ。恐れていた宣言だ。


これがブルベか。
大事な仲間のピンチを見捨てるようにここから先へ進まなくてはいけないのかな。
単純だが残酷なゲーム。

「いや、そんなぁ…がんばって…」
と言いかけたが、ひざを痛くしている人に「がんばって」と言うのも残酷だ。

やはり一番正しい選択をしたのは、達人しのさんだ。


「ゆっくり行ってますんで~!」と、言うとあっという間に差が開いてしまった。


またいつもの二人。
向かい風が強い。

明るい間に先を進もうと走り始める。
平坦下り向かい風、ヒロさんを盾にして前に進む。



夕方頃そろそろ噂のローメンポイントちゃうん~
二人で沿道をローメンの看板は無いかときょろきょろと走るが見つからず。
日が暮れてしまってPC3の手前でラーメン屋さんへやっと入った。

何モノかしらんが、ローメンって食べてみたかった

沿道に広く窓が取ってあるお店でしのさんが来るのを待ったが…
ゆっくり食べ終わって支払いをしているときにようやくしのさんが来た。
元気そうでちょっとホッとした
この分なら何とかいけるんじゃないですかー




で、PC3。21時頃。

食べたばかりなので、少し休憩して補給食を足してまたスタート。
次はたぶん一番の難所らしい和田峠?和田トンネル?有料道路までのなが~い登り。

車もトラックも意外と通る。
有料道路へ入ってトンネルから料金所まで長いって14キロ。
斜度はどれくらいだったか暗くて解らないが、かなりあったように思う。
きっとすばらしい景色だろうな。
が、暗い中を鬱々とただひたすらに登る。
今朝からもうどれくらいのぼっただろうか。
それでもまだ半分にもならない…
と思うと凹みそうになるので、ただ料金所までの距離だけが頼り。

工事中の道では夜にもかかわらず年配のガードマンさんがいらっしゃって、
笑顔で「がんばってくださいー」と声を掛けてくれる。
「はい!がんばります」頂いた小さな一言がエネルギーに変わる。



メタメタへろへろよれよれになって料金所へ到着~

二人並んで100円を料金所の係員に支払う。
二人の方がいらして、
「何かイベントですか?」とブルベではもう何度も問われた問。
「袋井からきたんですけどーこれから軽井沢回ってもどります~!」
というとあきれたのか、理解できないのか曖昧な表情で「気を付けてがんばって下さい」と言われた。それでもやっぱり見知らぬ人に声を掛けられるブルベの楽しいところ


料金所横の自動販売機で切れた水を補給。
ここで23時。
標高が高いのか冷えるので暖かいものをと思ったら、全部コーヒーだった
普段缶コーヒーを飲むと気分が悪くなるのだけど、暖かいものが欲しかったので、カフェオレを押したら、普通のコーヒーがぽとりと出た。
ぐっ…
こんな事でも夜の峠のメンタルには応える。

近畿を走ってるみんなはそろそろ無事にゴールしただろうか。

しのさんは登ってるだろうか、登り切れただろうか…。
「きつかったね、ここが一番!しのさんは登れたかなぁ…」

そんなことをぽつぽつ話しながら下りに入る。

暗闇の下り。
時間を取り戻すように回して下るが、強い向かい風。
いくらペダルを回しても体重で下るヒロさんには追いつけないほど強い風が吹く。
危ないとは思ったが真っ暗の下りに、ヒロさんにぴたりと張りつく。
ふ~うらっくち~ん
文字通りヒモが付いててするすると引っ張られるように足も回さずに下れる。
ヒロさんは必死で向かい風に立ち向かってる。がんばってくだされ
がんがん下って下丸子あたりのコンビニでモリタさん発見!
二度と会えないかと思ったがあえてうれしかった。
ちょうどスタートされるところで、一言二言言葉を交わしたら出発された。


少し補給して、そこから軽井沢PC4に向かってまた登りが始まる。
軽井沢ってこんな標高高い所にあるんかー
信じられん。
時折ビデオショップやお店があるが、コンビニも全部閉まってる。
また500mほどは登って、標高は1000mくらいでしょうか。
ほんま、なんぼのぼらすねん…




一応夜景を撮ってみました…

そしてアップダウンの真っ暗の広域農道を進む。
強い向かい風に必死に立ち向かう。
時間はすでに真夜中。

時折車が追い越していく。

二人で計6灯並んで、道の幅を照らす。
真っ暗い中、目を見開いて道を見張る。

あとすこし、軽井沢まで来れば、少し仮眠しよう。
それだけを支えに走る。

体力的にもメンタル的にも一番苦しい時間帯だ。


後から車のライトで明るくなった。
道幅は充分あるから邪魔にならないはずなのに、追い越して行かない。
ゆっくり走ってるのかなぁ。と不思議になる。
でも道が明るく照らされてかなりホッとなる。
しばらくするとさすがに邪魔なのかなと思って、道の端に寄る。
と。
車は横に並んで走りはじめた。
暗くてドライバーは見えない。
そして小さくクラクションを鳴らして、前に出た。
しばらくワタシたちをひくように前を走ってくれた。
明るさとペースが相当助かった。
白いワンボックス。長野ナンバーだった。
長野に知り合いは居ないはずだが…
明らかに、ワタシたちを助けようとしてくれている。
真っ暗で冷たくなっていた空気の中に、この車の優しさを感じて胸が熱くなりながら前へ進んだ。

「ひいてくれてはるんやな」ヒロさんに一言やっと言った。
それ以上なにか言うと涙がでそうだ。
ヒロさんも「そやな」とぽつりと言った。

数キロ白いワンボックスが一緒に走ってくれて、また小さくクラクションを鳴らして消えていった。



車はもう一台来た。
車種は解らないが今度はスポーツカーが来た。
ゆっくり前に来て、「がんばれよ」というようにハザードランプを何度か点滅させて、真っ暗の農道をしばらく前を照らしてひいてくれた。
ありがとうありがとう

最悪の時間帯に最高の助け。
がんばろう、きっとゴールしよう




やっと軽井沢へ入った…
アップダウンはいつ終わるともなく続く。


時間は予定より大幅に遅れてきた。
ひょっとして仮眠の時間が無くなったかもしれない。

ヒロさんが、「ひざが痛い。」
といって何度か止まって、体をほぐす。


PC4のぎりぎりまで登り下りが繰り返された。
とうとう町中への下りが始まり。


PC4の軽井沢へ到着。2時半は過ぎたかなぁ。