三色オートバイ - Multi 1000 MHR -

RD/WH/GRのMulti 1000s F1仕様⇒MHR風との日々をつづる趣味のBlogです。

ビーナスラインの向こう

2008年08月02日 | バイク
夏休みの週末、晴天のビーナスラインは混んでいる。
観光バスやファミリーカーで、坂道を20km/hで進んでいく。
でも大丈夫。さっきお昼を食べちゃったので、メットの中は平和そのものだ。





小林の鰻は旨かったなぁ。”小林”とか呼ぶと、なんだか通っぽいよなぁ。
お、ファミリーカーAが展望台に消えた。よしよし。





店の前の田んぼと水路がまたいいんだよなぁ、カエルとかいて。
さらにファミリーカーBが別荘地に消えた。おー行け行け。





で、この鰻さんがさ、なんていうかとってもエアリーで、すーぐ

 ふわぁ~っ

と溶けちゃう。無防備にその溶けっぷりにうっとりしてると、

 「あれ。俺いま鰻食べたっけ?」

となるくらいにふわふわ。で、脳裏に残るかすかな鰻の残像を肴に、タレご飯で
エア鰻重という技を披露することになるんだけど。これがまた、旨かった。
もちろん鰻とご飯の正統派ストロングスタイル鰻重は、破壊力ばつぐん。
山の上まで夢見心地が続いてしまうくらい。

ヘルメットの中でにやにやと昼飯を反芻しているうちに(これがほんとのエア鰻重)
最後に残った観光バスが登山口へ消えた。 Cleared for take off、だ。
新たな幸せが待つ山の上めがけてアクセルを開く。


ひさびさに来たビーナスライン。だが、今日のメインはここではなく、この先にある
”もうひとつのビーナスライン”、美ヶ原高原道路だ。
ひさびさに書店で手に取ったアウトライダーに紹介されていたので、見に行くことにしたのだ。





三峰の展望台はあいにく雲がかかっていた。が、峰々の向こうには青空に浮かぶ王ヶ堂のアンテナ群が見える。
あそこが美ヶ原高原道路の終点だ。行き先が晴れているのは、何にも代えがたく、いいことだ。


美ヶ原高原美術館を過ぎ、いつもは引き返してしまう下りの山道に入る。
このあたりは景色もよくない荒れたヘアピンが続き、途中まではクルマも多い。
だらだら下り、途中の分岐で街へ向かうクルマたちとは逆方向へ折れる。
あとは、独りたんたんと山道を行く。
ずっと森の中。
いくつかの分岐を過ぎ、登り勾配がゆるやかになると、不意に視界が開けた。








木々がきれると、ぽっかり開けた高原がある。
切り替わりが唐突なので、まるで箱庭みたいな観がある。野原には無数のトンボのが舞う。
遠い日の、夏休みの絵日記みたいな光景だ。
そんな、かわいげのある絵を描いたことはないけれど。







夏休みのひとやすみは、アイスと決まっている。外国人の子供がうらやましそうに見ている。
へへーん。大きくなったらバイクに乗りな。うまいアイスが食べられるのさ。
大人気なくアイスを堪能したら、山を降りる。扉峠まで戻らず、このまま松本へ下る。
下りの道は、良くも無く、悪くも無い。柳沢峠の近くに似ている。
高原だけが不連続に雰囲気が良く、他は単なる山道というのが、この場所がメジャーにならず
空いている理由なんだろう。
でも、高原だけは、かなり手放しで楽しいところだ。








諏訪湖サービスエリアのモスで、さっき見かけたハーレーさんが仮眠していた。
王ヶ堂手前のコーナーを曲がり切れず、道路わきの土手に特攻してしまったらしい。
ぼくが駆けつけたときにはもうバイクも脱出させて、元気に下っていったんだけど、
ここまできてアドレナリンの効果が切れて疲れが出たんだろう。
横浜ナンバー。先はぼくより、少しだけ長い。
年上だけど、上下ジーンズという姿が10年前の自分を思い起こさせる彼を起こさないよう、
むにゃむにゃと道中の無事を祈って、先にサービスエリアを出た。

Lツインのエンジンが力強く路面を蹴り、カタパルトのようにぼくを時速100kmへ加速する。