大きく傾いた車体の軸線から体が離れ、取り返しがつかない状態で想うことは、
小さな子供がおねしょしたときの想いに重なる。
ああ、自分はいまやってはいけないことをしているのだ…。
わかっていても、もうどうしようもないのだ…。
次の瞬間体は路面をすべっている。やや後ろに自分が乗っていたオートバイの気配を
感じ、後ろから潰されないかと滑りながら上半身を起こす。
右横にオレンジ色の火花を引きずりながら滑っていくオートバイを確かめ、200kgの
鉄塊に潰されないことに安堵する。水溜りのような路面でなかなか体は止まってくれず、
前に突き出した掌が水しぶきを上げているのが見える。
停まる。
車線上から路側帯へ出る。その足元からもうもうと立ち上る水蒸気とエンジンの唸り。
半ば路肩の土手に落ちたオートバイのキルスイッチを切ってエンジンを止める。
後ろにいた仲間の2台が相次いで止まり、転倒に巻き込まずに済んだことに安心する。
無事な2台のエンジン音。降り続く雨。
近くの民家のご主人が警察に、同行の仲間の一人がJAF、殿を務めるもう一人が
気づかずに先へ進んだ4台へ、ぼくは保険会社へそれぞれ連絡を入れる。
時刻は16時ごろ。場所は福島・栃木県境近くの山中。JAFのレッカー到着予想は
18時半以降とのこと。
40分後に警察が調書を取りに到着、同じころ先へ進んだ4台が戻ってきた。
4台は雨の中20km近くも戻ってきてくれた。
転倒開始場所におおよその目安をつけ、巻尺で地点確認。路肩に落ちたままで
車体の状態を確認し、その後6人がかりで路上へ押し上げる。
調書を取った警察が帰ると、関東南部の仲間は最寄の高速から家路をいそぐためここで解散。
道を把握している幹事さんと副幹事さんは暗くなっても大丈夫だから、とJAF到着まで
残ってくれることに。
お二人の悲痛な表情に、この人たちにこんな顔をさせてはいけないなと胸がいたむ。
18時半過ぎ、レッカー到着。
暗くなってお互い見分けがつかないため、路肩に立って幹事さんと手を振らなければ
通り過ぎるところだった。
四輪用ローダーの大きな荷台にオートバイを押し上げ、タイダウンで固定。
濁ったオレンジ色の夕暮れ空にそびえるローダーの荷台と点滅するウィンカー、
シルエットになって沈黙するドゥカティ。
ここから一番近い宇都宮のドゥカティストアまで約80km、購入店東京ウエストまでは
約200km。時間を考えると宇都宮までの搬送も難しいため(この日は集中豪雨の
事故が続出し、JAFは出動しっぱなしだった)困っていると、見かねてJAFの事務所で
預かってもいいとの提案が出た。後日取りに来ることを約束して、35km先のJAFまで
ローダーに同乗。
事務所でJAF入会とあわせて料金を支払い、最小限の手荷物をまとめてタクシーに
乗ったのが20時半。那須塩原駅から新幹線に乗ったのが21時過ぎ。
新幹線の真っ暗な窓外をながめながら、転倒の原因をぼんやりと思い起こす。
寝不足:熱帯夜でこまぎれ睡眠になり、寝不足だった自覚がある。
油断: 2年半、2万km近く乗ってリッターバイクに慣れたと慢心していた。
雨: 転倒時は小止みになっていたが、直前までの雷雨で路面コンディションは
回復していなかった。
後輪が左右に大きく振れる間、立て直そうというより、なんでこんな直線で尻が暴れるんだ?
と呆然としている間に振り落とされてしまった。上手下手以前の問題。
山深い国道とはいえ、同行者・歩行者・対向車のいずれも巻き込まなかったのは
不幸の底に残った一片の幸い。
よく滑る路面のおかげで擦り傷一つ負っていないのは皮肉だけど、けがをしていたら
こんなにのんびりと文章を書いてはいられないはずだ。
もちろん、帰宅してからお嫁様にたっぷり怒られました。直っても遠乗り禁止だって。
先週、8月5日の出来事。
小さな子供がおねしょしたときの想いに重なる。
ああ、自分はいまやってはいけないことをしているのだ…。
わかっていても、もうどうしようもないのだ…。
次の瞬間体は路面をすべっている。やや後ろに自分が乗っていたオートバイの気配を
感じ、後ろから潰されないかと滑りながら上半身を起こす。
右横にオレンジ色の火花を引きずりながら滑っていくオートバイを確かめ、200kgの
鉄塊に潰されないことに安堵する。水溜りのような路面でなかなか体は止まってくれず、
前に突き出した掌が水しぶきを上げているのが見える。
停まる。
車線上から路側帯へ出る。その足元からもうもうと立ち上る水蒸気とエンジンの唸り。
半ば路肩の土手に落ちたオートバイのキルスイッチを切ってエンジンを止める。
後ろにいた仲間の2台が相次いで止まり、転倒に巻き込まずに済んだことに安心する。
無事な2台のエンジン音。降り続く雨。
近くの民家のご主人が警察に、同行の仲間の一人がJAF、殿を務めるもう一人が
気づかずに先へ進んだ4台へ、ぼくは保険会社へそれぞれ連絡を入れる。
時刻は16時ごろ。場所は福島・栃木県境近くの山中。JAFのレッカー到着予想は
18時半以降とのこと。
40分後に警察が調書を取りに到着、同じころ先へ進んだ4台が戻ってきた。
4台は雨の中20km近くも戻ってきてくれた。
