我国の冠動脈疾患による死亡は成人死因の第2位を示しており、その成因として粥状動脈硬化が存在する。食生活の欧米化や車社会の到来により、その死亡率は年々増加しており、しかも、40台~60台の働き盛りの人々に多く発症する怖い病気である。通常、会社検診や各自治体の基本検診にてコレステロールの検査が施行されているが、その異常が指摘されても自覚症状が無い場合が多く、そのまま放置されたり、病院を受診しても治療を途中で自己中止するケースが非常に多いように感じている。さて低HDL血症(<40mg/dl)は冠動脈疾患と負の相関(低いほど冠動脈疾患になりやすい)を示す独立した危険因子であり、高脂血症に伴う低HDL血症を積極的に治療することにより、優位なHDL-Cの改善が期待される。また高HDL血症(>100)は一般人口の0.14%存在するが基本的には冠動脈疾患になり難いと考えてよいと思われるが、まれに肝性トリグリセライドリパーゼ欠損症では冠動脈疾患を有した報告もある。いずれにせよ、代謝性症候群(高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満・喫煙)を解消して健康的な生活をしたものである。
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