インド・ラジャスタン州で、公務員への優先採用を求めて線路に座り込むグジャールのデモ隊=AP
【ニューデリー=武石英史郎】インド西部ラジャスタン州で、差別的身分制度カーストで下位に属する一部の集団が、公務員の優先採用枠の拡大を求めてデモを開始。幹線鉄道や道路を占拠し、首都ニューデリーと西部の商都ムンバイを結ぶ交通網が寸断されるなど混乱が広がっている。
デモを始めたのは、「グジャール」と呼ばれるカースト集団。最低位の「指定カースト(旧不可触民)」の上に位置する「その他後進諸階級(OBC)」に属する。
OBCに対しては、公務員採用や大学の入学枠などですでに21%の優先枠があるが、やや上位の別の有力カースト集団がOBCに編入され、OBC内の競争が激しくなると、07年以降、デモを活発化。OBCとは別に自分たちだけの専有枠5%を要求していた。
ラジャスタン州政府は08年、グジャールの政治的圧力に押されて、新たに「特別後進諸階級」という区分を作り、優先枠を拡大する方針を決めた。しかし、見境のない優先枠の拡大に地元高裁が異議を唱えたため、新制度は完全には実行されず、怒ったグジャールが騒ぎ出した。
占拠は26日で7日目に入り、その影響で、ニューデリー~ムンバイ間の主要鉄道が一部で運休。デモ隊の一部は両都市を結ぶ幹線道路を占拠しようと、各地で治安部隊と小競り合いを続けている。
足止めを食った乗客の中には空路に切り替える動きがあるが、インド北部では濃霧による欠航が相次いでおり、どの便もほとんど満席状態。航空会社の中には、運賃を倍に引き上げるなど、便乗値上げの動きが出始めている。
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