転倒開始場所におおよその目安をつけ、巻尺で地点確認。路肩に落ちたままで
車体の状態を確認し、その後6人がかりで路上へ押し上げる。
調書を取った警察が帰ると、関東南部の仲間は最寄の高速から家路をいそぐためここで解散。
道を把握している幹事さんと副幹事さんは暗くなっても大丈夫だから、とJAF到着まで
残ってくれることに。
お二人の悲痛な表情に、この人たちにこんな顔をさせてはいけないなと胸がいたむ。
18時半過ぎ、レッカー到着。
暗くなってお互い見分けがつかないため、路肩に立って幹事さんと手を振らなければ
通り過ぎるところだった。
四輪用ローダーの大きな荷台にオートバイを押し上げ、タイダウンで固定。
濁ったオレンジ色の夕暮れ空にそびえるローダーの荷台と点滅するウィンカー、
シルエットになって沈黙するドゥカティ。
ここから一番近い宇都宮のドゥカティストアまで約80km、購入店東京ウエストまでは
約200km。時間を考えると宇都宮までの搬送も難しいため(この日は集中豪雨の
事故が続出し、JAFは出動しっぱなしだった)困っていると、見かねてJAFの事務所で
預かってもいいとの提案が出た。後日取りに来ることを約束して、35km先のJAFまで
ローダーに同乗。
事務所でJAF入会とあわせて料金を支払い、最小限の手荷物をまとめてタクシーに
乗ったのが20時半。那須塩原駅から新幹線に乗ったのが21時過ぎ。
新幹線の真っ暗な窓外をながめながら、転倒の原因をぼんやりと思い起こす。
寝不足:熱帯夜でこまぎれ睡眠になり、寝不足だった自覚がある。
油断: 2年半、2万km近く乗ってリッターバイクに慣れたと慢心していた。
雨: 転倒時は小止みになっていたが、直前までの雷雨で路面コンディションは
回復していなかった。
後輪が左右に大きく振れる間、立て直そうというより、なんでこんな直線で尻が暴れるんだ?
と呆然としている間に振り落とされてしまった。上手下手以前の問題。
山深い国道とはいえ、同行者・歩行者・対向車のいずれも巻き込まなかったのは
不幸の底に残った一片の幸い。
よく滑る路面のおかげで擦り傷一つ負っていないのは皮肉だけど、けがをしていたら
こんなにのんびりと文章を書いてはいられないはずだ。
もちろん、帰宅してからお嫁様にたっぷり怒られました。直っても遠乗り禁止だって。
先週、8月5日の出来事。
二輪に転倒は付き物。
とはいえ、転ばせてしまったときの
肉体的なダメージはもとより、
精神的なダメージの大きさは、なかなか語れるものではないですね。
遠出禁止令が出たとのことですが、
また、一緒に走りに行きましょう!
でも、他人を巻き込まなかった事とお体が無事だったのが不幸中の幸いだと思いますので、そのことへの感謝の気持を大事にされることをおススメします。
僕も1月の巻き込み転倒事故に遭ったときは、安全マージンを取らなかった自分を責めたりもしましたが、精神衛生上よくない事、請合いです。
まずはお見舞いを申し上げます。心の傷も早く癒えます様に。
ムルティの写真を見て本当に心臓が止まりそうになりました。
奥様に怒られる余裕?があるようですので安心しました。
お互い気をつけましょうね。
とても他人とは思えない.本当に泣きそうです.
けがをされていないようですが,心の傷は大変大きいものと察します.
ムルティと心の傷が癒えたら,またきっと一緒に走りましょう.お大事に.
写真を見ると痛々しいですね・・・状況は分かりませんが転倒した側に柵やポールが無かった事、側溝の蓋があった事が不幸中の幸いかと思います。
何より自分の体が無事であるのが1番です。
自分もこの前転倒してしまいのんびり修復中です、人生や今後の事を考えてしまう出来事かと思いますが、復活を楽しみにして過ごして行きましょうね
まずは、お身体が無事だったとので安心しました。
二輪なので、こういうことが起こることは
自分も理解しているつもりですが、
横になったムルティの画像をみるとそれを
再認識させられます。
またこれまでと同じように走れる日が早くやってくるくることを願っています。
とりあえず身体の方がご無事で何よりです。
今回は悲しい出来事ですが、
ムルティが直ってまた楽しいブログが再開するのを心待ちにしています。
一安心しました。
勝手な仲間意識ですがムルチ仲間が痛い目にあっているのは心が痛みます。
ジョンマンさんのブログファンでもありますので、一日も早く体、心、バイクの傷が癒える事をお祈りいたします。
なんかメーターがあさっての方向向いていますが、フロント廻りのダメージはいかほどでしょうか。
僕も同日転倒して鎖骨ポッキーしちゃったので気持は世界中のだれよりもきっとわかります
体がなんともなかっただけでも幸いですよ。
うちは鎖骨もバイクも時間かかりそうなので、しばらくおあずけです。
冬になる前に直&治ればいいかな。
なんか周りの人から聞くとかなり危ない運転んしていたらしいので、自分自身を見つめ直すいい機会かも。
お互い、命があっただけでもラッキーと思いましょう。
またお会いできる日を、楽しみにしております。
同じムル乗りとしては、写真を見るのが辛い。
ありえない方向を向いているスクリーン・・・
お体、大丈夫ですか?