試運転 ~TRIAL RUN~

初心者の拘りと見切りが激しい自己責任による鉄道模型軽加工記録

京成3600形クハ3608[3608F] 1次車 朱帯色 後期仕様 (種別表示器交換,側面行先表示器基準幕化施工)

2018-12-25 22:34:56 | 京成線:3600形
苦渋。

KATOカプラー化まで完了したマイクロエース製京成3600形クハ3608朱帯色登場時仕様(1次車:3608F)が入場を迎えた。
第二次整備の主工程は行先表示類ステッカーの貼付である。
3600形系列での幕式運行番号表示器は事実上の初登場で充当するステッカーに悩んでいた。


京成3600形クハ3608 1次車 朱帯色 登場時仕様(3608F)。

既存の3600形では幕式運行番号表示器装着車が一応在籍している。
3668F現行色VVVF制御編成中期仕様(3668F-1)の中間車化改造車4両がこれに相当する。
モハ3628,モハ3621,サハ3608,サハ3601(3668F-1)は製品仕様でプリズム類が一切組み込まれていない。
止むを得ずプリズムケース内にプラ板を追設し[■■■]表示の代わりとした。
ただこの方式は運行番号表示器のモールド厚が災いし[■■■]表示に見えてしまう弱点があった。


入工中のクハ3608。

プリズムケースの成形も3色LED式運行番号表示器装着車とは異なり桁毎に抜かれている。
3600形幕式運行番号表示器用ステッカーは手元に無く代用せざるを得ない。
候補に挙がったステッカーは製品付属品,自作品,富士川車輌工業製3500形更新車用,グリーンマックス製3150形用となった。
各々で試験貼付を行い相応しいものを選択する。
運行番号表示器の桁再現とステッカー印刷が揃うかが鍵を握る。
厚みを有する成形が故にプリズムケース内掲示は行えない。
桁単位での貼付も検討したが3桁を揃えるのは難しいと思われる。
結果次第では3600形用幕式運行番号表示器ステッカーの新規製作も避けられないと考えた。


窓セルを撤去したクハ3608。

種別表示器は既存編成に倣い車体内側再現へと改める。
また側面行先表示器基準幕化は側面窓セルの成形都合によりモハ3607以下4両(3608F)とは別方式を採る。
何れも分解後に措置を行うためこれまでの第二次整備とは一線を画す作業になった。
早速窓セルの撤去に取り掛かる。
最初に山側側面窓セルのS字形成形部が破断していると判った。
既存編成では中間車化改造車を含め様々な取付方式が採用されておりメーカーエラーかは不明である。
更にマイクロエース製品にしては珍しく妻面窓セルを除き溶着した痕跡が見られない。
思わぬ仕様変更に助けられ妻面窓セルを取り外しただけで大半の分解を終えられた。


断念した誘導無線アンテナの溶着。

側面窓セルを撤去するとプリズムケースまで脱落した。
狙いは判らないが流し込み接着剤の使用箇所が極端に減っている。
側面窓セルの溶着は分解時の注意点だったため意表を突かれた。
クハ3608並まで接着固定部を抑えてくれれば作業性が向上する。
是非ともこの仕様は継続してほしい。
その代わり誘導無線アンテナは焼き潰しに近くぐらつき対策が施せなかった。
ニードルでの開孔は誘導無線アンテナ取付脚を傷めかねず措置自体を中止している。


分割された貫通扉窓セル。

種別表示器窓部と一体成形された貫通扉窓セルは通過標識灯プリズムの撤去を要さないと今更気付いた。
貫通扉窓セルへの接着剤投入量も少なく前面より軽く押し出す程度で取り外せている。
種別表示器はプラ板ベースによる内側掲示化が決定しており分割線を境に切断した。
前面窓セル及び通過標識灯プリズムへの細工は行わないため即貫通扉窓を復旧させる。
最近はゴム系接着剤から木工用ボンドでの固定が増加傾向にある。
クハ3608もこの流れに従い下辺以外の3辺へ木工用ボンドを塗布し貫通扉窓を取り付けた。


