まだまだ油断できない新型コロナウイルスの感染拡大。世界的な恐慌が起きようとしているなか、それぞれの業界はどんな局面を迎えているのか。
その道のエキスパートたちに現状を解き明かしてもらうと、今まで誰も経験したことのない危機的状況になることが浮き彫りに。もはやコロナ恐慌の到来を覚悟するしかない!
5/22/2020
夜の世界から女性たちが離脱。不夜城陥落か!?
コロナは、夜の下半身経済にも多大な影響を与える。そう語るのは、経済評論家の門倉貴史氏。毎年警察庁が公開する店舗数と、独自のサンプル調査で割り出した店舗ごとの売り上げをかけ合わせ、ソープ、デリヘル、キャバクラ業界の市場規模を算出。1~3月のヒアリング結果を合わせた推計では、被害は甚大だという。
「最もダメージが大きいのはソープ業界で、9127億円だった市場規模が3423億円まで減る見込み。もともと2万4280人いるといわれたソープ嬢の約半数が感染を恐れて店を離れています。客足も半減で、半額まで値引きする店も多いが効果は薄いようです」
門倉貴史氏
デリヘル業界は前年の1兆8906億円から今年の推計は1兆4180億円で、約25%減と比較的落ち込み幅は小さいもよう。 「店にスタッフや嬢、客が集まる店舗型と違い、基本的にラブホテルで一対一のサービスを受けるため、心理的なハードルが低いためでしょう。あるデリヘル嬢によると、店から離れる嬢の数は1割程度、全体から類推すると約2万人が出勤を自粛している計算です」
最後は“志村ショック”で被害がさらに広がりそうなキャバクラ業界。5056億円だった市場規模が2107億円まで縮小。2割の1万8934人が姿を消した計算だ。 「3月は、前年比マイナス70%。さらに、キャバクラやガールズバーに足繁く通われていた志村けんさんの死去で世間の危機感が強まり、ヘタすると年間で前年比マイナス66%の可能性もある。現金商売なので、3月の時点で経営が危ない店もあり、緊急事態宣言で店を1か月閉めると、つぶれる店が続出する可能性も高いでしょう」
さらに、この業界が傾くと国の財政へのインパクトも大きいとか。 「福祉の網からこぼれ落ちた人たちが多い業界で、保障制度がどこまで機能するか不透明。この業界で働けない場合、生活保護しか選択肢がない人が続出する恐れもあると思います」
極めて景気に左右されづらい、雇用の“最後の受け皿”だった夜の業界が、壊れつつあるのだ。
アダルトショップの今
飲食店やレジャー施設などがコロナによって大打撃を受けるなか、アダルトショップはどうなのか。都内に3店舗を構える「大人のデパートエムズ」は営業時間を短縮、一時期は臨時休業もしていた。同社で広報を務めるミルコプルリップ氏は、「海外からのお客さまが減ったことによる打撃は大きいです」と話す。 「3月は客数全体の3割を占めていた外国人の方が半分まで落ち込んでしまっています。また、現状ではアダルト女優さんによるイベントなども自粛せざるを得ません。今後もコロナの影響で客足が遠のくのであれば、年間で3割以上は減ってしまうかもしれません」 その一方で、ネットショップの売り上げは2月から10%も伸びているという。 「特に高級オナホールやダッチワイフの売り上げが2倍、アナルグッズもわずかに伸びています」
鬱屈とした時間が多いからこそ、少しでも贅沢に発射したいと思うのは人間の性なのかも。 【経済評論家・門倉貴史氏】 BRICs経済研究所代表。専門は新興国経済や地下経済など。『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)出演。『世界の[下半身]経済がわかる本』(方丈社)など著書多数