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>早川書房 翻訳SFファンタジイ編集部‏ @hykw_SF

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>10月28日の読売新聞の「本よみうり堂」内「平成時代名著50」で、伊藤計劃『虐殺器官』をお取りあげいただきました。
>「平成のSFと言えばこれだ」とのこと。ありがとうございます。




紹介された文章を、社内で上司が毎朝Upしている記事にみつけた。
を、、これ、もってる。し、読んだばかりである。

確かに、名著である。

そうか。平成の名著。ともいえるのか。
SFという分野では白眉かもしれない。



 911以後の世界では
テロと内戦に対抗する措置として
暗殺が許容され積極的にその手段を用いる軍組織が存在した。

 虐殺を阻止する暗殺組織。

 それが主人公クラヴィス・シェパード属するアメリカ合衆国情報軍特殊検索群i分遣隊だ。
「陸軍・空軍・海軍・海兵隊・情報軍からなる5軍の特殊部隊を統べる特殊作戦コマンドに
おいて暗殺を請け負う唯一の部隊」
と、いうことになる。

 「前世紀はグリーン・ベレーだってやっていたし、デルタ・フォースと呼ばれた陸軍分遣隊
 の連中もやっていたけれど、時あたかも21世紀。つまり今現在-この種の作戦は主にぼくたち
 情報軍の蛇食らい(スネークイーター)が担当することになっている。」


*********
 
 「起きてください、射出15分前です。」
機上輸送管理担当(ロードマスター)はそう告げて立ち去る。
最近の敵地侵入のトレンドはもはや高高度降下低高度開傘のようなアナクロなパラシュート
降下ではなく、電波反射特性を可能な限り抑えた侵入鞘(イントルードポッド)による
高速かつ速やかな機動だった。

 ポッドに乗り込んでいく男たちをみながら、ぼくはいつも思う。-----
 まるで棺桶だ。


 フライングシーウィード(空飛ぶ海苔)
電波特性を極限まで抑え込んだ平べったい長方形をしていて、こんな空を飛ぶように
出来ていない変態的な形状の機体を、ソフトウェアがコンマ判断で姿勢制御して飛ばせている。


 ぼくの棺桶が空に放たれた。
身に着けていた装備群がわずかに浮く数秒間。ポッドはすぐさま誘導モードに入り、自由落下の
時間は終わる。ポッドに推進力はない。これにはいかなる燃料もエンジンも搭載されてはいない。
ポッドの基本は滑空で、その機動調整はフィンの角度調節で行われる。つまりこれはグライダー
のようなもの------というよりはスマート爆弾に近いかもしれない。

 翼を器用に制御して、棺桶が目標地点へと空気を縫ってゆく。翼を制御しているのは筋肉素材で
生きた組織からなっている。このポッドに機械部品はほとんど存在しない。そう言ってよければ、
ほとんどが肉でできている。肉は翼を制御するのみならず、表面に埋め込まれた嚢胞を収縮させて
ポッドそのものの形状を微妙に変化させ、そうした波うち蠢くサーフェースが機体近くで発生する
乱流を制御し吸収するようになっていた。

 ドスっというくぐもった音が聴こえ、足方向に勢いよく体重がかかる。制動傘(ドラッグシュート)
が展張し、推進ベクトルを大きく吸い取ったのだ。もう地面まで数メートルだろう。











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