福岡市の人工島事業を巡り、第3セクター「博多港開発」と銀行団が交わした融資協定書に、市が同社の債務返済や事業の責任を取るとの文言が記されていた問題で、協定書が締結された場に、山崎広太郎市長が立会人として同席していたことが25日、わかった。市港湾局はこれまでの読売新聞の取材に対し、「博多港開発と銀行間の協定に、そのような文言は不必要で、なぜ盛り込まれたのかは不明」と答えていたが、市長自らが関与していたことになる。
博多港開発のケヤキ・庭石購入事件で、特別背任罪に問われた同社元社長・志岐真一被告(67)らの公判が同日、福岡地裁で開かれ、捜査当局が押収し、証拠提出された同社の報告書などから明らかになった。
それらを総合すると、市は2001年3月、山崎市長名で銀行団に対し、「市の責任において、(銀行に)損害を与えないことを確約する」という文書を差し入れた。この後、具体的な融資限度額など定めた協定書の作成に向け、同年8月2日、市、同社、銀行団の3者が会合。この席で、市長を立会人とする条項を入れ、事業に対する「決意表明」を盛り込むことを申し合わせた。市長の記名、押印はあえて入れないことも決めたという。
協定書は8月20日に調印され、その場には同社と銀行団のほか、山崎市長や市幹部も同席。「博多港開発が経営困難になった際には、市が事業の承継に努力する」との文言が入れられた。
市が出した「損害を与えないことを確約する」との文書を受けた文言だが、協定書はこの文書より法的拘束力が強い。自治体の第3セクターへの債務保証は法的に禁じられているため、市が当事者として押印することを避け、代わりに市長が実際に立ち会うことで市の姿勢を示さざるを得ないと判断したとみられる。
協定締結後の02年、市は、同社への緊急融資制度(上限200億円)の創設などを決定。反対派の市議や市民団体からは「実質的な債務保証」との批判が出たが、市は銀行団との間の文書や協定書の内容を公にしなかった。
協定の場に立ち会っていたとされる点について、読売新聞は山崎市長に取材を申し込んだが、市長は直接取材を拒否し、市報道課を通じて「裁判の報告を受けておらず、答えられない」とコメントした。
読売新聞 2005年8月26日
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博多港開発のケヤキ・庭石購入事件で、特別背任罪に問われた同社元社長・志岐真一被告(67)らの公判が同日、福岡地裁で開かれ、捜査当局が押収し、証拠提出された同社の報告書などから明らかになった。
それらを総合すると、市は2001年3月、山崎市長名で銀行団に対し、「市の責任において、(銀行に)損害を与えないことを確約する」という文書を差し入れた。この後、具体的な融資限度額など定めた協定書の作成に向け、同年8月2日、市、同社、銀行団の3者が会合。この席で、市長を立会人とする条項を入れ、事業に対する「決意表明」を盛り込むことを申し合わせた。市長の記名、押印はあえて入れないことも決めたという。
協定書は8月20日に調印され、その場には同社と銀行団のほか、山崎市長や市幹部も同席。「博多港開発が経営困難になった際には、市が事業の承継に努力する」との文言が入れられた。
市が出した「損害を与えないことを確約する」との文書を受けた文言だが、協定書はこの文書より法的拘束力が強い。自治体の第3セクターへの債務保証は法的に禁じられているため、市が当事者として押印することを避け、代わりに市長が実際に立ち会うことで市の姿勢を示さざるを得ないと判断したとみられる。
協定締結後の02年、市は、同社への緊急融資制度(上限200億円)の創設などを決定。反対派の市議や市民団体からは「実質的な債務保証」との批判が出たが、市は銀行団との間の文書や協定書の内容を公にしなかった。
協定の場に立ち会っていたとされる点について、読売新聞は山崎市長に取材を申し込んだが、市長は直接取材を拒否し、市報道課を通じて「裁判の報告を受けておらず、答えられない」とコメントした。
読売新聞 2005年8月26日
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