木工用ボンドで固定した貫通扉窓セル。

接着剤代が狭い貫通扉窓セルへの木工用ボンド採用は初となった。
実績のあるゴム系接着剤とは違い安定性に不安が残る。
この後は手間を要する運行番号表示器の整備が待つ。
貫通扉窓の固着時間を稼ぎつつ不意な接触も防止する手段とした。
減光対策はひとまず定番化している行先表示器用プリズム先端の青色化のみに留めている。
そして運行番号表示器ステッカーの選択に入った。
初めて製品付属ステッカーを確認したが先に驚かされたのは行先方向幕の内容であった。
3608Fは登場時との謳い文句が掲げられている。
プロトタイプから英字無併記行先方向幕は理解できた。
しかしながら[千葉中央]幕の代わりに[千葉]幕が収録されていた。


登場時を謳う通りの内容だった製品付属ステッカー。

駅名変更は1987年4月であり実車の推移を考えると[千葉中央]幕まで外す必要は無かったと思う。
英字無併記[千葉中央]幕はマイクロエース製3300形3316F新赤電色クロスシート試作車,3200形3264F新赤電色付属品が主力だった。
採用編成が増え各1両分しか賄えない状況に陥っていた。
加えて両者は青地の色温度差があり併用が難しく3608F付属品を用いる計画だった。
まさか[千葉中央]幕が漏れるとは考えておらず行先方向幕ステッカーも選択に悩む展開となる。
取り敢えずどの運行番号表示器ステッカーが適合するか試行する。
3600形が朱帯色だった時代に該当する在籍編成は全て[BXX]台が充てられていた。
これに合致させるため3608Fも[BXX]台にしたい。
ところが製品付属ステッカーは[ 11],[51K],[ 53]幕の3種類しかなく計算が狂った。


[B15]:富士川車輌工業製ステッカー。

早くも製品付属品が対象から外され自作品での試行開始となる。
自作運行番号表示器ステッカーは3000系列用に製作したもので照射を全く考慮しない桁配置だった。
当然各桁に揃わなかった上に天地が足りず運行番号表示器の漏光を招いた。
ここで自作品も使用不能と判り富士川車輌工業製3500形更新車用ステッカーの試験へ移る。
試験貼付用の[ 49]幕を貼り付けたところぎりぎりで白枠内に収まると判った。
改めて[B15]幕を切り出し正式表示化した。
各切り出し基準は天地:運行番号幕上下,左右:幕間を目安にしている。


裏面のみ青色マッキーで塗り潰した側面行先表示器。

行先方向幕ステッカーの貼付は決め手を欠き先送りされた。
側面行先表示器の基準幕化に進み作業進捗率を高める。
モハ3607以下4両の側面窓セル行先表示器部裏面は僅かな凸面を有していた。
そのため施工は容易だったがクハ3608,クハ3601では凹面に変わる。
セル断面の塗り潰しに多少苦戦したものの車体外側からは目立たない状態に持ち込めたと思う。
なお基準幕化は側面窓セル裏面だけに施しモハ3607以下4両の見附に揃えている。


狭幅に戻した種別幕ベース。

まだ行先方向幕ステッカーは比較検討が続いており先に車体を組み立てる。
プリズムケースの支持は側面窓セルに頼っており先に装着した。
車体前後に2分割された山側側面窓セルは運転台側を先行して嵌め込んでいる。
海側,山側とも嵌合に留め車体への接着は妻面窓セルのみとした。
ここもゴム系接着剤の使用を見合わせ木工用ボンドへ切り替えた。
続けて種別表示器を追設する。
3600形系列ではプラ板の種別幕ベースを広幅に改めた。
しかしはみ出したゴム系接着剤が種別表示器再交換時に前尾灯レンズの折損を招いてしまった。
3608Fからはマイクロエース製3000系列に近い狭幅種別幕ベースに戻している。
プラ板は種別表示器の強力発光が気になりt0.6mmへ変更した。




クハ3608 [B15 普通 千葉中央]:種別表示器交換,運行番号・行先方向幕ステッカー貼付施工。

種別表示幕ベースは裁断都合により上辺が貫通扉窓セル下辺に当たる位置へと設置された。
木工用ボンドで固定した貫通扉窓セルは十分な耐性を得られた模様で浮き上がり等も生じていない。
英字無併記[普通]種別幕には当初の計画通り富士川車輌工業製ステッカーを起用した。
これはプロトタイプが合致するマイクロエース製3300形3304F新赤電色(3304F-1)に揃える名目である。
結局製品付属ステッカーは全く出番が無いまま保管品へ廻された。
散々悩んだ行先方向幕ステッカーはグリーンマックス製3150形用を選択した。
グリーンマックス製3150形の行先表示器はHゴム支持が車体側に印刷再現されている。
そのため原寸での貼付はHゴムモールドへの乗り上げが避けられず四辺とも[千葉中央]表示まで切り詰めた。




