JAHPON LAND( Pucci )

スケートファニチャーやステンドグラス作品などJAHPON.comとして活躍する作家 土屋隆亮(プチ)のメッセージ!

INTO THE MILD 46

2011年08月27日 | INTO THE MILD
 田舎に暮らす新婚生活を守るのは、何よりも地域社会との協力です。田舎に憧れた理由の1つに この揺るぎない「土地との信頼関係」を求めていたから 満を持して「区入り」と呼ばれる地元の組合に結婚を機に入りました。そして もっと直接 力で町を守っている組織!それこそが消防団です。山や自然だらけの町村にとって、一番の脅威は火事。有事の時には本職の広域消防隊の後方支援やけど、力の出る男は入団するべき!と認識していたんや。
 都会に住んでいた時代には 社会とは、税金を払いさえしていれば 文句すら言える程 傲慢に生活を守ってもらっていたもんやけど、本来の人の暮らしを考えた今の おれは、真剣に自分の手で 村や家族を守りたい想いが 熱く溢れていました。「戦争になったら戦いますか?」そんな幻聴の問いに「あたりまえだろ」と答える様な勢いで入団したのです。
 支給された青い制服、背中には英語で FIRE BRIGADE KYOTAMBA とプリントされています!「かっこいい~」と興奮しながら装着していくと気持ちが引き締まり 姿勢もビシッと!「やっと おれもブリゲードに入れたぜ」と ポーやんにハテナ顔をされながらハイテンション!昔憧れたスケートボードのチームで「ボーンズブリゲード」っつーのがあってね、いやー最高!と一方的な説明を投げやりにして、しかも所属分隊が「瑞穂101」なんやで!ワンオーワン!スケートのビデオレーベルもある位アメリカ西海岸にあるカリスマな道路の数字でな、ヤバイやろ~ 消防車も灰皿バケツも みんな101て記してあるんやで!と お構いなしに説明。寝るまで 刺繍でブリンブリンのアポロキャップを被って はしゃぎました。世の中には沢山のチームやクラブ 集合団体が有るけれど、今になってみると 何とも道楽や趣味的な軽さ ファッションなものばかりやったなぁ~と感慨無量。
 普段の活動は 有事の際の秩序を守る為に 縦社会の統率力を「各個訓練」と呼ばれる行進や整列の練習をしながら団結力チームワークを磨き上げ、器具の使い方を学び より早くポンプ車を操る「操法」でタイムを競う競技の練習等や 災害に備えた力仕事。
 学生時代の おれは列を揃えて団体行動なんて、とても耐えられない人間やったのに、何と驚く程 楽しいのです!予令 号令の独特のかけ声に合わせて 隊員が揃ってキビキビ動く様子は清々しくクール!気分は大好きなフォレストガンプ君の入隊中の切れ!中でも基本の敬礼 別礼は特に大好きで、時々思い出して自宅で練習してしまう程。大きく移動する号令には大きな声で「よーし!」と返事をします。つまり軍隊!戦わない軍隊!実際に火事の現場に入ると だれもがテンションが上がり、行動したくなるものですが 勝手な行動は現場を混乱させてしまいます。その為に秩序を保った統率力が何よりも大切なのです。更には 命令は自分の隊の上司の命令だけを聞く事!隊の団結力 信頼関係は自然と熱く、命に関わる統率力は真剣な自警団「POSSE」そのものです。訓練は「無心」に成れてビシッと決まれば決まる程 この土地に根が伸びて 一体化してゆく様な不思議な気持ち良さを感じるのです。
 そんな軍団に導き入れてくれた班長を始め 隊員のみんなは素敵な人ばかり!入団するまで こんなに若者が住んでいるとは知らなかった!歳下が多いけど、完全に団歴の縦社会なので丁寧に教わりながら覚えていきます。メリハリつけて 仲良く遊び、真剣に訓練する~という班長の徹底ぶりが暖かく本当にこの場所に導かれて来た感じがします。やっぱり何代も親の代から続く家に暮らす根の生えた人々は 無責任な行動などしません。都会での いつ引っ越していなくなるか判らない様な人同士のつながりが難しいのは当然かもね。「この恩は おれの体で示したい」という気持ちが やる気マンマンの おれのマイブームなのです。自宅仕事のおれの大きな役割は 詰所に いち早く駆けつけてシャッターを開けて消防車のエンジンを暖める事です。
 初の出動は突然に、有線電話からのサイレンに出動指令!江戸時代の様な半纏を羽織り ヘルメットや長靴の入ったバックを背負って坂の途中にある家から詰所まで スケートで すっとんで駆けつけます!乗り込むサイレンに回転灯の消防車で走っていると、まるでゴーストバスターズ!なんてワクワクした顔は表に出せない程の緊張感ある火事現場。的確で完璧な班長の指示が飛び 統率のとれた団員の動きは本当にカッコイイ男の世界です。見事に鎮火して詰所に帰還する頃には夕陽に笑顔の消防車で班長が「土屋君がスケボーで登場した時は コナンくんかと思ったわ ほんま~」と大笑い。ああ、頭の中でフルボリュームのエアロスミスが聴こえる!きっとみんなそうなんだ!そしてみんな この「ふるさと」を あたりまえの自然に愛しているんだ!と くたくたの体に痛い程 再確認するのです。そして、みんなで飲むビールが美味いんやてや。火の用心!

