80年代末 ストリートパフォーマンスとアートがおれの中で合致した時、スケートボード界にヒーローが現れました。マークゴンザレス大先生です。独創的なトリックの発明や独特なタッチのドローイング、自由な子供のままの無邪気な発想や ハっとする名台詞は、おれ等キッズ達を笑わせたり感動させたりして人生の楽しみ方を導いてくれました。当時雑誌のインタビューで、絵を描いてくれと言う企業の依頼を断る理由を聞くと「みんな、自分の為に自分で描けばいいんだよっ!」てなことを答えていて、アートに関わりかけていたおれは大感動してしまったのです。ヘリングですらそんな名台詞は残していません。やはり本当の大先生は自らを大先生と自覚しないくらい謙虚な自然体で楽しんでいるんだ!という発見もつくずくでした。誰にも金で手に入らないゴンちゃんは夢の様で極端でしたが 大事な何かを教わりました。やがておれ等も現実を知り、金との折り合いのつけ方も覚えましたが、あの言葉は忘れられません。今では人気が膨らみ過ぎて当時以上に企業からも持ち上げられてしまいますが、ゴンちゃんはあのゴンちゃんのまま人生を楽しんでいる様です。有名になりたい名声欲と純粋に楽しみたい欲との葛藤が、おれの中にも常にありますが、求める有名の規模に個人差があると思います。探偵ナイトスクープという関西TV番組でパラダイスと呼ばれる地方の変わったテーマパークを取材するコーナーが昔から大好きでした。実家の近所にも変態的な彫刻を庭に創り続ける人がいて、田舎だし変人扱いだろうけど、変に気取ってARTしていない謙虚な規模とリアリティが最高の芸術家だと思いました。図々しくアピール出来るハリウッド的なグローバル感覚を植え込まれて憧れて来てしまったけれど、都心で認められた物が絶対にイケてる訳では無い事 つまりトレンドやメディアの言いなりな感覚は薄っぺらく危険で、本来持っている楽しむ感覚を鈍くさせていると焦っているのです。この海外至上主義的な感覚は敗戦国ならではの劣等感も理由だろうけど、そろそろ自分達の百姓の感覚を取戻して自信を持って楽しもうよっていう時期だよね。海外旅行なんてちっとも行きたくないよ。廊下にグローブあるよ。