クハ3608 点灯試験[B15 普通 千葉中央]:前照灯(行先表示器用プリズム青色化施工,通過標識灯消灯)。


クハ3608 点灯試験[B15 普通 千葉中央]:尾灯(行先表示器用プリズム青色化施工)。

通過標識灯スイッチをOFFに切り替え点灯試験を行った。
製品原形では行先表示器及び種別表示器からの強力発光が際立ったがそれなりに抑え込めたと思う。
[B15]幕は運行番号表示器枠に収まり判読も出来る。
グリーンマックス製ステッカーより富士川車輌工業製ステッカーを先に試験貼付したのは視認性向上を目論んだ事に拠る。
フィルムタイプのグリーンマックス製ステッカーでは運行番号表示が飛んでしまうと思われた。
発光量抑制にはラベルタイプの富士川車輌工業製ステッカーが勝ると予想した結果は吉に出ている。
逆にグリーンマックス製3150形用ステッカーを採用した行先表示器は[千葉中央]表示で留まる対称的な結果となった。




クハ3608朱帯色後期仕様(3608F:側面行先表示器基準幕化施工)。

行先表示類のステッカー選定に苦しみながらもクハ3608朱帯色後期仕様(3608F)が竣工した。
予想通り運行番号表示器へ充てるステッカー選択が作業全体の足を引っ張っている。
富士川車輌工業製3500形更新車用運行番号表示器ステッカーは白枠が無く切り出しの自由度が高かった。
運行番号表示各桁の開孔都合で若干上寄に位置するが代用品にしては上出来だと思う。
なお登場時仕様の呼称は[B15]幕の採用で適合しなくなり後期仕様へ変更した。
側面見附ではモハ3607以下4両と同様行先表示器の基準幕化が入場前との差異になっている。


サハ3608,クハ3608 (3668F-1,3608F)。

[3608]号車は3668F-1にも組み込まれている。
3668F-1の[3608]号車は中間車化改造車でありサハ3608を名乗る。
第二次整備は点灯機構周りを除くとモハ3668,モハ3661(3668F-1)に近かった。
前途の通り運行番号表示はプリズムケース内へのプラ板再現により[■■■]幕としたが白枠だけが存在を主張する。
クハ3608で富士川車輌工業製[B15]幕の表示が実現に至りサハ3608も変更を考え始めた。
ただ現状では4両分の[■■■]幕が賄えない。
先頭に立つ車両ではなくクハ3608では見送りとなった桁毎への貼付を試行しても面白いと思う。


3300形モハ3304,クハ3608 (3304F-1,3608F:マイクロエース製[千葉中央]幕貼付車,グリーンマックス製[千葉中央]幕貼付車)。

3304F-1は行先方向幕:マイクロエース製,運行番号表示器:自作品,種別幕:富士川車輌工業製の3者混在ステッカー編成である。
モハ3304(3304F-1)と同じ[千葉中央]幕を掲げるクハ3608は印象が異なる仕上がりに映る。
ここは仕様統一を図りたかったが根本的にステッカーが足りず叶わなかった。
ただグリーンマックス製京成3150形用ステッカーの再現力は見事であり高い次元での妥協と言える。
富士川車輌工業製[千葉中央]幕の採用見送りは運行番号表示器と真逆でラベルタイプが仇となった。
グリーンマックス製[千葉中央]幕と同様に切り出してもHゴムモールドとの競合が防げない。
ステッカーベースの追加も加わるため3608Fには起用しなかった。

3608Fはクハ3601(3608F)の竣工を待つだけとなった。
起用する運行番号幕,行先方向幕ステッカーは決定した。
しかし双方とも通常の切り出し方法が通用しない。
予備分は多くなく寸法を誤ると行先表示類の再策定まで逆戻りしてしまう。
現設定が理想的でありクハ3601の行先表示類整備には時間を十分に割く予定である。
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