JAHPON LAND( Pucci )

スケートファニチャーやステンドグラス作品などJAHPON.comとして活躍する作家 土屋隆亮(プチ)のメッセージ!

車宅の人 5

2008年09月30日 | 車宅の人
 キャンピングカーと言っても、色んなタイプが有るんだ。本当は永年連れ添った愛車で 家を けん引したかったのだが、小振りなべレットでは 引けるサイズに限界がある上に この日本では機動性に欠ける現実があった。
 同僚のレオ君のアドバイスでは、以前 ワーゲンバスのポップアップと呼ばれる 屋根が上がって 部屋が出来るタイプに乗っていた経験から、宿泊している事がバレバレになるスタイルは 馴染みの無い日本では 周囲から目立ち過ぎて 自由に寝れないんだって。だから さり気なく駐車中のフリして宿泊出来る、運転席と部屋が一体型の箱型タイプがベスト!って事になったよ。
 現在のキャンピングカースタイルの原型モデルになったと思われる、ワーゲンにカルマン社がデザインした部屋がカスタムされ 乗っかった その名も「ジプシーキャンパー」レオ君の勧めも後押しして 決断した。楽しみに すがる勢いで、スルスルと購入を決めたんだ。ローンだけど、窓にステンドグラス入れたり ドアを木にしたり~と育ててステキな作品になれば、楽しい投資になるだろう!と踏み切ったんだ。







車宅の人 4

2008年09月27日 | 車宅の人
 車に暮らすには 先ず荷物を減らさなければ重いよね。最初に処分したのは、永くコレクションして来たミニカーだったんだ。貴重な昭和40年代の日本が誇る精密な作品たちは、信頼のあるマニアショップに売ると 中古車が買える程の現金に変わったよ。
 小さいミニチュアの車を売って大きい本物の乗れる車を買うなんて、魔法っぽくて面白いよね。改めて宝の価値を実感すると 手放すのが惜しくなるけど、そんな繊細な骨董品 大事過ぎて邪魔でしょ!何処かの立派な屋敷のコレクションになって大事に飾られた方が ふさわしいよね。車たちも喜ぶと思うよ。
 物を捨てられない おれにとって、いきなり 変わらなければならない試練が こんな下らない事だったなんて、未熟な自分に呆れるよ。



車宅の人 3

2008年09月26日 | 車宅の人
 覚悟して名付けたタイトルだけど、「火宅の人」の駄洒落?と突っ込まれるでしょう。檀一雄の名作日本文学です。
 「いつの日にも、自分に吹き募ってくる天然の旅情にだけは、忠実でありたい」~と これ以上無い程、壮絶に翻弄される人生を圧倒的なリアリティーで描いた傑作なんだ。
 翻弄されるには訳があり、全ては自業自得でしょ?とクールに流す事も出来るけど それはフォーカス、ピントがぼけているだけで、今の おれには バキバキにくっきりと 人間らしい美しさが感じられて、感動しちゃうんだ。
 「不幸を美化して酔いしれるな」~との声も想像出来るけど、「影にこそ真の光は輝く」と おれは思うんだよね。
 是非 活字で読んで欲しいけど、手っ取り早く 深作欣ニ 監督のビデオを借りて 観て欲しいな。かなり忠実、いや、別次元の名作で 先輩方の気迫 クオリティには圧倒されちゃうよ!



車宅の人 2

2008年09月25日 | 車宅の人
 何にも翻弄されない強い奴 それは〝時間〟これこそが 翻弄の原因なのではないか?と憎い程 揺るぎなく流れ、変化や刺激をもたらしてくれる。誰にも平等な力は 神様とも言えるのではないか?
 そう考えると 翻弄に怯える おれは、時間様と仲良くしなければならないと 強い敵を飲み込んで克服する作戦に辿り着くんだ。でも あくまでも理想、今のところ 只「時間を気にしない 時間に関わるストレスのセンサーをOFFにする」って作戦なの。渋滞にも 電車の遅れにも イライラしない~とか、急ぎ焦る回路を止めて ふさわしい行動で時間に優雅に乗っているフリをするんだ。仲良しのフリ。
 少しでも回路が回り出すと、すぐにチクタクワニが近付いて来て 追いかけられちゃうんだから!それでも駄目だと、時間貯蓄銀行の人に連れて行かれちゃうよ。

★ チクタクワニ : ピーターパンに登場する時計を飲み込んだワニ。フック船長の天敵で、チクタク音をさせて近づいて来る。

★ 時間貯蓄銀行 : ドイツ作家ミヒャエル エンデの作品 モモ に登場する、無駄な時間を奪いに来る集団。




車宅の人 1

2008年09月24日 | 車宅の人
 プロローグで 家を失い~って言ったけど、普通に一人部屋を借りないのは「何をもっての家か?」って事で、誰か家族あっての家。独りを楽しむ克服策として 独りのメリットを増幅しなければ潰れてしまう!と ノイローゼ的に ポジティブシンキングしたわけなんだ。
 とは言え、昔から憧れていて 子供の頃の秘密基地 願望が、自然豊かな環境なら ツリーハウスに流れる筈が、都会の環境では 車に家を建てる妄想に囚われているんだよね。創作ARTの製作と偽って 軽トラックの荷台に家を建てたりしたもんです。
 何か おれの根本に有る、自分勝手なサムシングが 暴れて惹きつけるのでしょうか? 自由を求める感覚は、人類共通の夢だよね。家族で旅生活なんて 動物みたいで 素朴に憧れるでしょ。



車宅の人 プロローグ

2008年09月23日 | 車宅の人
 あらゆる全ての物は何かしら〝翻弄〟されて存在している。
翻弄されない程 強い物なんて無い筈だからね。そうやって 全ての存在が 何かしらと 闘いを強いられて 泣かされたり泣かしたり、死んだり殺したり ゴチャゴチャとなって生きているんだ。
 まさか自分が、 こんな試練を受ける事になるなんて 思っても いなかった。翻弄とは そういう物だもんね。
 要するに、10年同棲してた彼女にフラれたわけ。
何を大袈裟に~とか、彼女が いただけでも羨ましい~と 翻弄とは チューニングと フォーカス次第で よく有るゴチャゴチャした生物の営みに過ぎないんだよね。そのフォーカスを自分で自分に合わせて 誰かに〝美しい〟とか〝面白い〟とか 接してもらわないと、 独りきりでは耐え難いよ。
 最近、美しいという言葉が好きだ。あんなに避けていたのに、全ての物に そう告げると 存在を許された安堵感で 苦しくとも存在した頑張りが報われ、昇華する感動を感じるんだ。一般的に言う綺麗な物では無い、翻弄される不憫な物 切なく目に見えない やるせなさ こそ、美しいのだと。
 彼女は 美しかった。引き払う事にした部屋も美しく、幻の様に消え去る物たち~ おれは 家を失い 車で生活する事にした。
 キャンピングカーで暮らすのだ。
『 車宅の人 』楽しみながら 翻弄される人生を格闘する ケーススタディーとしてレポートして、誰かの何かに 役立って貰えればイイなと思うんだ。そして何より こんなくだらない自分の存在を許して頂くために、精一杯務めます。