 このへんの方言で 語尾に「てや」が付くんやてや。いつか使いこなせるかな?





INTO THE MILD 45

2011年08月09日 | INTO THE MILD
 旅行は節約しながらも 最後だけ ハネムーンらしい高級リゾートホテル「サンカラ」のスイートルームを予約しました。一生に一度の気分が 更に盛り上がる セレブ感たっぷりの雰囲気は、外国のアジアンリゾート!ジュラシックパークの様なゲートを入ると スタッフのサービスは丁寧で、人による おもてなしこそが一流のホテル~という素晴らしい姿勢が すぐに感じ取れました。なんだか恐縮しながら 恐る恐る探検~落ち着いた空間に酔いしれるのです。しかしながら スイート とは広い広い持て余す広さで「こうかな?こういうことかな?」と試し試し探りながら楽しむ感じで、新婚の2人には「これじゃ遠いねぇ~」て事ばかり。
 芋焼酎が好きなポーやんにとって 屋久島とゆえば「三岳」島をうろうろしていると公民館の裏には空き瓶が山積みに~しかし何処にも売ってない謎。料理屋で飲むと 甘く薫り深い味は 初めての おれまでもが大好きに!大量に作れない逸品な為に 地元住民が公平に手に入れられる工夫として、島のスーパー 開店時間に整理券を配り 毎日少量販売する習慣になっている事が 尋ね尋ねて解って来たんだ。屋久島以外でも手に入るんやけど、当然 手間やプレミアが加わり高額!だから「都会からの野蛮な搾取の様なビジネス仕入れに負けて 地元の愛好家が呑めなくならない為に 誰もが早朝スーパーに 1人1本の小さな行列を作る」んだと。都会の下らない欲「お取り寄せ搾取文明」のしわよせを地元の人々が早起きする形でバランスを保っている事実に、芋焼酎について素人な おれも このアトラクションには感動してしまって、原価の三岳こそ最高のお土産!と挑戦するのです。
 眠がりながら宿から30分 例の一本道を車で向かうと~1番の客です!次々に地元のお年寄りが集合して のんびりした朝の雑談風景に溶け込み、近所に住んでる気分!一升瓶を2人で2本GET!美しい南国風ラベルデザインが雰囲気ある素敵な瓶で重く抱き抱えていると大事な彫刻作品に感じます。酒好きな母や お店への土産に2本では足らないな~と、次の日も 余裕の1番のりで 2本獲得するのです。
 これで家用の分も確保したし、満足しながら店の外で「愛子岳」を眺めていると、連日並ぶ おれ等の顔を覚えてくれた店員さんが話しかけてくれて、地元の人でも11ヶ月待ちの超入手困難な芋焼酎「愛子」の話などを雑談~~すると突然「家にあるよ、2本あるから持っていくかい?」と仕事中なのに わざわざ車で近所の家まで取りに帰って、原価で譲って頂いちゃいました!何なんだこの島は?
 ほくほく顔で 途中にある「三岳,愛子」を作っている小さな工場前で記念写真を撮ったりしながら「サンカラ」に帰ると 両手に貴重な一升瓶を持つ我等に バトラーさんはビックリ!特に「愛子」には「私も予約してるけれど まだ半年先なんです」と本当に貴重な物を 珍妙な奇跡で手に入れてしまった事を実感するのです。
 サンカラの過剰で無い 自然で丁寧なサービスは心地良く 美味しい食事も完璧。夕食後 部屋に戻ると、結婚を祝うサプライズのケーキとシャンパンが!新婚旅行最後の夜を贅沢に過ごしたのでした。不思議な冒険島 まだまだ話し足りない思い出だらけ~今でもリビングの机に置いてある 屋久杉彫刻の大きな林檎を見ると 昨日の事のように思い出します。
 そんな余韻にふわふわしたまま 最後にホテルのプールサイドを歩いていると、わっ、明らかに華やかなオーラを放つ綺麗な女性がパラソルの下に!「梅宮アンナ」ちゃん!声をかけて話してみると凄く感じ良くて、おれと同じ鼠歳の親近感もあって感激~っちゅうか やっぱり おれ等よりも この場所に似合うなぁ~ふさわしいわ!と納得して、ホテルを後に 高速船「とっぴ~」で家路を急ぐのです。

 結婚式~新婚旅行レポートは以上です。三岳の一升瓶は 直ぐに空になり、本当に瓶の彫刻になりましたとさ。とっぴんぱらりのぷう